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2020.06.29

ライフ

お酌は“アルハラ”? 職場の飲み会で注意すべき言動を弁護士がジャッジ

「備えよ。俺も、新学期」とは……
「酒は飲んでも飲まれるな」と言っても、酒を飲むとつい気が緩んでしまうこともある。気のおけない友人相手ならそれでもいいが、部下との飲み会では注意が必要だ。うっかり接し方を間違えると、“アルハラ”になりかねないから。
非常事態宣言も解け、徐々に職場の飲みも増えるだろう。だからその前に、気をつけるべきことを弁護士の寺田正主さんに聞いておこう。
弁護士・寺田正主さん
弁護士・寺田正主さん
石川・寺田綜合法律事務所所属。大手アパレル会社勤務を経て明治学院大学法科大学院に進学し、平成20年に司法試験に合格。現在は第一東京弁護士会に所属し、企業法務全般および使用者側労働事件、家事事件を多く手掛ける。ズバッと言い切る語り口のおかげか、『実録!犯罪列島』シリーズ(TBS系)を中心にテレビ出演も多数。
――これから新入社員の歓迎会をしようかと思ってます。飲みの場ではどんなハラスメントに注意しておくべきでしょう?
寺田 最近ではアルハラという言葉もメジャーになりましたが、人はお酒が入ると羽目を外しがちです。実際、酒席でハラスメントを受けたという相談も多い傾向にあります。だからこそ、飲み会では普段よりも部下との適度な距離感を保つ必要があります。
――飲み会ならではのソーシャルディスタンスが重要ってことですね。では、ここから具体的な質問でジャッジしていただきましょう。

①そもそも飲みに誘うことが“アルハラ”なの?

寺田 会社のオフィシャルな飲み会に誘うだけでは、ハラスメントにはならないのでご安心を。問題となるのは、仕事帰りに上司が部下を誘うような場合ですね。この行為自体がすぐさまアルハラということではありませんが、部下が“強制されている”と感じるようでしたらその限りではありません。喜んでついてきているように見えても、実際には嫌がっている……なんてことだってありますからね。
――良かれと飲みに誘ったら「それは残業ですか?」と返された人もいるとか(汗)。
寺田 昔のように毎晩上司と飲み歩くのが良しとされる時代でもないですからね。誘う頻度やタイミングも部下の負担にならないよう配慮すべきでしょう。じゃあ、月に何回までならいいのかって言われそうですが、この判断は非常に難しいです。結局のところ、部下の性格や関係性などによってケース・バイ・ケースです。

―― 続いては歓迎会でのハラスメントについてお聞きします。新入社員にひと言挨拶してもらおうと考えているのですが……。

②みんなの前で挨拶させてもいい?

寺田 挨拶はさすがにハラスメントにはなりません。社会人として職場のメンバーに自己紹介することは当たり前の行為なので、特に問題ないでしょう。ただし、新入社員が萎縮してしまうような高圧的な態度で挨拶を強制したり、そもそも失敗することがわかっていて挨拶させたりすれば話は別ですが。 
――良かったです。昭和生まれのサガなのか、飲み会でグラスが空いているとお酌したくなっちゃうんですよね。

③部下の空いたグラスにお酒を注ぐのはダメ?

寺田 お酒を注ぐだけでしたら、これもさすがにアルハラとは言えないと思います。もちろん、飲むことを強制したらアウトですけどね。その場のノリで「飲みなよ」なんて軽く言うのもやめたほうがいいでしょう。
――はい、気をつけます!
寺田 可能ならば事前にお酒が飲める人なのかどうか確認しておくのもいいかもしれません。飲めない人にはノンアルコールドリンクを勧めるようにすればなんの問題もないです。

――飲み会帰りに酔った部下を介抱することもありますよね。例えば、

④部下に「どこ住んでるの」と聞いても大丈夫?

寺田 以前、部下のプライバシーには踏み込まないほうがいいとお伝えしましたが、この場合は大丈夫だと思います。部下の安全や体調に配慮するのも上司の務めですから、問題なく帰宅できるように住んでいる場所を確認することも必要でしょう。ですが、くれぐれも聞きすぎないことが大事です。どんな部屋に住んでいるのか? なんてことは間違えても聞かないようにしてください。過度な干渉はハラスメントにつながる危険性があります。適度な距離感を大切に、部下と飲み会でコミュニケーションをとってください。
――聞くべきところだけ聞くということですね。ありがとうございます!
備えよ。俺も、新学期」とは……
ピカピカの新入社員が入社してくるこの季節。我々は彼らと上手く付き合うためにどんな備えをしておくべきか。大人も新学期を迎えた今、知っておきたい新入社員と向き合うための豆知識。
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岡本卓大=写真 小山田滝音=文


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