OCEANS

SHARE

2017.04.14

あそぶ

+αで作る究極のアイスコーヒーとは?/コーヒーで週末を味わう③


大人がこだわる飲み物の筆頭格にお酒を挙げたとしたら、いささかもったいないことだ。たしかにウィスキーやワイン、日本酒など、アルコールにはこだわるべき歴史と深みがある。だが、健康をさほど害さずに平日から休日まで楽しめ、アルコールほど“行動”を制限しない選択肢がある。それは、コーヒーだ。高いコストパフォーマンスと、自ら味わいを追求する喜びも備える。さあ、酒神バッカスにしばしの別れを告げたなら、めくるめくコクと香ばしさの旅に出かけてみよう。

アイスコーヒー=邪道じゃない! その奥深い世界とは……?

ここのところ、汗ばむような日も増えてきた。そんなとき、大人の喉を潤す飲み物のひとつといえば、アイスコーヒーだろう。だが趣味性の観点でいえば、コーヒーはホットでそのまま飲むことこそが“王道”であることに、疑いの余地はない。すなわちアイスコーヒーは邪道……と考えてしまうのは、いささか時期尚早かもしれない。淹れ方を探求することで、アイスの世界もホットに比肩するほど奥深いらしい。
……このように教えてくれたのが、オニバスコーヒーなど都内4つのコーヒー店のオーナーをつとめ、腕利きのロースターとしても知られる坂尾篤史さん。果たしていったいどんなものなのか。早速淹れ方をレクチャーしてもらった。

まるでフレッシュジュース!? 魔法のアイスコーヒー

「1杯分なら、まずこのようにサーバーに氷をたっぷり入れて、ドリップしてすぐに急冷できるようにしておきましょう。ホットコーヒーの場合は13gですが、濃いめに出す必要があるので18g使います。ちゃんと重さを量って入れることが大切ですよ」

サーバーにドリッパーをセット。フィルターを置いてコーヒーパウダーをこんもりと盛ったら、沸騰した150mlのお湯を注いでいく。

「まず、40mlのお湯を回し掛けて、40秒間しっかり蒸らしてあげましょう。その際にティースプーンで軽く混ぜること。日本茶も紅茶も中で茶葉を踊らせますが、コーヒーも同様に抽出を促進させてあげるべきなんです。その後、40〜50mlを、20秒おきに注いでいきましょう。最後にティースプーンでもうひと混ぜして完成です」

氷ごとタンブラーに移し替えたら完成! ひと口飲んでみると、本当に爽やかで、味わいのディテールがはっきりしている。酸味、香り、ほのかな甘みが粒立って口の中で踊る感覚だ。よく知るアイスコーヒーとはひと味違う。

「イメージが変わったでしょう? 果汁を搾ったフレッシュジュースを飲んでいる感覚だと思います」
何かを足すなら、コーヒーの風味を大事にするべし
よく知るアイスコーヒーとは別物!となると、ちょっといろいろ試してみたくもなる。トッピングを楽しむのもときには面白そうだ。……かといって、女子が集うコーヒーチェーン店のように、濃厚なフレーバーを加えクリームをうずたかく盛り付け、ふりかけのようにナッツを散りばめるのは、大人としてはかなりの抵抗感を伴うことだろう。となると、もっともスタンダードなものといえば、やはり砂糖。でも坂尾さんによると、「ここもちょっとこだわってほしい」とのこと。

「ガムシロップでももちろんいいんですが、やや薬っぽい臭いがしてしまって、風味が壊れてしまうんですね。せっかくこだわるなら、優しい甘さのキビ糖を使ってみて下さい」
このように、風味を大切に淹れたコーヒーにもかかわらず、その風味を壊してしまっては本末転倒。トッピングについても、“添える”程度がルールだ。

「たとえばレモンやレモンピール、ライムの皮などはいかがでしょうか? コーヒーの風味を損なわず、香りや後味をアレンジしてくれますよ」
ミントからお酒まで。コーヒーのアレンジは週末の自由研究

思いつきで、ミントを足してみた。さらにレモンをひと絞り。すると、見た目はおろか、口に含んだ印象はかなり紅茶に近い味わいに! とはいえ口腔に広がる後味は、紛れもなくコーヒーだ。新しい飲み物を生み出してしまったのかもしれない……なんて恐れ多い感想だが、ちょい足しを試していけば、自分だけの究極の一杯に出会えるかもしれない。もちろん、ちょっぴりお酒に“浮気”なんていうのも……。
「ウィスキーを入れるアイリッシュ・コーヒーや、ブランデーを使ったサルマもいいですが、今回作ったようなライトなコーヒーなら、たとえばウォッカのようなサッパリとしたものも合いますよ。風味を壊さないものなら、アルコールに限らずいろいろ試してみても面白いですよ」

わかりやすい派手さはないが、大人の“ワンメイク”コーヒーの道のりは、自由研究に近しい楽しさがある。高い趣味性を備えながら、童心に帰れる体験ができる……。う〜ん、週末を費やすに十分な価値があると言えるだろう。
■教えてくれた人

坂尾篤史さん
1983年生まれ。オーストラリアでカフェの魅力に取りつかれ、帰国後バリスタ世界チャンピオンの店でコーヒーの修業。2012年、奥沢にオニバスコーヒーをオープン。トレーニングやワークショップなど行いながらコーヒー農園にも積極的に訪れる。14年、渋谷に『ABOUT LIFE COFFEE BREWERS』をオープン。15年「RATIO coffee & cycle」、16年にオープンし、今回訪れたオニバスコーヒー中目黒店は、駅からほど近い大人の止まり木だ。
[店舗情報]
オニバスコーヒー 中目黒店
住所:東京都目黒区上目黒2-14-1
電話:03-6412-8683
営業時間:9:00〜18:00(不定休)
www.onibuscoffee.com 
■緊急告知!
坂尾さん直伝! 「オーシャンズ」読者向けワークショップを5月28日(日)に開催!!
※募集は終了いたしました。たくさんのご応募ありがとうございました。

美味しいコーヒーについてより詳しく知りたいなら、坂尾さんに直接教えを請うべし! というわけで5月28日(日)に、「オーシャンズ」読者に向けたでワークショップを開催(午前・午後の2回実施予定)。美味しいコーヒーを淹れるポイントを映像&レクチャーで、さらに飲み比べとハンドドリップを実践することで、週末を楽しむ大人のコーヒーマスターへ一歩近づけるかも⁉︎ 「オーシャンズ」定期購読者なら、なんと無料で参加エントリー可能だ!
日時:5月28日(日)
 ①午前の部 10:00〜12:00(09:30受付開始)
 ②午後の部 13:00〜15:00(12:30受付開始)
場所:オニバス コーヒー 中目黒店
 〒153-0051 東京都目黒区上目黒2−14−1
取材・文=吉州正行
撮影=小島マサヒロ
次回を読む



SHARE

次の記事を読み込んでいます。