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2019.05.22

ライフ

学問として海とサーフィンを学ぶ 〜Surf As A Subject〜

ただくつろぐだけでも気持ち良い時間を過ごせ、サーフィンをした瞬間に人生は大きく変わってしまう。ひとつのシーンからそんな海の魅力を発見していくコラム。

今回は「Surf As A Subject」

サンシャインコースト大学はヌーサヘッズという世界屈指のサーフスポットの近くにある。
海を学ぶ学問には、生物や地質などの見地から海洋を研究する「海洋学」がある。自然科学の一分野であり、理系の学問だ。一方、海を有効活用するための学びがあってもいい。2011年の東日本大震災以後、そのような声が海を活動の場とする有識者の間で聞かれた。
掲げられた学問の名称は「海岸学」。海岸をどう活用して、人の暮らしや地域に役立てるか。文系的な思考を必要とする学問だ。そしていよいよ、オーストラリアの大学で新しい授業が立ち上がった。地理学の一環としてサーフィンを扱う科目を始めるのは、クイーンズランド州にあるサンシャインコースト大学。波の特徴を科学的に学んだり、サーフィンによる観光業への貢献度を調査したり、といった内容になるという。
そうして海による地域貢献が学問的に証明されたなら、日本の海辺も、国土強靱化計画の名のもと大堤防で人から引き離すだけではなく、より人に寄り添う形に変わっていくのかもしれない。
memo
サンシャインコースト大学はヌーサヘッズという世界屈指のサーフスポット(写真)の近くにある。国立公園内にある同スポットは入り組んだ地形が特徴で、いくつかある岬の先端からきれいに波がブレイクしていく。
そして授業では、この地形と良質な波との関係性を知り、波を求めて世界中から訪れるサーファーによる経済効果を知ることで、サーフィンとヌーサの良好な関係をロジカルに検証する。サーフィン大国らしい新しい学びなのである。

高橋賢勇=写真 小山内 隆=編集・文


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