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2019.09.07

あそぶ

ハイレベルな鋳造術と良質な鉄。クッカーブランド・ロッジのこだわり

連載「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。
ダッチオーヴン
キャストアイアン(鋳鉄)製クッカーのシェア全米トップであり、日本でも多数のアウトドアマンから絶賛されている「LODGE(ロッジ)」。ダッチオーヴンを筆頭とする傑作を長年作り続けている情熱やこだわりについて、本国でロッジ社のコピーライターを務めるErinさんに聞いた。
——「ロッジ」はいつ、どのような形でスタートを切ったのですか?
創業者のジョセフ・ロッジは、1896年にテネシー州サウスピッツバーグで廃墟となった鉄道鋳造所を見つけ、調理器具を含む鋳鉄製品の生産を開始します。1910年、その最初の工場は火事に見舞われて消失してしまいますが、ジョセフはあきらめず数カ月後に旧工場の近所で復帰。今も同じ場所で「ロッジ」のアイテムは製造されています。
ジョセフ・ロッジ
創業者のジョセフ・ロッジ
——ブランドとして最も大切にしていることやポリシーを教えてください。
「ロッジ」は創業当初より高品質の調理器具を製造してきました。それは今も変わりません。単にダッチオーヴンやスキレットなどを製造するだけではなく、何世代にも渡って引き継がれる記憶を作っているのだと考えています。
1935年当時のファウンドリー
1935年当時のファウンドリー。ロッジの公式ホームページによれば、社員、地域社会、カスタマーに対して”正しい行いをすること”にこだわりを持ち、90年代以降は磁気エネルギーによる熱発電を採用。’94年にテネシー州知事より有害廃棄物削減優秀賞を受賞。現在も有害廃棄物排出ゼロの鋳造所である。
キャンプオーヴン
「キャンプオーヴン 10インチ」 1万3500円
——とくに看板商品の「キャンプダッチオーヴン」は高く評価されています。どのようなこだわりを?
「キャンプダッチオーヴン」の一つひとつに、私たちの経験と知識、職人の技が継承されています。そして、ハイレベルな鋳造術と質の良い鉄しか使いません。不安定な熱い炭の上でもグラグラしない、繋ぎ目の無い3本足もポイントですね。焚き火の上に引っ掛けられるヘビーゲージなワイヤーベールハンドル、炭を載せられて裏返せば単品で調理器具になるフタといった、ギミックだって計算し尽くした結果です。
アメリカでは「インドア用キャストアイアンダッチオーブン」がなくてはならない調理器具として知られ、「エナメル製キャストアイアン」も保温性が高く、冷蔵保存まで可能だと人気です。日本でも役に立つと思いますよ。
——「キャンプダッチオーヴン」を使用する際、気をつけることは何でしょう?
販売時にシーズニング(慣らしの工程)がされていますから、買ったその日から使用OKです。アウトドアではまず炭や木を敷きます。その際、風の影響をあまり受けない場所にしてください。そして、オーヴンの内側全体と蓋の裏側に軽く調理油を塗ります。食材を入れるのは全体が温まってからにしましょう。焦げ付きにくくなり、クリーニングしやすくなります。
——我々がするべきメンテナンスを教えてください。
とても簡単ですよ。使用後、温度が下がってから固めのブラシと水で汚れを落とします。こびりついたカスや落ちにくい汚れは、ほんのわずかな量の洗剤で対応を。スクレーパー(ヘラ状の器具)を使うのもオススメです。
クリーニングが済んだら、再び火にかけてハンドルやフタまで乾かし、全体にサラダ油を塗布。保管はフタと鍋の間にキッチンペーパーを挟み、通気性を確保してから、涼しく乾燥した場所で行なってください。

ダッチオーヴンのメンテナンスのコツ

●ポイント1「洗剤はなるべく使わず、スクレーパーで汚れ落とし」

ダッチオーヴン
油膜が重なり、使いやすく育っていくのがダッチオーヴンの魅力。洗剤を使うと界面活性剤によってリセットされてしまう。なるべくタワシやブラシ、水だけでケアしたい。スクレーパー、木ベラを使うと確実性が増す。
 
●ポイント2「頑固なこびりつきはチェーンメイルスクラビングパッドで」
ダッチオーヴン
シリコンをステンレス製チェーンで覆った「チェーンメイルスクラビングパッド」なら、ほとんどの汚れを洗剤なしで落とせる。早く乾くので雑菌が繁殖しにくく、衛生的にもグッド。
 
ダッチオーヴン
左「チェーンメイルスクラビングパッド」4104円、右「スクレーパーセット(2枚入り)」864円。
協力:ロッジ正規輸入代理店・(株)エイアンドエフ
じっくりと熱が伝わり、食材の旨味を凝縮させる「ロッジ」のダッチオーヴン。煮る・焼く・蒸す、すべての調理が可能で扱いも簡単とくれば、世界中で愛されるのも頷ける。長い歴史がありながら近代的アクションも取り入れ、環境や人体への悪影響を抑制している点だって見逃せない。キャンプを楽しみたいのなら、テントやウエアと同等の必需品ととらえ、早めに準備するのが正解だ。
【取材協力】
A&Fカントリー本店
住所:新宿区新宿6-27-56新宿スクエア 1F
電話番号:03-3209-0750
営業:11:00~20:00
定休日:不定休

平安名栄一=写真 金井幸男=取材・文


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