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2019.03.15

かぞく

「元妻とは友人以上の関係」という人が半数。その真意とは?

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連載「オーシャンズ X :幸せな離婚編」vol.9
「離婚したんだ」と話せば大抵は憐憫の眼差しを向けられるだろう。だが、長い目で見ると必ずしも不幸な出来事とは限らない。バツは見方を変えるとX(エックス)という“未知数“を表す記号にもなるのだ。3組に1組が離婚すると言われている今、本連載では「幸せな離婚」について論究していく。
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別れたあとには、お互い二度と顔も見たくない……という元夫婦もいるだろう。だが、幸せな離婚という本テーマに即した場合、恨みや憎しみを手放して相手の幸せを願える関係が理想だ。
まずは、離婚経験者へのヒアリングを通して、“元妻との関係”の実例を見ていこう。
 
離婚して、なんでも話せる友人関係になった
「話し合いの結果、穏便に離婚、裁判や慰謝料はなし。お互い別の方と再婚してるため、連絡は特に取り合わないが、コミニティーが近いので、たまたま会ったときには普通に楽しく会話できる仲に」(36歳飲食業/バツ1子あり)
「仕事の結びつきで結婚したので、別れても夫婦関係以外は継続しています。今でも何でも相談できるビジネスパートナーです」(38歳フリーランス/バツ1子なし)
「離婚のゴタゴタを乗り越えて、仲の良い友達、あるいは家族のような関係です」(43歳会社役員/バツ2子なし)
「子供のためにお互い近くに住んでいます。当時は喧嘩が多く、お互いストレスを感じることもあったと思いますが、今はお互い自由に時間を使えるので、いいと思う。子供のために、別れても連絡も取り合うし、会ったりもする。良い関係性だと思う。まさに友人のようになっています」(38歳自営業/バツ1子あり)
離婚経験者20人のうち、元妻と友人関係になったというのは11人だった。婚姻関係そのものが障害になってしまったのであれば、それが取り除かれたことで逆にリレーションシップが築けた例は少なくなさそうだ。
もともと相性の良さを感じて結婚を選んだわけで、さらには互いの善し悪しを嫌というほど見てきた間柄。ただの友人以上の関係になれるという理屈も理解できる。その一方、友人関係にはやはりなれないという声もあった。
 
お互いのために、関わり合わないという選択もある
「離婚当初は連絡を取ったり、食事したりすることもあったが、今は向こうに新しい家族もあるので連絡はしていない」(42歳飲食業/バツ1子なし)
「関係はスッキリしています。子供、お金のこと以外は基本的に関わり合いを持たない関係です」(39歳会社経営/バツ1子あり)
「いがみあっていないが、互いのために会っていない。連絡先も知らない。友人伝えに噂は聞く程度」(37歳会社員/バツ1子なし)
子供や財産分与など、婚姻関係を解消しても連絡が必要なケースは多い。事務的なやりとりをする関係は大半がこの部類に属することになる。心情的に、積極的にやりとりができない人たちも多そうだ。
いかに夫婦といえど、元は他人同士。過去に付き合ってきた女性全員と連絡を取り続けている人は稀なのと同様に、必要を感じなければ、自ずと連絡は取らなくなるもの。むしろその意味では、別れた相手に依存していないという点で“健全”という見方もできるだろう。
 
互いにとってベストな距離感とは……?
とはいえ今回のヒアリングでは、「友人以上の関係」と回答した人が多かったことは興味深い。先述したように離婚しても最低限のやりとりが発生するケースは多いことから、大きな節目を乗り越えて、成熟した大人の人間関係が築けているのかもしれない。
離婚に至るまではお互いにつらいことも多いだろうが、縁深い関係であることには違いない。それぞれの事情のもと「関わらない」という選択をしても、「結果として友人のような関係になった」としても、根底に相手の幸せを願う気持ちがあるかどうかが大切だ。
離婚を考えている最中は「別れる」ことに目が行きがちだが、離婚後のリレーションシップについて考えることも必要だ。どんな距離感でいるのがお互いにとってベストなのか、イメージしてみることで新たな気づきもあるだろう。
 
吉々是良=取材・文 石井あかね=イラスト


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