37.5歳から旅立つ、マネークエスト Vol.8
2018.07.09
LIFE STYLE

好きな会社は買うな! PDCAを回せ! ビギナーが守るべき投資実践論

37.5歳から旅立つ、マネークエスト Vol.8
前回、個別株で戦うための心得を学んだ我々。株のマネー賢者から、「資産のない初心者は、東証マザーズで成長の見込める会社に集中投資して、ウィークリートレードを繰り返す」というアドバイスをもらった。今回は、実践編だ。

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株のマネー賢者であり、相場の福の神こと藤本誠之さん。「初心者は少なめで、20〜30万円を目処に始めるといい」というアドバイスをいただいた。

しかし、どうやって成長が見込める会社を見極めるのか、購入した株はいつ売ればいいのか、そして、株スキルを上げるために取り組むべき事とはなんなのか。わからないことが多すぎる。

ということで、藤本さんに個別株による資産形成の実践的な奥義を伝授してもらった。


まずはパッと買ってしまうべし!

藤本さん曰く、「20万円ならマイナス10%下がった時点で損失を確定させても、2万円の損失。20万円の取引を10回やってみて、20万円分損するようなら、株には向いていないので止めたほうがいい」とのこと。

簡単に仰るが、普段の生活で20万円の買い物となれば、かなり迷う。そんなに頻繁に売買できる自信がないのも正直なところだ。しかし、それは大きな間違いだという。

「パッと買えばいいんですよ。極論ですが、買った瞬間に売れば損失は発生せず、かかるのは手数料だけ。買うという表現ですが、20万円の時計を買うのとは違うんです。それに、株は債券や投資信託などに比べて、圧倒的に現金化しやすい。利益や損失を考えなければ、急に現金が必要になったときにも柔軟に対応できます」。

確かに、急落などの危険性はあるとはいえ、倒産しない限りは資産価値がゼロになることはない。そう考えると、少しだけ気がラクだ。

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愛着ある製品を作っている会社に株は買っちゃダメ?

では、銘柄はどうやって選ぶのか。よく株は企業を応援するつもりで買うという。愛用品を作っているメーカーの株でも買ってみようかな。

「中長期投資ならそれもいいでしょう。しかし、ウィークリートレードで資産を形成する段階では、好きという理由で株を買ってはいけません」と藤本さん。

「好きという視点でバイアスがかかり、正しい判断ができなくなる可能性があります」と続けた。

うん、何ごとも好きだと贔屓目で見ちゃうよな〜。だったら、ズバリ、国の方向性に乗っかるのはどうだろうか。

人手不足や少子高齢化といった問題は、国も本腰を入れて解決しようとしているはず。そこにはビジネスチャンスも生まれるから、成長産業になるのでは。

「正しい視点です。しかし、それも中長期の投資です。ウィークリートレードでは、もっと急激に株価が上がる銘柄を見つけるほうが効率が良いですね。そういった企業は東証一部よりも新興市場に多い。東証マザーズに上場している企業は、単独事業で勝負していることが多く、実態が見えやすいのもメリットです」。

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社長の人となりを知ることで投資する会社を決める

なるほど、って、7月3日時点で、東証マザーズに上場している会社は、257もある。一体どうやって選べばいいのか……。なにかヒントをください。

「例えば、アメリカで流行ったものを日本に取り入れる会社。日本は海外で成功したものを追いかけるので、ヒットする可能性があります。この経営手法は、タイムマシン経営と呼ばれていて、ソフトバンクが代表的です。個人的には、衰退産業のなかで新しい価値を生み出して、シェアを高めている企業なども注目しています」。

これらの企業は、経済メディアをチェックすることで情報を収集できる。しかし、それだけでは、マネークエストの旅で勝ち残ることはできない。藤本さんは、「重要なのは、人」だという。

「仕事で取引先の企業を見極める気持ちになればいいのです。取引先を決めるとき、財務状況が健全なのは最低限の条件。社長の経営方針や考え方などにも納得できなければ、お付き合いはできません」。

さらに藤本さんは続ける。

「株も同じ。社長の生の声で業務内容や成長性を聞くことは、とても勉強になるし、大きな判断材料になります。私もラジオ NIKKEIで企業のトップとの対談番組をやっていますが、そういった番組やインタビュー記事などから情報収集するといいでしょう」。

この際、基準にしたいのが、「社長の話の内容を理解できるかどうか」だという。

「昔から株では、『分からないものには投資をしない』という格言があります。理解できないなら、そこの株には手を出さないほうが無難です」。

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買うよりも売るほうが難しい。ルールに基づいて思い切って売るべし

こういった視点で、買いたい会社の株をいくつか見つくろっておき、調子がいいタイミングで購入、調子が悪くなったら売却しながら、常に持ち株を入れ替えるのが王道だという。しかし、調子がいいかどうかはどうやったら見極められるのだろうか。

「一番簡単なのは、25日移動平均線(直近25日の株価を平均した値を線としてつなぎ合わせた指標)が上向いていたり、長期移動平均線を上回っているかどうか」と藤本さんは言う。

「上がっているときは高値だから、下がるまで待ってから買うという手法もありますが、個人的には“上がったら買う”“下がったら待つ”と良いと思います。上がっている株はみんな欲しいから上がっているわけで、そんな株が下がるのを待っていたら、結局は買えないことが多い。よく“押し目買いに押し目なし”なんて言われますよね」。

では、売るタイミングは? 株の世界では、買いよりも売りが難しいとはよく言われることだ。

「まず、利益確定の売りから。上がっているときは持ち続けましょう。上がっているのに売る必要はありません。売るのは、上昇が止まって5%下落してから。一番高値で売るのはかなり難しいですからね。それに、また上がるのではと思って持ち続けていたら、そのまま下がり続けることも多い。株はコツコツ上がってドカンと下がりますから」。

では、想像したくないのだが、損失が出てしまったときには、どのタイミングで売ればいいのだろうか?

「これもルールを決めておきます。例えば、購入価格から5%下回ったら売るとか、直近の安値を下回ったら売るとか。損切りをしたら、他に目をつけている株のなかから、調子がいいものを選んで購入。これの繰り返しです」

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なぜ成功・失敗したのか……ひたすらPDCAを回せ!

大事なのは、売買をしっかりと記録しておくこと。それによって、自分の得意なトレード手法なども見えてくる。

「Excelに、社名、購入金額、売却金額、利益・損失、買った理由、売った理由、を記録しておくことで、なぜ成功、または失敗したのが見えてきます。成功パターンが貯まってきたら、その状況のときだけトレードを行えば、勝率は高くなるはず。仕事ではPDCAサイクル(Plan<計画>・Do<実行>・Check<評価>・Action<改善>)を回しますよね。株でも同じことをすればいいのです」。

最後に藤本さんは、オーシャンズ世代が株をやるもうひとつのメリットを教えてくれた。それは、単純に資産を増やすというだけの視点ではなかった。

「株を買うことは、ビジネスにおいてもメリットが大きい。株は連想ゲームみたいなもので、世の中のニュースが巡り巡って、ある業種の株価に跳ね返る。その思考方法は、ビジネスの種を見つけるのに大いに役立つでしょう」。

株式投資は売買益によってお金を得て、マネーRPGの経験値を上げる行為だと思っていたが、それと同じくらいビジネススキルの経験値も上げてくれる可能性があるようだ。

男、37.5歳。株によって資産形成をしながら、世の中のことを知るために視野を広げるのもいいかもしれない。

コージー林田=取材・文

【今回のマネー賢者】
藤本誠之
年間300社を超える上場企業経営者とのミーティングを行う、証券アナリスト。日興證券、マネックス証券、カブドットコム証券、SBI証券などを経て、現在は、財産ネット株式会社の企業調査部長。日本証券アナリスト協会検定会員、ITストラテジスト。著書に『週55分で、毎週5万円儲ける株 』(明日香出版社)など。

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