2019.10.06
LIFE STYLE

「最小限のギアで最大級の満足を」バイクで旅するソロキャンパー

キャンプは“楽しむ”ものだけど、“魅せる”時代でもある。SNS全盛期、インスタ上で多くのユーザーを魅了する、こだわりを持つ大人たちの「魅せるキャンプ」に密着。

バイクにお気に入りのギアを積み、気ままにソロキャンプをしながら旅をする。キャンプ歴11年のノリさんは、そんなライフスタイルを送るひとりだ。年間40泊ほど楽しむそれは、いつだってツーリングとともにある。

名前|ノリさん(40代)
インスタグラム|noripuri
仕事|会社員
住まい|神奈川県
家族構成|独身

長年の夢を叶えるための手段が、いつしか目的に

「ずっとバイクの長旅に憧れていたんです。僕にとってキャンプは最初、旅を続けるための宿泊手段だった。だけどギアを集めたり、キャンパーの方たちと交流していくうちに、すっかりその魅力にハマってしまって、今ではキャンプを目的に旅することも多くなりました」。

ノリさんが乗るヤマハSR400。2019年9月5日、インスタ上に投稿

かつて観た『モーターサイクル・ダイアリーズ』という映画で、若かりし頃のチェ・ゲバラが南米大陸をバイクで旅する姿に憧れ、いつか自分もと考えていたノリさん。以前から愛車のベスパで旅することはあったが、ヤマハのSR400に乗り換えてから、彼の本格的なキャンプツーリングが始まった。

バイクの後ろには真冬の美しい星空が。2019年1月11日、インスタ上に投稿

「“ザ・オートバイ”っていう感じのバイクなんです。今では珍しいキック式エンジンや、走行時に振動音を体で感じられるところが、『バイクで旅をしてるぞ』って気分を盛り上げてくれる。僕にとってバイクはただの移動手段ではない。夜はキャンプしながら寄りかかり、一緒に星を見上げてお酒を飲む、旅の相棒だと思っています」。

自然と進んだエイジングがなんとも味がある。2019年1月24日、インスタ上に投稿

自慢のバイクはわざと純正タンクの塗装を剥がしてむき出しに。自然とサビていく過程で生まれるヤレ感、相棒が自分とともに年を重ねていくのも楽しみなのだと、ノリさんは嬉しそうに話してくれた。

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バイク旅の延長線上に、キャンプがある

伊豆の大井川鉄道でSLとSRで並走した一枚はこの年のベストショット。2015年12月29日、インスタ上に投稿

旅先でキャンプをしながら、気ままなバイク旅を楽しむノリさん。山梨や静岡、東京の奥多摩に出かけることが多いが、九州や四国、東北などの遠方に1週間から3週間かけて旅することもあるという。

秋田県を旅した際に、なまはげと一緒に撮影。2019年5月14日、インスタ上に投稿

「バイクでキャンプに行く最大の魅力は、走り始めた瞬間からもうアウトドアが始まるところだと思うんです。キャンプ場に向かうまでに見られる景色や風の匂いなど、バイクに乗っているとダイレクトに感じられる。目的地に着くまでの道すがらもキャンプの一環なんですよ」。

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ギア選びは引き算。アクシデントがきっかけで習慣化したタープ泊

キャンプツーリングへのこだわりは、バイクの後ろに積まれたギアにも現れる。バイクに積めるのは最小限のギアのみ。だからこそ定期的にアップデートしなければならないし、厳選も必要だ。そんな愛用ギアを見てみよう。

ドサっとギアを積んだ無造作なパッキングも格好いい。2019年9月29日、インスタ上に投稿

「長旅になるとその分、衣類が必要だし、お土産も買って帰りたいから荷物が増えますよね(笑)。だからこそギア選びは、引き算が大事。なるべくコンパクトに収めるよう心がけています」。

驚くことに、キャンプ泊では必需品と思われるテントを、彼はほとんど持っていかない。その代わりに登場するのがタープだ。

タープはスノーピークのペンタシールドを愛用。2016年12月4日、インスタ上に投稿

「年間40泊のうち9割がタープ泊です。テントも持ってはいるんですが、重さが4キロくらいで荷物の中でもかなり比重が重いんです。それに比べてタープは800グラム弱。タープだけだと、かなり積載量の節約になるんですよ」。

以前、キャンプの途中でテントのポールが壊れてしまい、やむを得ずタープで一夜を過ごしたのが、ノリさんがタープ泊を始めるきっかけだった。

「テントと違って外から丸見えなので、初めは少し周りの目が気になりましたね。だけど、その代わりに見上げた夜空の美しさや虫の声、自然の美味しい空気を身近に感じられる。その開放感がやみつきになったんです」。

霜が降りる真冬でもタープ泊。2019年9月18日、インスタ上に投稿

以来、真冬でも基本はタープだけ。周りのキャンパーからは「寒くないですか?」と心配されることもあるが、シュラフでしっかり防寒対策をすれば意外と大丈夫だそう。

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究極の自己満足を叶える、最愛のギアたち

「削れるところを削れば、余裕ができた分、お気に入りのギアを積めます。ソロキャンプって究極の自己満足だと思うんですよ。だから誰かが見ていると意識して体裁を整えるのではなくて、すべてが自分の楽しみのため。自分が心地よい空間を作ることが大事なんです」。

だからギア選びもマイルールでいい。そう話すノリさんが格別にこだわるのは、ランタンと火起こしギアだ。

キャンプを優しく照らすハリケーンランタン。2019年1月21日、インスタ上に投稿

「ギアの中ではランタンがいちばん好きです。特に気に入っているのは、オイルが燃料のハリケーンランタン。LEDランタンなどと比べると光量は落ちますが、独特のオレンジ色の灯火が、ソロキャンプには明るすぎずにちょうどいいんですよね」。

ノリさん手作りのレザーケースに入ったギアたち。2019年6月14日に投稿

「キャンプで焚き火は絶対必要。メタルマッチ(火打ち石)や火吹き棒、薪を割るための斧など、火起こしギアは毎回持っていきます。焚き火の炎って不思議と心を落ち着かせてくれるんですよね。それを眺めながらお酒を飲み、旅の思い出に浸る。キャンプでの最高の時間だと思います」。

焚き火をしながらお酒やコーヒーを嗜むのがノリさん流キャンプの楽しみ。2018年10月28日、インスタ上に投稿

A4サイズに折りたためる焚き火台や、全面芝生のキャンプ場で焚き火をする際に使う焚き火シートなども必ず持参するというから、それだけノリさんの焚き火にかける情熱のアツさが伺える。

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一期一会から、バイクが縁でキャンプ仲間に

「ソロキャンプというと孤独なものと思われがちですが、実は全然そうじゃないんですよ」とノリさんは話す。

「友達と行くキャンプは、決まったコミュニティの中で楽しめてしまいますが、ソロキャンプは違う。ひとりだからこそ周囲の人々に対して自分の心の窓を開けやすい。フラっときた者同士で不思議な一体感も生まれて、よく一緒に飲んだりすることもありましたね。なんとなく会話が生まれて、自然と一杯やりましょうってね」。

ソロキャンプで生まれた一期一会が、バイクによってさらなる縁に繫がることもあるという。

夏に仲間たちとキャンプツーリングしたときの一枚。2019年8月16日、インスタ上に投稿

「バイク乗り同士だったらバイクという共通言語で、話がもっと盛り上がりますね。それが縁で翌日一緒にキャンプやツーリングに出かけることもあります。それが醍醐味かなとも思います。最近ではインスタを見て、バイクや旅好きの方がわざわざキャンプ場に会いに来てくれることもあるんですよ。すごく嬉しいですね」。

相棒のバイクにお気に入りのギアを積んで、今日もノリさんは自由なキャンプ旅を続ける。行く先々でバイクの縁を繋ぎながら。

これからどんな写真で我々を魅せてくれるのか、今後もインスタの投稿を楽しみに待ちたい。


# キャンプ# ツーリング# バイク
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