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2021.05.24

ライフ

行列ができるカレー店「ヨゴロウ」は、どこか懐かしい“ホット”な店だった

出遅れた客が店内を覗きに来ては、踵を返す。目当てはカレー。西 暢央がオーナーを務める「ヨゴロウ」のランチタイムは、今日も賑やかだ。
訪れたのは渡辺真史さん●1971年、東京都生まれ。ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター。ローカルとインターナショナル、2つの視点で東京をクルージング。
渡辺 いつも混んでいますよね。
西 並ばない日もあって、夜は暇です。
渡辺 レゲエが流れていたり、レコードが席の仕切り板になっていたり、この雰囲気がカレーによく合う。キングストンにありそうな小さなカレー屋って感じでいい。店の名前も絶妙ですね。
西 実は、祖父の名前を拝借しました。
渡辺 え、本当? 意外だな〜。ずっと客という立場でしかなかったので、こうやって話をしてみたかったんです。
西 ありがとうございます。飲食店に憧れがあって、最初は釜飯屋を始めようと、和風の名前に。だから、特別なカレーの修業をしたわけじゃないです。
渡辺 じゃあ、自己流でこの味を?
西 はい。オープン当初は反応が怖くて、友人だけを招いて感想を聞いたり。そこから試行錯誤を続けて、今の味に落ち着いたのは5年前くらいです。
渡辺 すごいセンス。本当にうまくて、日本人が馴染みやすいインドカレーというか。でも、日本のいわゆるカレーじゃなくて。定期的に食べたい味。そもそも、前職はライターでしたよね?
西 「Boon」という雑誌を担当していました。おかげでファッション関係に知り合いが多く、この場所もある意味で馴染みのある土地でしたね。
原宿外れのカレー店「ヨゴロウ」はどこか懐かしく、奥深い“ホット”な店だった
渡辺 この辺は洋服屋も多いけど、カレーの激戦区でもありますね。
西 2009年にこの店を出したときは、それほどカレー屋がなかったです。
渡辺 カレーがやっぱり好物ですか?
西 人並みには好きだと思います。
渡辺 飄々としてるな〜。厨房に立つ姿とのギャップを感じます。いつもは職人の鋭い眼差しだけど、実際に話してみると、頑固一徹って感じでもない。
作る人と作られたものも関係がステレオタイプじゃないっていうか。カレー一筋の店主なのかと思いきや、そのイメージとは全然違っていて。
西 僕としては毎日緊張して、まじめに作っているだけだと思っています。
渡辺 ヘルシーで自然体な西さんの性格が、店に滲み出ていると言えるのかも。だからこそ、ずっと“ホット”な店としてあり続けているんだと思う。
西 うれしいです。参考になります。
渡辺 休日は何をしていますか?
西 友達とバンドを組んでいるので、もっぱらギターの練習ですね。
渡辺 実は僕も最近ドラムを買って。今度、機会があったら合わせましょう。
西 ぜひお願いします。
——原宿の外れ、その半地下に潜む行列店。流行のカレーの味は、どこか温かく、懐かしく、奥深い。
「ヨゴロウ」
住所:東京都渋谷区神宮前2-20-10 小松ビル1F
電話番号:03-3746-9914
営業:11:30〜16:30、 18:00〜20:30(土曜は11:30〜16:30) 日曜、祝日定休
若木信吾=写真 増山直樹=文


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