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2018.06.02

ライフ

「サーフィンより楽しいものはこの世にない」三原康裕さんが海を目指す理由


海は広くて大きいから、目指す人たちの理由も十人十色。そこで知りたくなったのは、まっとうな大人の男たちが、なぜそんなにも熱心に海を目指しているのか、ということ。

各人バラエティに富んだ話から、共通していることがあった。それは幸せそうな笑顔を見せて楽しい人生を歩んでいるということ。皆さん、海を目指して、何かいいことありました?


海を愛する男たちに、海を目指す理由を聞くこの連続企画。

第1回となる今回は、メゾンミハラヤスヒロのデザイナー・三原康裕さんに話を伺った。




メゾン ミハラヤスヒロ デザイナー
三原康裕 さん(45)
みはらやすひろ●福岡県出身。1997年にシューズブランドとして「ミハラヤスヒロ」がスタート。’99年よりウェアも展開。2015年より、「ブラックレーベル・クレストブリッジ」のクリエイティブ・ディレクターに就任。


 

「サーフィンより楽しいものはこの世にない」


もともと体が弱かったので水泳をやっていたんですが、競技会でタイムを競い合うのが苦手で。11歳のとき、兄のまねをしてサーフィンを始めました。子供だったから覚えが早く、3カ月くらいでボードに立てて、半年後には横に走れるようになった。

ふわーっと押されて波に乗れたときの感覚は、初めて味わうもので、ただただ楽しかった。タイムなんて関係ないし、なにより海に行けば、サーフィンという共通言語があるから大人も子供も関係なく友達になれた。内向的だった子供は、サーフィンを始めてからまるっきり変わり、見える景色が一変したのを覚えています。

現在愛用中のボード。左は「スリーオースリー サーフボード」の“Zen”。「波があまりなくてのんびり乗りたいときはこれに限ります」。右は1年くらい使っている「TOMO」の“V5”。スピードが出るし回転性もある。


サーフィンが上手になるとともにスポンサーもついて、大会で結果を残さなくちゃいけなくなった。いいライディングしないとっていうコンペティション的な考えがいつしか身に付いて、プロを目指すのが当たり前みたいになった。このままサーフィンをやっていたらダメになると思い、大学への入学を機に、10年ほどサーフィンから離れました。

ところが20代後半に、ついに我慢できなくなった。トイレで水を流す音すら波の音に聞こえてきた(笑)。あー、海行きてー、どうしよう……って。10年のブランクは、サーフィンに対して僕をもう一度フラットな気持ちにさせてくれました。自分も人も、サーフィンやって楽しければいいじゃん、って。

サーフィンは生き方なんです。’80Sに僕は、西海岸のアートやロック、スケボーなどがミックスしたサーフカルチャーから、自由とは何かを学びました。みんなが同じ方向を目指していたバブルの時代に、そうなりたくないと思えたのは良かった。今ファッションを仕事にしながら、王道ではなくカウンターでいたい、会社を大きくするより、やりたいことを実現したいと考えられるのも、本質的にある衝動や感動も、すべてサーフィンから学んだことです。

だからなぜ海を目指すかといったら、言葉にすると安っぽいんですけど、本当に楽しいから。サーフィンより楽しいものなんて世の中にはないですね。

 

梶 雄太=写真 町田あゆみ=文

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