ヒトとイヌが互いに感じる”不便”をIoTで解決する方法を考えてみたら……“IoTっぽいモノづくり”のコツを探るべく、前回は開発者である萩原さんに取材し、
(1)まず、馴染みがあるモノに注目し、そこにどんな機能が追加されたら便利か、または不便が解消されるかを考えてみる(アイデアを考える)
(2)そうして生まれたアイデアを実現するための”MESHタグ”を用意し、機能を実現させるための設定を行う(プログラミング)
(3)モノと”MESHタグ”を組み合わせる(工作)
という、「MESH」を使ったモノづくりの基本を教わった(
前回の記事はこちら)。この手順に従い、まずは制作のアイデアを練ることにしよう。
我が家にとって、もっとも馴染みがあるモノ……というか存在といえば、なんといっても彼女である。
先日、10歳の誕生日を迎えたばかりのイヌちゃん(メス・仮名)だ。我が家のイヌちゃんに、どんな”機能”が加わったら、もっと楽しく便利になるのか? または、現在イヌちゃんと飼い主が抱えている”不便”を解消するためには、どんな”機能が”必要なのだろうか?? 散歩をしながら考えた結果、「MESH」を使って解消できそうな”不便”って、ズバリこれじゃないのかな、とヒラメいたんですよ。
そう、この写真!! 我が家のイヌちゃん、寝顔がすごく可愛いのだが、カメラの気配を感じるとすぐに目を覚ましてしまうのですよ。で、だいたいこんな感じのヘン顔しか撮れない、という次第。これって我が家に限らず、犬や猫の類と暮らした経験がある人なら、けっこう共感してもらえるんじゃないですかね?
イヌちゃんの立場からしても、いい気分で寝ているところを邪魔されるのは、まったくもって面白くないはず。そこで、イヌちゃんに気配を悟られることなく、寝顔の写真を撮ることができる仕組みを考えれば、ヒトとイヌとの、いわゆるウィン-ウィンな関係が築けるのではないか……。これを、今回のテーマとしてみよう。ポイントをまとめると、
【イヌちゃんが「寝ている」かどうか】を判定し、【「寝ている」と判定された場合には、据え置きのカメラで自動的に撮影を行う】仕組みと装置を作れば良い、ということになるはず。
ここでさらにヒラメいたのだが、寝顔の写真を撮るだけでなく、撮った写真をメールか何かで自分宛てに送信できるようにすれば、例えばイヌちゃんをひとりで留守番させて出かけているときでも安心が得られるだろう。そこまでの仕組みを作ることができれば、まさに「イヌのインターネット化(IoD)」の実現というわけだ。
「寝ている」イヌを見つめることが、IoD実現の第一歩となるのだ!
では、「イヌのインターネット化」を実現させるために、どの”MESHタグ”を使えば良いのか。それを決めるためには、”MESHタグ”を使って判定すべき「寝ている」とは具体的にどんな状態なのか? について、改めて考えてみる必要があるだろう。
「寝ている」=睡眠と考えれば、まず思いつくのがレム睡眠とかノンレム睡眠、みたいなキーワード。しかし、残念ながら現行の”MESHタグ”には、脳波を測定するタグが存在していないし、そこまでガッツリとした判定を行うこともないだろう。イヌちゃんの頭に電極刺すわけにもいかないですしね。
もっと単純に考えると、写真を撮りたいイヌちゃんの「寝ている」とは、
こういう状態とみなすことができる。つまり【体を横向きにして】【一定時間動いていない】状態を「寝ている」と定義するわけだ。これならば”向き”と”動き”を検知する、水色の「動きタグ」(5980円・税込)があれば、なんとかなりそうな気がする。
幸いにして”MESHタグ”の大きさと重さは消しゴム程度なので、小型犬のイヌちゃんにも、大きなストレスをかけず装着することができそうだ。そこらへんの工作には結構な工夫を要しそうだが、それは最後に考えるとして、やはり気になるのは「寝ている」状態を判定したり、「寝ている」と判定されたら写真を撮ったりする仕組みづくり、すなわちプログラミングだろう。作りたい仕組みはなんとなくイメージできたものの、それを動かすためのプログラムを組むことが、オッサンにもできるのか? 次回、その結果が明らかになるのであった(ならないのかもしれないけど……)。
取材・文:石井敏郎
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