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2021.06.22

ライフ

たった3.7坪に男の“好き”が詰まった店「イン」。白い看板の奥で語ったアレコレ

真っ白な布看板に「INN」と書かれたマンションの一画。一歩足を踏み入れれば、たった3.7坪の空間を仕切る特徴的なU字のカウンターが出迎える。

その向こう側で、オーナーの甲斐マイクが微笑んでいた。

渡辺真史さんが訪れた“好き”が詰まった場所

訪れたのは渡辺真史さん●1971年、東京都生まれ。ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター。ローカルとインターナショナル、2つの視点で東京をクルージング。
渡辺 こんにちは。いきなりですが、面白い空間ですね。信吾ちゃん(若木信吾。本企画の写真を担当)のポップアップをやっているとお聞きしました。

甲斐 おかげさまで好評で。若木さんの写真をステッカーにしてコーヒーカップのラベルとして提供していましたが、すぐになくなってしまいました。

渡辺 それはすごい。というか、そもそもこの店自体がすごい(笑)。U字カウンター越しに、アート、ファッション、カフェまで共存している。

甲斐 自分たちのやりたいことを手の届く範囲でやろうとして、こういう形になりました。ポップアップストアとオリジナルのアパレル「ポストアメニティ」、バリスタの相方が手掛けるコーヒースタンド「ザ ラテ トウキョウ」。なんとかして全部できないかなって。

渡辺 この面積だったら、本来は1つのことをやるのも大変なはず。そこに3つも詰め込んでいるのに、無理している感じがない。逆に居心地が良い。

甲斐 “好き”を詰め込んでいるので、そう感じてもらえるのかもしれません。



渡辺
 アパレルもクオリティが高くて、本気度が伝わってきます。

甲斐 10代から原宿で販売員をやっていて、ブランド「カシュカ」やショップ「ザ・プール青山」での仕事を経て独立しました。大先輩の渡辺さんからお褒めいただくなんて、光栄です。

渡辺 いえ、恐縮です(笑)。ところで、なぜここに店を?

甲斐 この辺に住んでいるのですが、5〜6年前は、まだ“奥渋”とも呼ばれていなく、シャッター通りでした。でも、ポテンシャルは感じていて。

渡辺 友達が住んでいたから、僕も以前はよく来た。「アリマックスホテル渋谷」があったりして、懐かしいな。

甲斐 最近また店が増えているようで。

渡辺 この辺は穏やかでいいですよね。

甲斐 この店も、都会人の潤いになればと思い「イン」と名付けました。都市生活者はどこか寂しい旅人に似ていると思っていて、彼らが立ち寄る“宿”をつくりたかったんです。

渡辺 なるほど。空間も置いてあるモノもセンスが良くて、ポジティブなバイブスを感じる。次のポップアップストアも気になるし、また来たいです。

甲斐 ぜひ。お待ちしています。

——よく晴れた春の清々しい風に吹かれて、微かにはためく「INN」の旗。それはまるで、我々を優しく手招きしているようにも見えた。
「イン」
住所:東京都渋谷区神山町3-3 T’S GREEN 101
電話番号:03-6416-8298
営業:8:00〜19:00(土・日曜、祝日は10:00〜18:00) 不定休
instagram@inn_tokyo


若木信吾=写真 増山直樹=文

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