今年1月にスイスのジュネーブで開催された“時計の祭典”。今回は、そこに出品された、話題の最新作にフォーカス。数多の逸品が揃う中から5ブランドを厳選し、その注目作を紹介しよう。
CARTIER
カルティエ
原点回帰の下、メンズウォッチは自由や情熱を尊び、自分らしく生きる男のスタイルを訴求。いずれのタイムピースにもメゾンを象徴する時代を超越した普遍的なエレガンスが貫かれている。
圧倒的な薄さを追求して、エフォートレスな輝きを放つ 「ドライブ ドゥ カルティエ エクストラ フラット」
昨年発表の話題作「ドライブ ドゥ カルティエ」に、薄型ムーブメントを搭載。独創的なフォルムのクッションケースは6.6㎜厚と従来から40%も薄く、さらに洗練されている。伝統的なデザインコードは活かしつつ、スリムなスタイルに合わせて文字盤をシンプルに統一。自然体を追求する時代の気分を反映して、さりげなく個性を主張する憧憬の1本だ。
PANERAI
パネライ
カーボン系パーツの自社製ムーブメントや、ガラスと金属合金をケースに採用するなどして素材革新を進めた。一方でアメリカズカップの公式ウォッチを発表し、海に置く軸足を確かなものにした。
日常使いのできる本格ダイバーズ 「ルミノール サブマーシブル 1950 オートマティック アッチャイオ」
パネライの中でも、より身近な新作として注目の「サブマーシブル」。シリーズ初となる小ぶりなケースサイズで、300m防水と回転式ベゼルを備えた本格ダイバーズがより日常使いに適した姿になった。堅牢性と高い視認性を備えたスタイルの内側には、3日間のパワーリザーブを誇る自社製ムーブメントを収めており、見た目だけでなくその実力もタフネス。
FRANCK MULLER
フランク ミュラー
ブランド創立25周年となる今年、約5年をかけた新社屋の改築も完了し、新たに新作展示会の会場になった。スケルトナイズされた「ヴァンガードグラビティ スケルトン」や、ケース全体にビザン数字を配した記念モデルが終始来場者の関心を集めた。
スリムに生まれ変わった美しきアイコニックピース 「ヴァンガード スリム」
ボリューム感があり立体的なフォルムを描く「トノウ カーベックス」コレクション。その現代的なアレンジとして人気を集める「ヴァンガード」から、ケース厚約9.5㎜というスリムなモデルが登場。思わずうっとりするような造形美が魅力で、ベゼル部分の幅を狭めて文字盤をより大きく見せるというバランスの取り方も実にニクい演出だ。
BVLGARI
ブルガリ
本格的なウォッチメイキングをさらに推進。そしてトップジュエラーとしての美意識を注いだシンボルモデル「オクト」は、世界最薄のトゥールビヨンをスケルトン化する一方で、シンプルな3針モデルはよりコンテンポラリーな印象へ。独創的な八角形のケースが新たな魅力を纏った。
シンプルな3針モデルが纏う新たな魅力 「オクト ローマ」
5年前の発表以降、3針、クロノグラフ、薄型、トゥールビヨン、ミニッツリピーターと進化を遂げてきた現行の「オクト」。それに対し、新作では本来の力強さにモダンでドレッシーな印象を獲得。ベゼルは従来のワンピース構造から八角形と円が別体となり、異なる素材や仕上げを組み合わせた表現を可能にした。
HUBLOT
ウブロ
“アート・オブ・フュージョンの再評価”を掲げたウブロ。怒濤の新作ラッシュは勢い衰えず、バーゼルワールドに先立ち、ジュネーブでは約60型が先行発表。パートナーシップを結んでいるフェラーリとのコラボモデルなど話題は尽きない。
ビッグ・バン初のGMTモデル 「ビッグ・バン ウニコ GMT チタニウム」
自社製ムーブメントであるウニコをベースに、クロノグラフではなくGMT機能を搭載。シンプルな3針に24時間副時針を組み合わせたGMTは特許を取得しており、ベゼルに彫り込まれたインデックスも新鮮のひと言。第2時間帯の調整はプッシャーの操作によるアップダウンが可能で、使いやすさも抜群。チタンのマットな質感と深いブルーのストラップのカラーマッチングも見逃せない。
ファッションは、その人のセンスや嗜好を雄弁に語るもの。由緒あるブランドの技術と英知の結晶ともいうべき腕時計は、控えめながら、最高の“自己表現”になるだろう。