37.5歳の人生スナップ Vol.80
2019.08.26
LIFE STYLE

純烈・小田井涼平(48歳)「芸能人に向いてない」と思いながらも辞めなかった理由【後編】

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小田井さん

サラリーマンからモデル、俳優に転身し、36歳でムード歌謡グループ『純烈』で歌手デビュー。昨年には悲願の紅白出場も果たした小田井涼平さん(48歳)。

各地域の健康センターを中心に活動し、幅広い年齢層から支持される『純烈』は、全国各地で行われるライブやディナーショーに飛び回る多忙な日々を送る。オフと呼べる日はほとんどない。

ステージの様子

結成から10年。ここまでくる道のりは決して平坦なものではなかった。唯一のレギュラー仕事だったキャバレーの営業で、客に土下座を強要されたこともあるという。男性客の気持ちを掴むために、オネエキャラに徹した時代もあった。

オネエキャラ時代

「辞めようかなって思ったことは、いっぱいありますよ。それはきっとメンバー全員じゃないかな。でも応援してくれる人が多からずともいたから、ファンに対して何も結果を残すことないままでいいのか、失礼じゃないかっていう自問自答が常にありました。僕のなかで『もうしんどいから』っていうのは、人前に出せる理由じゃないから」。

『辞める』には人前に出せるだけの、ファンが納得できるだけの理由がいる。“つまらなかったら辞めよう”。そう思って飛び込んだ『純烈』の活動を10年以上続けられたのは、応援してくれるファンの存在と意地があったからだった。

「つまんないままで終わったら自分の選択が間違っていた気がして悔しいじゃないですか。だから結局、面白くなるまでやっちゃうんですよね(笑)」。

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やってきたことは嘘をつかない

小田井さん

小田井さんが「芸能界は向いてない」と思いながらもここまで続けて来れたのは、「やってきたことは嘘をつかない」という信念が根底にある。

「真面目に取り組んでるかどうかって、見てるお客さんも同じ業界の人にも伝わるじゃないですか。僕自身、観客側に立ったときにはすぐわかるんですよ。あ、この人はすごい努力してるなと。普段はふざけてても、ここは決めなきゃというときにきっちりできる人間で居たい。向いてなかったとしても、真面目に努力し続けることはできますから」。

たとえ自分にとって決して得意とは言えないことでも、真剣に取り組んだということは形として残る。メンバーそれぞれの個性やバランスも、小田井さんは冷静に俯瞰していた。

「僕らはグループなので自分ばかりが前に出てもいけないし、一歩引いて我慢することもひとつの努力だと思っています。僕たちは曲も自分たちで書いているわけじゃないし、与えられたもののなかでどれだけ頑張れるかしかない」。

長い下積み時代を経て、売れっ子になった今も決して驕らない。だからこそ現在の地位を小田井さんは獲得したのだろう。

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常に考える「卒業」

一躍売れっ子アーティストとなった今も、常に冷静な目を忘れない小田井さん。『純烈』の合言葉である「夢は紅白出場、親孝行!」を叶え、今後はどんな目標を持っているのだろうか。

小田井さん

「次のコトは常に考えています。僕らの音楽はダンスもあるので体力的には年々きつくなる……どのグループもそうだと思うけど、ただ長く続けるのがいいのか、続けるにしてもテコ入れみたいなことをしたほうがいいのかなとか」。

6人メンバーで始まった『純烈』も今では4人となった。自身の「卒業」が頭を掠めることもある。

「メンバーで最年少の後上(翔太)は、まだ32歳。僕が残るより彼に近い年齢の子が入ったほうが活気も出るんじゃないか。自分はもうすぐ50なので、自分の歳を考えるといつまでもここにいることが果たして正解なのかなとか……そう考えることもあります。もちろん今の『純烈』をもっと楽しみたいという気持ちもありますけどね」。

そんなふうに自身の新たな可能性について思いを巡らせる余裕ができたのは、昨年結婚した妻LiLiCoさんの存在もあるのかもしれない。

「これを言うと彼女は嫌がるんだけど、実はプロポーズは彼女に背中を押されたんです。『結婚はどう考えてるの?』と聞かれて僕は紅白出場もまだ決まっていなかったし、『結婚したいけど……』ってごにょごにょ言ってたら『それっていつなの? 先々結婚するなら、いま結婚しても一緒じゃない』って。それもそうだなと目から鱗でした(笑)」。

そんな強く頼もしい妻となら絶対幸せになれると確信したという小田井さん。LiLiCoさんについて話が及ぶと、自然と頰が緩んだ。

「これまでの人生、理想通りだとか思い通りのものになった……なんて偉そうなこと言うつもりはない。でも人に迷惑はかけてこなかった、と胸を張れるから、今の結果を神様がくれたのかもしれません」。

やってきたことは嘘をつかない。40代後半で掴み取ったたくさんの結果こそ、小田井さんがこれまで努力を怠らなかった証なのかもしれない。

 

藤野ゆり(清談社)=取材・文 小島マサヒロ=撮影

# 37.5歳の人生スナップ# ムード歌謡# 小田井涼平# 純烈
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