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2019.09.15

あそぶ

夢だった「愛犬3匹とのキャンプ」。実現までの道と楽しすぎた“その日”

キャンプは“楽しむ”ものだけど、“魅せる”時代でもある。SNS全盛期、インスタ上で多くのユーザーを魅了する、こだわりを持つ大人たちの「魅せるキャンプ」に密着。
テントから外の様子をうかがう可愛いこの犬の正体は……? 2019年8月11日に投稿。
「いつか愛犬たちとキャンプに行きたい」。
2年越しの念願が叶い、ついに夫と愛犬3匹との初キャンプを実現させた上原歌菜さん。初めて設置するテント、おろしたてのギア、夢にまで見た大自然のなかでのひと時……初めての「犬とのキャンプ」は、すべての体験が初々しく、傍目にも眩しいものだった。
名前|上原歌菜さん(28歳)
インスタグラム|thia_orry_spieth

仕事|フリーランス
住まい|兵庫県洲本市
家族構成|夫と愛犬3匹
上原さんの愛犬たち。左からティアちゃん(3歳♀)、オリーくん(2歳♂)、スピースくん(1歳♂)
家族で一泊二日を過ごしたのは、兵庫県香美町にある吉滝キャンプ場。運が良ければ早朝には雲海が見下ろせ、夜は美しい星空に包まれる「天空のキャンプ場」として知られる。残念ながら天候には恵まれず、絶景を目にすることはできなかったが、それ以上に「やっぱりキャンプに来てよかった!」と思える発見があったという。
 

愛犬の野生的な表情に息を呑む
犬“本来”の姿を見た瞬間

愛犬、スピースくん。「キャンプして気づいたこと。ふとした瞬間、いつも以上に愛犬がかっこよくみえるなぁと」。着ている服は3匹仲良くスノーピーク。2019年8月10日の投稿。
上原さん夫妻が暮らすのは海に近い兵庫県洲本市。愛犬と一緒に砂浜を散歩するのが日課だ。海ではしゃぐ犬たちの姿はまるで、水を得た魚のよう。そんな光景を見るたび、「いつか大自然のなかでのんびり過ごさせてあげたい」と夢見てきた。
それから2年。上原さんはこの夏、ついに夢を実現させた。
「私たちもそうですが、犬たちにとってもキャンプは非日常的な環境ですよね。見るものや感じるものがすべて新しく、刺激がたくさんある。自然に囲まれた場所だと彼らの表情が野性的に見えました。本当にかっこよくて、『あぁこれが犬本来の姿なんだなぁ』って」。
一番キャンプ楽しんでいたのはオリーくん。「いつも以上にイキイキして自然を満喫していました」。2019年8月10日に投稿。
鳥の鳴き声や風で木が揺れる音を敏感に感じ取り、時折ハンターのような目つきで草陰を見つめていたという愛犬たち。早朝の散歩では朝日を眺め、目に映る新鮮な風景に、いつもよりキラキラとした表情を見せた。
雲海や星空もいいが、そうした普段の生活では見られない一瞬一瞬がまさにキャンプマジックなのだ。
 

大変そうだと思っていた犬とのキャンプは……やっぱり大変だった!

上原さん夫妻は2年前からキャンプへの憧れを募らせ、情報収集を開始。犬同伴OKのキャンプ場はどこか、犬連れキャンプに必要なキャンプギアは何かを調べ、揃え始めたという。
車でのお出かけが苦手で、テンションが低くなると尻尾が下がってしまうティアちゃん。でもキャンプでは活き活き。「この日は尻尾がピーンッと立ってご機嫌な様子でした」。2019年8月9日に投稿。
「お気に入りのギアはスノーピークのドッグコットと、台湾ブランド、ブラックデザインのランタンスタンド『シダレ桜』です。それから、カーカムスのテント。このテントはデザインがシンプルで、何より設営が簡単で初心者にはぴったりでした」。
「ドッグコットで寛ぐ3ワン。リラックスして過ごすこの子たちをみて、キャンプを始めて良かったと心から思えました」。中央上部にはランタンスタンド「シダレ桜」も写っているけど、わかるかな? 2019年8月8日に投稿。
キャンプ場を散歩するときはリードをし、サイトで過ごすときはドッグペグに係留してドッグコットでリラックス。テントで寝るときはノーリードで過ごすなど、場面場面で対応を変えた。犬同伴OKといってもキャンプ場によって設備やルールは異なるという。
「なかには、ドッグランが併設されていたり、ノーリードOKのサイトがあったりするキャンプ場もあるんですよ。今後はそういう場所にも行ってみたいですね」。
「テントはずっと前から一目惚れしていたカーカムス。大人2人+3ワンでも余裕の広さで初心者な私たちでも設営しやすく助かりました」。2019年8月8日に投稿。
ただ、撤収には手こずった。酷暑だった今年の夏。愛犬たちが涼しく過ごせる場所をと、標高が高めのキャンプサイトを選んだ。その分、キャンプサイトの天気は変わりやすく、晴れたり曇ったりで最後には雨にも見舞われてしまった。濡れたテントはどうするのが正解なのか? 不慣れなため、手際がぎこちなかった。
「テントは濡れたまま撤収しました。帰宅後にテントを広げて洗って乾かして収納する、という作業はなかなかの手間でしたね。キャンプは大変そうというイメージでしたが、慣れないことばかりでやっぱり大変でした(笑)」。
洗濯は洗濯機のボタンひとつ、買い物はネットショッピングでワンクリック。そんな便利な時代に真逆を行くようなキャンプは、一つひとつに時間がかかる。
夏場のキャンプは虫の存在も天敵だ。蚊やノミ・ダニ、蜂などの虫除け対策のため、虫除けスプレーはもちろん、犬用の蚊取り線香も用意。ほかにもテントに吹き付ける虫除けスプレーなど、車の積荷はとにかく大量になった。
けれど、犬とのキャンプの楽しさはそんな苦労を上回るようで、「犬と一緒に四季をすべて楽しみたい。次は信州に行きたいです!」と上原さん夫婦はキャンプ第2弾を計画中だ。
「オリーくんと一緒に見た朝焼け。私が早朝先に目が覚めてお外に出てたら、朝に弱いオリーくんが珍しく早起きしてきた」。2019年8月11日に投稿。

鳥の鳴き声がBGMに。夫婦の新しいリラックスのかたち

上原さんによると、夫は生粋の仕事人間だそうだ。
「主人は仕事が大好きで休みの日も仕事モードなんです。だから、日常から離れて愛犬たちとリラックスできる環境をつくってあげたいという想いもありました」。

仕事好きな夫を連れ出し初キャンプが実現したわけだが、夫は非日常空間でリフレッシュできたのだろうか。上の写真を見る限り、見事に自然へと溶け込んでいる感があるが……。
「お陰様でずっと続けられる夫婦の趣味になりそうです。誰にも気を使わず2人のペースで過ごせました。時間に追われない環境が大きいのだと思いますが、特別なことをしなくてもいいんですよね。鳥の声が良いBGMになったり、外で食べる料理を美味しく感じたり。ぼーっとするだけでも、キャンプという空気感がつくりだしてくれるスローな時間が心地よく、本当にリラックスできました」。
奥に見えるのはYETIのクーラーボックス。「今回大活躍でした! 夏場に冷え冷えのドリンクを
たくさん飲めるって最高です」と上原さん、大満足。2019年8月11日に投稿。
キャンプは誰にも急かされることがないのが醍醐味。これから時間をかけてギアをそろえ、自分たちなりのキャンプスタイルを見つけて行く上原さん夫婦。
「もっとキャンプに慣れてきたら、ハイキングやカヌーなど、愛犬と一緒にやりたいこともたくさんあります。揃えたいものも多く、次はハンモックや焚き火ギアが欲しいですね」。
都会で生活をしていると、ふと自然を恋しくなるが、もしかしたら犬のそれは人間以上かもしれない。犬とのキャンプは思いつきだけでできるものではないが、入念に計画を立て、しっかりと準備さえできれば、人にとっても犬にとっても、これ以上にない至福の時間が訪れるのである。
上原さんの犬とのキャンプライフの続編はインスタグラムにて。今後の展開も楽しみだ。
 
ぎぎまき=取材・文


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