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2017.06.17

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これからの日本では、個人の金融リテラシーとノウハウが必須

同世代で資産運用をうまくやっているヤツはどんなことをしているのか……。30代後半、会社員のSさんは30歳で結婚したとき、結婚資金を使い果たして資産はまさにゼロ。ところが、ここから10年足らずで金融資産は3000万円超。東京の人気エリアに立つ7000万円台の高級マンションも購入という、なんとも、うらやましい状態にいます。
Sさんに一体、何が起きたのか。全6回にわたってお届けする、Sさんが「こっそりうまくやっている」マネー運用術、第6回最終回は「投資のススメ」です。

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これからの日本は、お金に働いてもらわないといけない。金融のことを知らないでどうするのか

会社員Sさん「だいぶお酒が入ってきたので、マジ語りしてもいいっすか?」
10年足らずで3000万円超の金融資産を手にしたSさん。同世代にもやっぱり投資を勧めますか、との質問にこんな答えを返してくれました。
「マジレスですけど、国には国の発展プロセスがあるんですよ。最初は製造業が栄える。イギリスだってそうでした。産業革命で綿織工場とかが栄えたわけですよね。でも、その後は主役がサービス業に移り、最後は金融業になっている。イギリスは、投資と金融で食べているんですよ」
日本もこの道を歩むことになるのに、金融のことを知らないでどうするのか、とSさんは続けます。
「日本も今は貿易収支が赤字になることもあるわけです。でも、所得収支があるから全体としては黒字になっている。もうイギリス型の先進国になりつつあるんです。日本人は手先が器用だから、なんて言う人もいますけど、ベトナム人やバングラディッシュ人はもっと器用かもしれない。それこそ世界の工場はとっくに中国に移っているわけで。日本人は、お金に働いてもらわないといけないんです。金融的なリテラシーとノウハウで稼いでいくことが求められているんです」

労働者や消費者の目ではなく、投資家の目で会社を見ると、違った会社の姿が見えてくる

そして投資をすることで、世の中を見る目が変わった、と語ります。それは間違いなく、ビジネスマンとしての自分にもプラスになった、と。
「会社を見る目がまったく変わるんです。以前は、労働者としての目、あるいは消費者としての目でしか会社を見ていなかった。でも、投資家の目で見ると、違った会社の姿が見えてくるわけです。それこそ営業するにしても、転職するにしても、IRの資料はしっかり見たほうがいいですね。そこには会社の弱点もしっかり書かれていますから。そして、今後のプランも書いてあるわけです」
個別の銘柄への投資は苦手なんだよ、面倒だよ、という人は、インデックスの投資信託の積み立てでいい、とSさん。
「個別銘柄投資は万人には勧めません。でも、インデックス投資は無難だし、万人にお勧めするレベルと僕個人は思っています。というか、マストとしてやらないといけないレベルなんじゃないかと」
一方で、Sさん的に自分に合わなかったものとして、株式の信用取引とFXを挙げます。
「僕だって、いいときばかりがあったわけじゃない。例えば、リーマンショックのときは、株価が急落してパニくりました。幸運だったのは、アメリカ株は信用取引ができない仕組みになっていたことです。もし、調子に乗って信用取引なんかやっていたら、超パニックになっていたと思います。その後も、REIT以外で信用取引はしませんでした。相当な覚悟が必要ですから」
FXもやっては見たものの、自分には合わないと感じたそうです。
「損しても腹立つし、儲かっても腹立つ、という感じでしたね(笑)。企業への投資って、人間にみたいに感情移入ができるんですが、FXはできない。株の場合は、自分が考えていたストーリーが実現して、そのポジションに利益が乗ったときの、どや、オレの思った通りにきたぞ、という瞬間のアドレナリンの出る感じがたまんないんすよ。でも、FXはそれがない。儲けだけじゃ、僕にはアドレナリンが出てこないんです。FXほうが純粋なバクチに近い感じがしました」

投資の話題は万国共通。グローバルなビジネスパーソンたちと投資ネタで大盛り上がりに

「子どもの将来の可能性を担保するためにも、為替は意識しています」
今もアメリカ株、さらには日本株への投資を続けていますが、仕事が忙しくなってきたこともあって、個別株を減らして投資信託へと軸足を移しているのだそうです。しかも、海外を意識しています。ダブルレバレッジの日経平均のETF。それから、全世界平均のMSCI国債。割合は、4対6で海外。
「これからどういう人生を送りたいか、ということにもよりますが、やっぱり為替を意識することは重要だと思うんですよね。子どもが海外に留学したいと言い出したとき、円は力を失っている可能性だってあるわけです。そのとき、ドル建てで資産を持っていたら強い。こんなことは当たり前に考えるべきことなんです。それこそ、ガソリン代が上がった、と嘆きの声がガソリンをたくさん使う業界から聞こえてくることがありますが、アメリカでは農家が原油の先物投資をしていたりするわけです。もう、そういう時代なんです」
そして投資に詳しくなったことで、思わぬ副産物もあった、とSさん。投資を始めてから海外出張も増えていったそうですが、外国でビジネスパーソンとの話題に困らなくなったのだそうです。
「昔は外国人ビジネスマンとの世間話には困りました。サッカーの話くらいしかできなかった。今は、ニューヨーク株式市場の話で盛り上がりますね。投資の話は、万国共通なんだ、ということを改めて知りました」
資産も手に入れ、家も手に入れたSさんですが、仕事にも大きなプラスを手に入れていたのでした。
同世代の頭のいいヤツ=Sさんの投資術は、単にお金を儲けるだけではない、人生そのものをどう豊かに生きるか、そしてオッサンの生き様としての「カッコよさ」をいかに追求するかまで考え抜かれていました。Sさん独自の「投資の美学」、みなさんも参考にしてみてください。
※実際の取材をもとに構成しておりますが、あくまでSさん個人の資産運用の考え方であり、本文中の利回りや収益を保証するものではありません。ご了承ください。
取材・文/上阪 徹
1966年、兵庫県生まれ。アパレルメーカーのワールド、リクルート・グループなどを経て、94年よりフリーランスに。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍などで幅広く執筆やインタビューを手がける。著書に『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』(あさ出版)、『僕がグーグルで成長できた理由』(日本経済新聞出版)、『職業、ブックライター。』(講談社)、『成功者3000人の言葉』(飛鳥新社)、『リブセンス』(日経BP)など。


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