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2019.09.30

あそぶ

“怖い映画”は韓国がアツい!平山祐介が絶賛する「悔しいけど面白い」映画

俳優として映画やドラマでも大活躍のモデル・平山祐介さん。読書好きで知られる彼だが、映画鑑賞も古くからの趣味のひとつ。今回は祐介さんに「家で気楽に観られる」をコンセプトに、NETFLIXからオススメ映画を選んでもらった。
外交ではギスギスしている日韓関係。せめて芸術の世界ではリスペクトし合いたいものだが、祐介さんの記憶に残っている“怖い系”の映画を聞くと、ダントツで高評価だったのが韓国勢。
ゾゾゾッと背筋を凍らせつつも、「悔しいけどかなわない」と祐介さんが絶賛するそのワケとは?
ホラー映画を観て固まる平山祐介

「韓国ノワール」の持つリアリティ

──背筋が凍ったほど怖かった映画を教えてください。
平山 ホラーとかスリラーってジャンルで括っていいのかわからないけど、韓国映画はスゴいですよね。例えば『哭声/コクソン』。殺人事件が起こるんですが、猟奇殺人なのか感染症なのか、死因が分からない。
そんななかで、その街に鬼みたいな存在の日本人が越してきて、その謎の男を演じたのが國村隼さん。國村さんは韓国で外国人として初めて賞を受賞しています。
──韓国ってホラー映画とかがスゴかったんですね!
韓国ノワールについて説明する平山祐介
平山 韓国では、実際に起きた猟奇殺人事件なんかを題材にした作品も多いんですよ。「韓国ノワール」っていう独自のジャンルも確立されています。暴力的な描写と人間的な切なさを表現したサスペンス映画とでも言ったらいいのかな。
実際の事件がベースになっていると説得力があるし、とにかく怖い。『哭声』と同じ監督の『チェイサー』では、犯人が鉄パイプで女の子をボコボコにぶん殴るシーンがあるんですけど、「これ、本当に殴ってない……?」って心配になるほど、鬼気迫るものがありました。
哭声/コクソン(2016)
監督|ナ・ホンジン 出演|クァク・ドウォン、ファン・ジョンミン、國村隼。田舎のとある村で惨殺事件が相次いで発生。殺人を犯した村人たちは皆、共通して湿疹で肌がただれていた。村に突如やってきたよそ者(國村)が何か関係しているのではないかと疑がうが……。カンヌ映画祭で審査委員長を努めたクエンティン・タランティーノから「パルム・ドールを授与したかった」と激賞された作品。

残忍さをごまかさない韓国映画の“タフさ”の源

『オールド・ボーイ』の恐ろしさを語る平山祐介
──観ている方が辛くなりそうな描写ですね……。
平山 しっかり撮るんですよ。こちらが観ていられないような残忍なシーンでもしっかり撮る。衝撃的なシーンによって脳に付けられた“キズ”が、その作品へのフィルターになって、すべてのシーンの重厚感が増すってことがあると思うんだけど、そのための表現を躊躇しない感じが韓国映画の怖さなのかなぁ。
例えば昔の映画になるけど、『オールド・ボーイ』もそうです。主人公は15年間監禁されていたという設定なんですが、「本当に監禁してない?」って不安になるくらい、その場面がむごい。
日本では映画倫理機構によるR指定なんかを避けるため、間接的な表現にとどめたり、例えば流血を極力抑えたりします。R指定になると興行に大きく影響することもありますからね。もちろん作り手はギリギリを探って試行錯誤してるけど、時に直接的なインパクトに敵わないことも。
──韓国映画の、むごさを描く、または直視するといった“強さ”はどこからくるのでしょうか。
平山 個人的には徴兵制があるせいかなと思ったことはあります。何年か前に韓国に行ったとき、モテる男性の条件に“ガッチリした人”とか“筋肉のある人”と答える女性が多かった。当時の韓国俳優はだいたいガッチリした体格の人が多かったですし。今は変わってきてますけどね
──なるほど。徴兵制で鍛えた人の精神力が根底にあると?
平山 良いか悪いかは別として、自分たちで国を守ろうというシステムがある場合、マッチョな精神が根底に宿ると思います。大陸で陣取り合戦をしてきた“タフさ”も感覚として刷り込まれているでしょうしね。
オールド・ボーイ(2003)
監督|バク・チャヌク。日本の漫画『ルーズ戦記 オールド・ボーイ』が原作。15年間、理由なき監禁生活を強いられ、突如、解放された男が起こす復讐劇。2004年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。韓国映画のパワーを世界に知らしめたとして話題になった。2013年にはハリウッドでリメイク版が製作された。

韓国初のゾンビ映画でゾンビの概念が覆る!

ゾンビの新概念について話す平山祐介
──しっかりと韓国映画を研究されているんですね。
平山 でも悔しいんですよ、本当は。男くさい映画や殺人事件を扱う映画で突きつけられる、韓国映画特有の“タフさ”。圧倒的にかなわないなって思ってます。突き抜けてますから。そう言えば、ホラー映画ではないけど『新感染』もめちゃめちゃ面白いですよ。韓国のゾンビ映画。
──韓国のゾンビ映画。観たことないですね。
平山 ゾンビ映画でありながらキャラクターの描写がすごくうまくて、面白い。ゾンビの固定概念が覆されますよ。「こんなゾンビいるの!?」ってね(笑)。見た目は僕らが知ってるゾンビと遠からずなんですが、動きがね、独特なんですよ。
で、クライマックスに近づくと泣かせるんですよね、これが。「うわ〜〜〜〜〜、えーーーーーー、そうくる〜〜〜〜〜〜!?」っていう感じ(笑)。とにかく面白いからオススメです。隣の国にこんな面白いものが作られたらね、日本も負けていられませんよ。
──ちなみにゾンビ映画と言えば『カメラを止めるな!』は観ましたか?
平山 もちろん! 序盤30分くらいは「え?こんなもん?」って思いながら観てましたが、完全に手のひらのうえで転がされてましたね(笑)。面白かった! 前評判を聞いたうえで観ても、想像を超えてきました。こんなに笑った作品は久々でした。まぁ厳密にはゾンビ映画ではないですけどね、『カメラを止めるな!』は(笑)。
新感染 ファイナル・エクスプレス(2017)
監督|ヨン・サンホ 出演|コン・ユ、チョン・ユミ。ホラーの巨匠・スティーブン・キングに「ウォーキング・デッドを超える」と言わしめた韓国初のホラー映画。ソウル発、釜山行きの高速鉄道で突如起こったゾンビパンデミック。その列車に乗り合わせた人たちは無事に終着駅にたどり着けるのか? 愛するものを守るため、決死の闘いが始まる! ラストシーンに思わず落涙するヒューマン映画でもある。
祐介さんがここまで絶賛する、韓国の“怖い系”映画。さっそくチェックしない手はない。次回は真逆を行く、辛いときでも爆笑必至な映画3選をご紹介! 
 
清水健吾=撮影 勝間亮平=ヘアメイク ぎぎまき=文


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