2021.04.29
ANNIVERSARY

15周年のチョコプラ、光と影の歩み。長田と松尾の赤裸々トークを全公開

チョコレートプラネットといえば、今や誰もが知る国民的お笑いコンビだ。

そんなチョコプラが今年で結成15周年を迎える。そう、オーシャンズと“同い年”なのである。

では、彼らはどんな15年を歩んできたのか。長田庄平さんと松尾 駿さんにリモート取材を慣行した。 

パソコンのモニター越しでポーズを取ってくれる“チョコプラ”。リモート取材にもかかわらず、時折りボケやツッコミを織り交ぜたテンポのいいやりとりで、終始和やかな空気。

苦節10年って「どんだけぇ~!」。デビュー直後に待っていた暗黒時代

編集部 まず、15周年おめでとうございます!

長田松尾 ありがとうございます! オーシャンズさんもおめでとうございます!

編集部 ありがとうございます! では早速、この15年という歳月は、おふたりにとってどんなものでしたか?

長田 15年。僕にとっては、長かったようで短かった、そんな感じです。

松尾 15年。僕にとっては、短かったようで長かった、そんな感じです。

編集部 (笑)。チョコプラはコンビ結成わずか2年で、2008年キングオブコントのファイナリストに選出。世間はこれを華々しいデビューと受け止めていますし、チョコプラは順風満帆と見ている人は少なくないと思うんです。

長田 いやいや、まったく順風満帆ではありませんでしたね。もちろん、売れずに苦労している芸人は山ほどいるので、そうした方々と比べてしまうとそう映るのかもしれませんが。

松尾 そうですね。確かに、同期の間なんかでは調子が良さそうに見えていたかもしれません。でも、まったく順調ではありませんでした。

「この写真はデビュー前の2006年の写真です。コンビを結成したNSC(吉本総合芸能学院)を卒業する直前か直後くらいかな」(長田)。「場所は新宿シアターモリエールという劇場です」(松尾)。「とりあえず、そのまま頑張って続けなさい、いつか売れるから。当時のふたりにそう言ってあげたい」(長田)。

編集部 キングオブコントの決勝という舞台に上がった当時、何か手応えのようなものはなかったんですか?

長田 手応えなんてまったくないですよ!

松尾 自分たちもよくわからないうちに決勝という舞台に上がっちゃったという記憶しかありません。現にファイナリストになった瞬間も「やった!」なんて喜んでませんでしたから。「え!? どうしよう!」って、ある種のパニック状態でした。

編集部 でも仕事での反響はあったのでは?

長田 最初は期待しました。でも、全然仕事は入ってきませんでした。

松尾 そういう意味では大きく期待が外れたので、本当にモヤモヤしてました。

長田 そんなモヤモヤした状態が、かれこれ10年ほど続いてしまったんです。

編集部 チョコプラは世間が思うよりも長い間、苦しんでいたんですね。では、そんな冬の時代を越えたターニングポイントはいつなんでしょう?

長田 2017年にスタートしたTV番組『ウチのガヤがすみません!』(日本テレビ系列)で、松尾のIKKOさんのものまねがウケて大きく跳ねたときに「もしかすると活路が開けるかも」と思いました。「これでイケる!」とまでは思いませんでしたが。

松尾 IKKOさんのものまねが世の中に受け入れられていくにつれて少しずつ仕事が増えて、不安な気持ちは減りましたけど、長田さんが言うように「これでイケる!」とは思えませんでしたね。

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チョコプラが自らが選ぶ、過去15年でのベストネタとは!?

編集部 チョコプラといえばコントが主戦場という印象がありますが、おふたりにとって最も印象深いネタは何でしょうか? 

長田 僕は「業者」というコントですね。これは、2014年のキングオブコントの1本目でもやったんですが、「ポテチの袋を開ける描写」を題材に考えたもの。小道具・設定・ネタが三位一体となった、僕が求めているある種の“完成形”と言ってもいい。それくらい満足しています。こんなネタをもう1回作りたいと思っているんですが、まだ作れていない。その意味でも印象深いんです。

 

編集部 ファンの間でも人気のネタですね。特許申請を出しているという専用のカッターでポテチの袋を開けるシーンも見てみたかったです(笑)。

松尾 詳しいですね(笑)。確かに、「業者」はこれ以上いじりようがないし、アドリブも入れようがない。だからこそ、長田さんが気に入っているのもよくわかります。

編集部 松尾さんは、やはりものまねでしょうか?

松尾 そうですね。僕にとって最も印象深いのは『ウチのガヤがすみません!』でやった梅沢富美男さんのものまねです。初めてやったときに、それが収録中にどんどん仕上がってモノになってくるのがわかったんです。ものまねしながら、「あ、これはレパートリーに入れられる」と自分の中でも確信していたのを鮮明に覚えています。

編集部 『ウチのガヤがすみません!』の最大の見所は、出演者のみなさんの即興にあるように思います。今思えば、先に出た松尾さんのIKKOさん、長田さんの和泉元彌さんのものまねが生まれたのも、即興コントで人気だったTV番組『有吉の壁』(日本テレビ系列)でした。もしかするとおふたりは、即興にものすごく強いのかもしれませんね。

松尾 そうですね。あの番組はいつも無茶振りで、準備も何もない状態でやらされるんで、それなりに苦労はしましたけどね(苦笑)。

「これは、2007年の写真です。ルミネtheよしもとで若手芸人の発掘を目的としたネタバトルの一幕ですね。『5じ6じ』という名称で、平日の夕方に行われていたものです。当時ランキングでは僕たちが1位だったんですが、この直後どんどん落ちていきます。そんなことをこれっぽっちも知らないふたりですね」(松尾)。
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松尾 駿がズル休み&ズル早退してまでイヤがった仕事とは?

編集部 苦労といえば、おふたりが15年で最も辛かったことは何でしょうか?

長田 やっぱり長い間ブレイクしきれなかったことですね。TVやネタ番組でしっかりウケたり面白いと言ってもらえるのに、次につながらない。

編集部 そんな時期が10年間も続いたと。

長田 原因を探っても、自分たちが何か決定的なミスをしたわけでもないし、周囲から一定の評価をいただいていたからこそ、余計に辛かった。もしそれがウケてなかったり、明確な理由があれば納得できたんでしょうけど、そうじゃなかった。本当にもどかしかったです。

松尾 僕は2014年の夏に開催された「よしもと大運動会」が本当に辛かった。日体大の方々がやられていた「集団行動」という演技をみんなでしたんですが、その練習に参加するのが苦痛で……。要するに仕事がない芸人が参加するイベントで2カ月くらい練習期間があったんですが、本当にイヤで嘘ついて早退したり、ズル休みしたくらい(笑)。

編集部 ブレイクできず“足踏み”をしている自分自身に苛立っていた、と。

松尾 はい。もうこれ以上みんなと足並みを揃えて「集団行動」なんてしたくない!

編集部 その悔しさをバネに頑張られたと。そして、ものまねで突破口を開いた。

長田 その通りなんですが、それは決して僕らが戦略的にやったわけでも、予想していたことでもありませんでした。だからこそ、ブレイクできたのは、やはり「運」だったんだと思います。

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ブレイクしたのにアッという間に消えていく芸人の共通項 

編集部 長かった冬の時代をあえて前向きに捉えるなら、自分たちを見つめる時間はたくさんあったわけですよね?

「これは『ヨシモト∞』(ヨシモトむげんだいと読む)、通称「無限大」という番組に出ていた2007年の写真ですね。ちょうど2007年に10週勝ち残りを達成したり、過去の中で最も人気があった時期なんじゃないかと思います。でも、すぐその人気なくなるよ、と言ってあげたいです」(長田)。

松尾 そうですね。売れなかった時代は本当にいろんなことを考えました。例えば、売れたけれど、そのあとすぐに消えていく芸人について。きっとこの人はこれをしたから、消えてしまったんだとか、そういうのを自分なりにすごく分析しました。絶対に同じ轍を踏まないようにしようと。

編集部 お笑いの世界をしっかり研究されていたんですね!

松尾 いえ、単に意地が悪いだけです(笑)。「あの人は売れ出したからって最近楽屋で話す声が急にでかくなった」とか「あの人は六本木で飲み歩いたりするのを自慢するようになった」とか。そういう芸人の姿を反面教師にしようと思いながら見ていました。たとえ売れても、絶対に偉そうにしたり、おごることがないようにと心に決めていました。

編集部 長田さんはどうですか?

長田 そうですね、僕はとにかくどんな状況であっても楽しむことを忘れない。ただそれだけを心がけていました。

編集部 それは今も同じですか?

長田 はい! まったく変わりません。TVもライブも、最近であればYouTubeも、まったく同じです。YouTubeでは面白いか面白くないかは二の次で、とりあえず思いついたものはやってみる実験の場として考えているんです。本当に不安しかないんですが、やるからにはとにかく自分が楽しもう、そんな思いですね。結局は楽しんだもの勝ち! なんじゃないかなと。

編集部 YouTubeチャンネル「チョコレートプラネット チャンネル」は登録者数117万人、総再生回数は2億越えという恐るべき人気ですが、手応えは?

「チョコレートプラネット チャンネル」のトップページ。瑛人さんの香水のMVがありつつ、「人気のアップロード動画」には長田さんの完全再現バージョンが。爆笑必至です。

長田 確かにバズっている動画もたくさんありますが、実験の場だけあって、その数倍“ゴミ動画”もありますよ(笑)。

編集部 では、15年の歴史で最もうれしかったことは?

長田 2014年のキングオブコントの決勝で、同期のシソンヌと優勝をかけて戦ったことですね。あの舞台は本当に痺れました。

松尾 僕も同じです。あれを超える興奮を味わう機会というのは、もうないんじゃないかなと思っています。それくらい胸にくるものがありました。

>後編へ続く

 

安部 毅=取材・文

# 15周年# チョコレートプラネット# 芸人
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