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2021.01.12

ライフ

地球から200万km以上離れた深宇宙から届く微弱な電波を受け止める、美しいアンテナ

※当記事は「JAXA」の提供記事です。
地球からの距離が200万km以上の宇宙を深宇宙と呼ぶ。この深宇宙に飛行する探査機とのデータ交信を担うのが、美笹深宇宙探査用地上局(以下「美笹局」)だ。
長野県佐久市の蓼科(たてしな)スカイライン沿いに建設中の大型パラボラアンテナは、金星探査機「あかつき」や小惑星探査機「はやぶさ2」などとの通信に使われている臼田宇宙空間観測所のパラボラアンテナの後継局として、2021年春から本格運用される。
本格運用に先立ち、今年の12月には地球に帰還する「はやぶさ2」との通信バックアップを務めるほか、運用開始後は水星磁気圏探査機「みお」などのミッションを支えていく。臼田以上の大容量の通信にも対応するその造形に迫った。
 

鏡面の歪みをクレジットカード1枚分にまで抑えた、大型パラボラアンテナ

大型パラボラアンテナ
口径54メートル、重量2200tになる大型パラボラアンテナは、臼田宇宙空間観測所から直線距離で1.3kmほどの場所にある。深宇宙探査用地上局プロジェクトチームの沼田健二プロジェクトマネージャは言う。
「パラボラ(Parabola)は放物線という意味で、パラボラアンテナも放物面の形をした反射鏡があります。探査機からの電波が放物面で反射し1カ所(焦点)に集めることで、電波が増幅されるのです。今回整備したアンテナではより電波を集める力を高めるために、主反射鏡の歪み(凹凸)をクレジットカード1枚分程度にまで抑えられるように精密に製造、調整しているんです。
例えば『はやぶさ2』の電波を初めて受信した時は約2億5千万km離れていて、そんな深宇宙を飛ぶ探査機からの微弱な電波を受信するには、精度の高いアンテナが必要不可欠なのです」。


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