腕時計は持ち主の趣味、嗜好を雄弁に語る。はたから見たら“些事”とも言うべき、デザインや素材、仕上げへのこだわりの集積回路。だが、その小さなこだわりに、違いのわかる男は魅了されるのである。このページでは、“違いのわかる”OC世代のために選び抜いたこだわりの腕時計を、3つの観点でカテゴライズして紹介しよう。
ありそうでない、だから魅了される。
「デザイン」の違いが“わかってる”時計
腕時計は手首に収まる程度の小さなもの。だが、それは多様で微細なデザインを秘めている。他と一線を画す存在感は、その違いが醸し出すのだ。
PATEK PHILIPPE
パテック フィリップ/ゴールデン・エリプス
黄金分割法から生まれた美しきプロポーション一般的な正円や四角の時計に対して、オーバルという個性的なフォルム。斬新でありながらも美しさと気品が匂い立つのは、この時計が古代ギリシャで発見され、建築や芸術でも理想的なプロポーションとされる黄金分割法に基づいてデザインされているからだ。1968年に発表されて以来、スタイルを変えず、ブルーダイヤルも洗練の美を湛える。完璧な調和、まさにタイムレスな魅力がある。
パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター
03-3255-8109
PIAGET
ピアジェ/ピアジェ ポロ S
Sの名の下に生まれたユニークなデザイン
ラウンドケースとクッションダイヤルという組み合わせは、その逆はあっても従来になかった独創的なデザインと言える。こちらは1979年に誕生したピアジェのロングセラー、「ピアジェ ポロ」シリーズに加わった野心作であり、ブランドでは稀少なSSケースという点でもエポックメイキングな時計だ。モデル名のSには“シグネチャー”とともに、自分らしい“スタイル”という意味も込められている。
ピアジェ コンタクトセンター
0120-73-1874
異なる組み合わせが生む独創性
「マテリアル」の違いが“わかってる”時計
素材の進化は著しく、その特性を活かすだけでなく外装でも異なる素材を組み合わせたデザインが生まれている。そこには複雑な加工製造技術が伴うのだ。
TAG HEUER
タグ・ホイヤー/タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー01 クロノグラフ
マテリアルの革新で名作も次世代の扉を開く高硬度のセラミックベゼルのような適材適所な素材の採用は、機能面だけでなく、色や印象といったデザイン面の可能性をも広げてくれる。ブランドを象徴する名シリーズ、「カレラ」のスポーティなケーススタイルを受け継ぎながら、12のエレメントから成るモジュール構造にすることで、マテリアルの違いを視覚的にも楽しめる仕上がりに。半世紀を超えるロングセラーは、新たな魅力を纏って次世代の扉を開いたのだ。
タグ・ホイヤー
03-5635-7054
HUBLOT
ウブロ/ビッグ・バン ウニコ チタニウム セラミック ブレスレット
異素材の融合を促したエポックメイキング今では定着した異素材の融合というスタイルの先駆けになったのがウブロだ。2005年に“フュージョン”のコンセプトの下、ベゼル、アッパーケース、インサートなど外装をマルチピース化し、それぞれに複数の異なる先進素材を採用し、高硬度や軽量性といった特性を活かした。現在はさらに進化を遂げ、本作ではブレスにもチタンとセラミックを組み合わせる。
ウブロ
03-3263-9566
革新性とは即ちこだわりの結果である
「かけた手間ひま」の違いが“わかってる”時計
革新的なスタイルは、目に見えない部分へのこだわりの結集。それは長年培われた技術や凝った製法、あるいは斬新な発想の転換からもたらされる。
BREITLING
ブライトリング/トランスオーシャン・クロノグラフ 1915
メッシュブレスに注がれた、ブランドの探究心“プロのための計器”として時計へ情熱を傾けるブライトリングは、ブレスレットにも探究心を注ぐ。それは1915年に誕生した、リュウズから独立した画期的なプッシュボタン機構へのオマージュを捧げたこのモデルのメッシュブレスレットでも同樣である。通常のメタルブレスと同様にコマ詰めできる独自機構を採用することでカットや溶接の手間を省き、理想のサイズへ容易にアジャストできるのだ。
ブライトリング・ジャパン
03-3436-0011
RADO
ラドー/ハイパークローム ブラウンセラミックス
高度な成形&着色技術で宝石のような輝きを放つ1980年代、ラドーは軽量性や堅牢性、抗アレルギー性に優れるハイテクセラミックスを他に先駆けてケースに採用。その後も改良を重ね、秀でた加工技術で本来は非常に難しい安定した成形や多彩な着色を実現し、その道で最先端を走っている。この美しい研磨仕上げのブラウンも絶妙な濃淡を見せ、宝石のような輝きを放つ。
スウォッチ グループ ジャパン(ラドー)
03-6254-7330
時計に秘められたデザインの妙や、異素材が織りなす斬新な個性、革新性を支える技術や発想は、知るほどに好奇心を刺激する。そして些事を大切にする感性や審美眼は、時計に限らず、ファッションや趣味、嗜好、ひいては生き方にも通じるだろう。なお雑誌版OCEANS 3月号では、他にも数多くの腕時計を紹介中。こだわりの時計を身に付け、誰もが憧れる“わかってる”男を目指そう。