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職場の20代に「これ、SNSで流行ってますけど」と言われた

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職場の20代がわからないVol.4
30代~40代のビジネスパーソンは「個を活かしつつ、組織を強くする」というマネジメント課題に直面している。ときに先輩から梯子を外され、ときに同僚から出し抜かれ、ときに経営陣の方針に戸惑わされる。しかし、最も自分の力不足を感じるのは、「後輩の育成」ではないでしょうか。20代の会社の若造に「もう辞めます」「やる気がでません」「僕らの世代とは違うんで」と言われてしまったときに、あなたならどうしますか。ものわかりのいい上司になりたいのに、なれない。そんなジレンマを解消するために、人材と組織のプロフェッショナルである曽和利光氏から「40代が20代と付き合うときの心得」を教えてもらいます。

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人は、同じ時間、同じ空間を過ごしながらも「違う世界」を生きている

さて、今回のテーマは「世界」です。20代の若者も、我々オッサン世代も、物理的には確かに同じ世界を生きています。しかしながら、同じ空気を吸って、同じものを見ているようでいて、どうも実際には全く違うものを感じているようです。

例えば私にとっては学生時代を過ごした京都の白川通はラーメンの天下一品本店や餃子の王将があったりする食欲をそそる通りでしたが、妻にとっては雑貨屋さんやカフェが街路樹のそばに立ち並ぶおしゃれ通りという認識でした。こんな風に人は、同じ時間、同じ空間を過ごしながらも、決して交わることのないパラレルワールドに住んでいることもあるのです。


「カラオケ」で実感する、若者とオッサン世代のパラレルワールド

若者とオッサン世代がパラレルワールドに住んでいることを最も実感するのがカラオケです。何にも特別な工夫をすることなく、思いがけず20代の若者とカラオケをすることになってしまうと、オッサン世代は地獄を味わうことになります。若者たちがテンション高く歌う歌は、きちんと意識していたならば街のどこかで聴いていたのかもしれないですが、おそらくオッサン世代には全く知らない歌ばかりでしょう。

結局、若者のノリについていけず、私は底無しの寂しさに襲われます。逆に、自分がなじんでいる歌を歌っても、若者たちは知りません。そういう目に会いたくないので私は若者とカラオケをすることになってしまったら、ギリギリ両方が知っている「90年代の曲しばり」でしかやりません。


ビジネスリテラシーの違いが、職場のパラレルワールドを生み出す

カラオケのような遊びであれば、それほど深刻な問題ではありません。しかし、職場も実は同様です。ただ、それがカラオケほどには明確にわからないだけなのです。例えばPC画面を同じように眺めていても、スクリーンに映っている画面は違います。使う検索サイトも違えば、ニュースサイトも、スケジューラーも、ビデオ通話アプリも違います。

そうなるとPCでの仕事の進め方、議事録の取り方、タスク管理の仕方、ドキュメントの作成方法、連絡手法なども違います。電話などは最たるもので、オッサン世代以上では「電話のほうが丁寧」という感覚の人もまだいますが、若者の多くは「電話は人の時間を突然奪う強引で失礼な連絡手法」と思っているものです。そもそもPCですらあまり使わなくなり、スマホでさまざまな業務をこなす若者も多い。このようにビジネスリテラシーの違いが職場にパラレルワールドを生じさせるのです。


新しいメディアに接触していないと、情報から疎外されてしまう可能性も

このようなビジネスリテラシーの違いを軽く見てはいけません。特に、メディアリテラシーの違いは深刻なコミュニケーション障害にもつながりかねません。一昔前に、タバコを吸う人と吸わない人の間での情報格差が話題になりました。

喫煙者の多い上の世代(つまり偉い人の所属する世代)がタバコ部屋に頻繁に行くので、タバコを吸う人はタバコ部屋で重要情報にありつけるというような話と同じように、若者が使うメディアを使えないと、単純に重要情報から隔離されてしまう可能性があるのです。TwitterやYouTubeを頻繁に見る若者と、未だテレビが主な情報源のオッサン世代では、得ている情報がかなり違います。


たかが手段の違いと軽んずるなかれ。「痛いオッサン」にならないために

さらに、もうひとつ大きな問題は、マクルーハンが言った「メディアはメッセージである(メディアの内容よりも、その形式のほうが人々により大きな影響を与えるとの意)」という有名な警句のように、主に使うメディアによってその人の思考や行動が左右されてしまうことです。

例えば、LINEやTwitterやInstagramなどのスマホからのアクセスが基本のアプリをよく使う人は、メッセージがどんどん短くなるため、複雑な論理が展開しにくくなり、二者択一的な思考に流れていく可能性があります(実際にはこんな風に一概には言えないでしょうが)。
重要なことは「内容より形式」。つまり、「コンテンツさえ同じなら、メディアはなんであっても同じだろ」ではないのです。必ずしも若者に日和る必要はありませんが、その考えを理解したいのであれば、若者が使っているメディアを使わなくてはなりません。「内容が重要だ」とうそぶいて、新しいメディアのリテラシーを高めようとしなくなってしまえば、それが若者から見て「痛いオッサン」になっていく始まりなのかもしれません。


文/曽和利光
株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。


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