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2019.03.20

かぞく

愛する我が子が「忖度する子供」になっていないか? 今一度チェックしてみよう

連載「オトーチャンの子育てコーチング塾」vol.5
子供を持つ父親なら知っておきたいのが「子育てコーチング」という概念。子供の自主性や主体性を伸ばすと言われており、ママたちもこぞって学び子育てに取り入れているらしい。これは今すぐにオトーチャンも習得したい! ということで、『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』などの著者・熊野英一さんを講師に招き、オトーチャンのための特別子育てコーチング塾をスタート。

「忖度」といえば、他人の心情を推し量ることを意味する言葉だ。だが、幼い子供が家庭内で「忖度するスキル」を身につけると、自分の意思で物事を決めたり、本当にやりたいことを見出す力が育たなくなると熊野さんは喚起する。
叱られる恐怖で「家庭内忖度」が始まる
「早く支度しなさい!」「そんなこともできないの?」「どうしてママのいうことが聞けないの?」「言う事聞けないならパパに怒ってもらうよ!」。
このように、怒りによって子供を動かそうとすると、子供は自分の意識ではなく恐怖によって動くようになってしまう。
前々回の「アンガーマネジメント」の記事で、怒りをコントロールする方法を紹介したが、忙しい日々の中では、わかっていてもつい子供を叱りつけてしまうことはあるだろう。だが、叱られることに恐怖を感じた子供は「家庭内忖度」することを覚えてしまう。
そこで「家庭内忖度」する子供になっていないか、ぜひチェックしてみてほしい。
子供の表情ををよく観察すること

例えばおもちゃ売り場でプレゼントを選ぶシーン。
本当に欲しいものがあれば、キラキラした目で「これがいい!」と言うものだ。だが、親の目を気にして本当に欲しいものを言えなくなる子供もいるのだと熊野さんは言う。
「本当はこれが欲しいけど、怖い怪獣を選んだらママが気持ち悪いって言うかもしれない……」そう忖度すると「これがいいー」とちょっと陰った表情で別のものを指す。この些細な表情をよく観察することが大切だ。
子供は思った以上に親の反応を観察しているものだ。それゆえに、自分が何をやりたいかではなく、これをやったらパパが喜ぶ、これをやったらママに褒められるという感覚にも優れている。だからこそ、親も子供の反応に敏感でいたいものだ。
子供の思考の幅を広げる問いかけを

そんなときには「何でこれがいいと思ったの?」「ほかにもいいのあったー?」と、思考の幅を増やすような問いかけをするといいという。
問いかけにより、自分の意見を言えるように導くことが子育てコーチングの醍醐味だ。
自分の意見を言うよりも空気を読むことを覚えてしまうと、大人になってもそのクセが出てしまうという。幼少期に親の目を気にするクセがつくと、学生になれば先生の評価を気にするようになり、社会人になれば上司のご機嫌を伺うようになる。
自分らしく生きることができたら大きな価値を社会に提供できるはずなのに、抑圧されてその3割くらいしか個性を発揮できないようになる。それは自分にとっても社会にとってもハッピーではない。
「幼少期の親子関係のあり方は、大人になってからもさまざまな人間関係のベースとなる」という熊野さん。自分にも思い当たる節があるな……と思ったなら、そこがターニングポイントだ。
「何でこれがいいと思ったの?」
「他にもいいのあったー?」
自身の幼少期の記憶をたどり「忖度する子供だったな」と気づいた人は、この質問を今の自分にも投げかけてみてはいかがだろうか。
子育てコーチングを実践する中で、自分の中に眠っていた深層心理にも気づきをもたらしてくれるだろう。
株式会社子育て支援 代表取締役
熊野英一さん
フランス・パリ生まれ。早稲田大学卒業。メルセデス・ベンツ日本にて人事部門に勤務後、米国Indiana University Kelley School of Businessに留学(MBA/経営学修士)。製薬企業イーライ・リリー米国本社及び日本法人を経て、保育サービスの株式会社コティに統括部長として入社。約60の保育施設立ち上げ・運営、ベビーシッター事業に従事。2007年、株式会社子育て支援を創業、代表取締役に就任。日本アドラー心理学会 正会員。著書に『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』、『アドラー式働き方改革 仕事も家庭も充実させたいパパのための本』(ともに小学館クリエイティブ単行本)など。
連載「オトーチャンの子育てコーチング塾」
前回の「『考える力』を養うには『選択式クエッション』を。2歳半からできる子育てコーチング。」を見る


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