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2019.06.04

ライフ

西島秀俊さん「チームで仕事をしたほうが、役者人生は豊かになる」

知らなきゃ男が廃るが、知ってりゃ上がる。気にするべきは、顔のシワより脳のシワ。知的好奇心をあらゆる方向から刺激する、カルチャークロスインタビュー。
西島秀俊さん「チームで仕事をすると、役者人生は豊かになる」
1971年、東京都生まれ。’94年、『居酒屋ゆうれい』で映画初出演。主な映画出演作に、『クリーピー 偽りの隣人』(2016年)、『散り椿』(’18年)、『人魚の眠る家』(’18年)などがある。また現在放送中の「きのう何食べた?」(テレビ東京系)はじめテレビドラマにも多数出演。
精悍さと繊細さを併せ持ち、男の色気を感じさせる役者、西島秀俊。ここ数年は、これまで演じたことがなかったような役柄に次々と挑戦し、役者として新境地を切り開いてきた。最新作の映画『空母いぶき』では、最新型空母の艦長、秋津竜太を好演。撮影に挑むにあたり西島は、実際に護衛艦「いずも」に乗り込み、海上自衛隊員や艦長から話を聞いて役作りをしたという。
「護衛艦では、艦長はみんなの命だけではなく、生活も預かっているという意識が強い。だから『いずも』の艦長は温かくて穏やかな方で、そういう人柄は役作りの参考にしました。あと、秋津はパイロット出身なんですが、パイロットに求められる条件も知ることができました。それは瞬時に、ベストではなくベターの判断をすること。そして最悪な状況でも楽観的でいて、勝利を確信し続ける。そういうところも秋津のキャラクターに影響を与えていますね」。
舞台は近未来の日本。日本の領土の島を国籍不明の武装集団が占拠することで物語は展開していく。秋津が指揮する空母「いぶき」は現場に駆けつけるが、そこで彼らを待ち受けていたのは潜水艦からのミサイル攻撃。本作では、戦争になるかもしれない緊迫した24時間の攻防をスリリングに描き出していく。
「とにかく息詰まるシーンの連続でした。普通ワンシーンを撮ったら休憩を入れるんですけれど、今回は1日中撮り続けていました。テンションを途切れさせたくない、という監督の狙いだったと思いますが、その撮り方が素晴らしい効果を生んでいます。ただ、途中で声が出なくなりかけたほど、精神的にも肉体的にもキツイ撮影ではありました」。
映画の内容そのままに緊迫した現場だったようだが、登場人物たちがチームワークでトラブルを解決していく姿は、会社の仕事に置き換えることもできる。西島自身も出演する作品選びはマネージャーに任せるなど、チームワークを大切にしている。
「自分でこなせる仕事量は決まっていますよね。だから信頼できる仲間に仕事を任せ、僕は役作りやトレーニングに集中しています。それに撮影が続くと自分の状態が見えなくなることもあって、客観視してくれる人の存在はとても重要。僕にとってチームでの仕事というのは、すべきことを明確にしてくれて、役者人生を豊かにしてくれるんですね」。
そして50代を視野に入れ「これまで以上に皆さんに楽しんでもらえる映画を作りたいという気持ちが強くなりました」と語る。30年近くにわたり役者道を追求してきた男は、今後も役者という仕事に対し、ひたむきに邁進する決意でいるようだ。
『空母いぶき』
『空母いぶき』 監督:若松節朗/出演:西島秀俊、佐々木蔵之介、本田翼
監督:若松節朗/出演:西島秀俊、佐々木蔵之介、本田翼、小倉久寛、髙嶋政宏、玉木宏ほか/配給:キノフィルムズ/TOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国ロードショー中
www.kuboibuki.jp
原作は『沈黙の艦隊』などで知られる、かわぐちかいじ氏の同名コミック。20XX年、日本の最南端沖で武装集団が領土の一部を占拠。政府は空母「いぶき」を中心とした護衛艦群を派遣し、戦後初めて迎える日本最大の危機に立ち向かっていく。
柏田テツヲ(KiKi inc.)=写真 TAKAFUMI KAWASAKI(MILD)=スタイリング 亀田 雅(The VOICE)=ヘアメイク 村尾泰郎=取材・文 ジョルジオ アルマーニ=衣装協力


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