そもそも「スナック」とは何なのか? まずは、ここから。
スナックについて学ぶ前に、その定義を明確にしておきたい。教えてくれたのはスナック好きが高じて2015年に「スナック研究会」(
http://snaken.jp)を立ち上げた首都大学東京法学系の教授・谷口功一氏。(※谷口氏は現在発売中の『月刊文藝春秋 2017年2月号』で「スナックからの地方創生」を寄稿中)
「『スナック』という名の愉悦」を最初から読む「どうせならスナックで飲みながら話しましょうか」。谷口氏が連れて行ってくれたのは東京郊外の某所。駅からほど近い場所に、スナックのネオンがきらめく一角があった。
「ここは、たまたま客引きに教えてもらって入った店。最初は腰を低くして飲んでいたんですが、何度か通ううちに虜になりました」
一歩足を踏み入れると、いかにも「ザ・スナック」という内装。カウンターの中には和装の美人ママ。完璧ではないか。まずは、ビールの小瓶で乾杯する。
「もともと30代になったら自分の父親がそうだったような大人の飲み方をしようと思っていたんです。それがスナック。敷居? 最初は高かったですよ。でも、今ではすっかり馴染んでしまいました(笑)」
谷口氏は大分県の別府の生まれ。実家は駅前にほど近い繁華街のど真ん中にあった。家の前はストリップ劇場で周囲にはスナックが立ち並ぶ。いわば、スナックエリートとも言えるDNAの持ち主なのだ。
スナックは1964年の東京オリンピック時の風俗浄化運動から生まれた
さて、スナックの定義である。
「じつは、明確な定義はないんです。水商売には居酒屋、バー、キャバクラ、スナックなどいろいろありますが、法的にはスナックが一番複雑かもしれません。警察、消防、保健所、いろんな規制の網の目の中で営業している。開業届けがかなり面倒くさいため、それを専門に扱う行政書士もいるほどです」
ママが最低一人いる。店によってはアルバイトの女の子がいるケースも。カウンター越しの接客が基本で、ボックスがあっても隣に付けない。これをやると風営法違反になるそうだ。
その起源も面白い。
「もともとは『スタンドバー』というカウンターだけの酒場がありました。しかし、1964年の東京オリンピック開催を機に風俗浄化運動が起こり、深夜営業が厳しくなる。国会議事録にも『不良が溜まってよくない』といった議員のコメントが残っているほどです(笑)」
そこで生まれたのが現在のスナックの起源となる「スナックバー」。軽食を出すことで取り締まりをかいくぐったという。スナックで出てくるママお手製のお通しは、その名残なのだ。つまり、スナックは日本独自の文化。アジアの一部の国にも同じような業態の店はあるそうだが、計10万軒、津々浦々に発展したのは我が国だけなのだ。
第三回のテーマは「都道府県ごとの分布」。人口比率でスナックの軒数が一番多いのは、意外にもあの県!
20~40代の日本人スタッフのみ。神田駅近でアクセスも抜群!
「スナック沁」
営:19:00~1:00
休:日曜・祝日
住:東京都千代田区内神田3丁目10-3神田ロイヤルビル 5F
電:03-3258-4108
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