ユーラシア大陸の端で割れる世界最大の波 〜Largest in the World〜
ただくつろぐだけでも気持ち良い時間を過ごせ、サーフィンをした瞬間に人生は大きく変わってしまう。ひとつのシーンからそんな海の魅力を発見していくコラム。
「SEAWARD TRIP」を最初から読む今回は「Largest in the World」
スケートボードは失敗したらコンクリートを転げるために痛い。だがサーフィンでは液体である海の中へ潜るのだから痛くはない。はずなのに、波のサイズがアップすると怖くなる。沖で待っていて、自分のところに波がやってくると気持ちが高ぶる。
行くか行かないか迷ったなら、行く。そんな金言もあるが、テイクオフの段階ですら、行きたい気持ちと引きたい気持ちが混在するときがある。背の高さ程度の波に対してだ。
写真の波は20mオーバー。高層ビル7階ほどの高さに達する。サーファーはジェットスキーに牽引されてテイクオフするため、この状況で手にできる選択は行くのみ。そのメンタルの強さは、常人には計り知れないものがある。
波は液体だが、このサイズになると波面はコンクリ同様に硬い。生命も危ぶまれる。それでも行くのは、背の高さの波でも得られる達成感ゆえ。しかしスケールが違いすぎ、どれほど高揚するのか、やはり常人では想像力が及ばないのである。
ビッグウェーブスポットは、ハワイのワイメアやジョーズ、タヒチのチョープーなど世界各地にあるが、ポルトガルにあるナザレは世界最大の波が姿を見せる場所として知られる。
昨年11月8日には80フィート(24.38m)の波をブラジル人のロドリゴ・コウシャがライド。これまでサーフィンされた最大の波としてギネスブックに認定された。ギネスブックに認定されなかったが、2013年には100フィート(約30m)超の波をギャレット・マクナマラがサーフした。
アレックス・パピス=写真 小山内 隆=編集・文