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世界を巡った旅するモデル・大石学が語る、大人の旅の面白さ

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特集「男はどうして旅に出るのか?」

世界一周の旅から戻ってきた大石学は、前よりもっと頻繁に旅に出ている。今も旅に出続けている。いや、まさにこの瞬間、彼はインドネシアで火山にアタックしていたりする。なぜ旅は、いつの時代も男心をかき乱すのか。なぜ彼は旅に出続けるのか。そこにどんな魅力が、学びがあるのか。男の人生における旅のあり方を問うインタビュー。大石学の旅の話、その最終回。

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大石学はなぜ、旅に出るのか

肝心なことを聞くのを忘れていた。小学生みたいな質問しますけど、と前置きして尋ねた。
大石さんは、なぜ旅に出るのですか?

すると、なんだかすごく困ったような顔になった。しばし考え込んだ。

「旅が、単純に好きなんでしょうね。結果的にきっとすごくいろいろなことを吸収してきているとは思うんですよ。でも、最初から“何かを得るぞ!”って目指して旅に出るわけじゃないんです。もう、ものすごく単純です。“雑誌で見たあの滝、生で見たらどうなってるんやろう”“あそこ行ったことないから行ってみたいな”っていう。それこそ小学生みたいなんですけど、それで実際に行って見るとすごく楽しいから(笑)。登山家が山に登るのと同じような感じかなあ」。

それまでもちょくちょく旅はしていたし、海外生活も経験していたけれど、世界一周以来、大石学は「トラベラー」になった。

世界一周を終えた2014年は、4月に帰国し半年近く休んでいたにもかかわらず、韓国とハワイとタイに出かけた。その後も年2〜3回は休みを取って旅に出ないと気が済まない人生を歩んでいる。昨年は5月にインドネシア、6月にインド、12月にネパールに行った。

ネパール・アンナプルナベースキャンプ/標高4130m、周囲をヒマラヤの8000m級の山々に囲まれた絶景。頂にアタックするための拠点にたどり着くと「いつか登頂してみたいと思いますね」。

「旅に出ないと禁断症状みたいになることはありますね。そうすると、旅雑誌とかネイチャーとか歴史系のドキュメンタリーとか、世界の絶景の映像ばっかり見てます(笑)。で、スケジュールと家庭の都合と相談して、旅先を妄想するんです。今は1回の旅は1週間ほどですよ。ただ“どうやら行けるぞ!”ってなるとフットワークはめちゃくちゃ軽いと思います。去年、ネパールは標高4800mほどのところを6日間トレッキングしたんですけど、出発3日前に航空券買ってパッキング全部しました(笑)」。

なお、妻は置いていくそうだ。「飼ってる犬の面倒をどちらかがみないといけないですし、そもそも僕の行くところにヨメは行きたがりませんよ(笑)。ネパールのトレッキングもそうですし、去年は標高5800mをバイクで山越えしましたからね。後ろに乗せたら、ヨメのストレスも尋常じゃないでしょう。あと、連絡取るようになったのが世界一周中ですから、僕が仕事を1年以上休んで旅する人間だっていうのは分かってくれたうえで結婚しましたんで(笑)」。

インド・ラダック/ヒマラヤ山脈とカラコルム山脈に囲まれたチベット文化圏に属するエリア。荒涼とした風景のさまざまな場所に僧院が見える。ここをバイクで山越え。「景色がとにかく壮大で、月の世界にいるようでした」。

いや、普通の男でも、そこそこ尻込みするだろう。


大石学はもはやどこにでも行ける!

話を聞いているうちに、そんなふうに思えてきた。世界一周の旅をしたのだから。誰もが極地の旅に興味はあるだろうし、見てみたいだろう。「一生に一度ぐらいは行きたい」なんて口に出すかもしれない。でも実際はなかなか行けない。本当にそこに自分が行くイメージが湧かない。「行けたらいいな」で終わってしまう。

だが「行ってきた者」は「行ってきた」のだ。「行けたらいいな」から一歩踏み出した。この一歩の差が大きいのである。

「本来行きづらいような場所でも“こうすればいけるんじゃないか”っていうことをなんとなくイメージできるんですよね。どこでも寝られそうだし、宿がなければ最悪の場合野宿でもいけると思います(笑)」。

一昨年は、ミャンマーのミンダを訪れた。女性が顔にタトゥーを入れる部族が住んでいる地域だという。大石曰く、それは他の部族が女性をさらいに来るのを防ぐ、自衛手段なのだそうだ。

「60年前ぐらいまで行われていて禁止になったそうです。なので、タトゥーを掘られた女性はもうみんなおばあちゃんなんですよね。亡くなってしまう前にぜひ会いに行きたいなと思ったんです」。

ミャンマー・ミンダ/ガイドブックにも載っていない村。「1960年代から刺青は禁止されたらしいんですね。だからできるだけ早くここに来てみたかったんです」。

村に行く術はわからないまま飛行機に乗った。情報は何年か前の個人ブログだけ。そこには「ミャンマーのある町に行ってミンダの話を聞けば、連れて行ってくれるドライバーが見つかる」と書かれていたらしい。人づてに情報を聞き、見知らぬ人たちに話しかけて目的地を目指すなんて、完全にリアルRPGである。

「半信半疑だったんですが、そういう人が見つかって交渉してみたら“知り合いのドライバーが連れてってやると言ってる”って(笑)。最初にミャンマーに行った時、その村の存在は知らなかったので……。自分が行った国で、そういう興味深い土地を素通りしてると残念じゃないですか。それに、1回近くまで行ってたら、なんとなく雰囲気もわかってるし」。

そんなふうにして旅に行くたび経験値が上がり、行きたい旅先も増えていく。今後行ってみたい旅先を尋ねると、スマホを見ながらつらつらと上げてくれる。メモしてきてくれたのだ。

「ネパールのムスタン王国。北部にあって、10年ぐらい前まで鎖国していたらしいんです。そういう国の文化ってすごく興味あるじゃないですか。外国人とどう接するかも体験したいし。去年行ったインドのラダック、でも冬を知らないんです。川が凍るので冬場にはそこをトレッキングできるらしいんですね。で、川の上を歩いてしか行けない場所がある。あとはマダガスカルでバオバブが見たいし、エチオピアの真っ黄色なダナキル砂漠に行きたいし、ノルウェーの『トロルの舌』。フィヨルドを見下ろす断崖絶壁に突き出た岩なんですけど……」。

止まらない。


さあ読者諸君、旅に出よう

昨年12月から、旅はご無沙汰。だからそろそろ禁断症状一歩手前。だが、この取材の何週間か後にはインドネシアへの出発が決まっているのだ。

「ジャワ島にブルーファイアを吹き出しているイジェン火山という場所があって。そこに行きます。青い炎がすごく見たくて。活火山で毒ガスを噴出しているらしいので、ガスマスクも買いました(笑)。あと、時間があまればギリ島で2〜3日ゆっくりしてこようかなと思っています」。

そして読者にもこの島を旅先として勧めてくれた。

「車もバイクも、エンジンの付いた乗り物が一切走ってないんです。島内の移動手段は馬車か徒歩か自転車。ゲストハウスやホテル、ちゃんとしたレストランに屋台もあってサンセットもサンライズも両方見られる。欧米人は比較的いますが日本人は結構少なくて、穴場ですね。春から夏にかけて乾季に入り、気候もとても良いですし、バリ島からもフェリーで1.5時間と近く、秘境感はありながら生活面の不便はない。本当にゆっくりとした時間の過ごせる島です」。

インドネシア・ギリ島/バリ島からフェリーでアプローチする行程そのものがリゾート感満点。自転車で一周しても1時間ぐらいで回れる島に美味なお店や快適なコテージが程良く点在。軽〜い冒険気分を味わいつつ、ゆったり過ごせる大石さんオススメの旅先だ。

おお、それは良さそう! ちょっと行ってみたい、……ですよね? 旅のきっかけなんて、たぶんそんなことでいいのである。

「単純に旅に行くのが楽しいし、好きでしょうがないんですけど、突き詰めて考えてみると僕は“旅のドキドキ感”を欲しているような気がします。日本にいると、間違いなくリラックスして快適に過ごすことができるんですよ。日常の生活の場所ですから。旅は、そこを離れることです。それだけでちょっとした挑戦だったり、発見があったりするんですよ。リラックスしに海外旅行に行く人も多いと思いますし、全然悪いことではない。ひとりで飛行機に乗ったり、全然言葉が通じなかったり、土地勘が一切ない場所に立たされたり……ほんのちょっとしたことでも、旅では、普段の生活のなかで出会えないことだらけなんですよね」。

そこでしか見られない絶景や、旅先での人との出会いはもちろんだけれど、旅における体験はきっとすべて旅ならではのもの。都市へのパッケージツアーでも構わない。出張で行き慣れた場所でも構わない。ちょっとした“ドキドキ”を発生させる何かに出会えば経験値は上がる。そして戻ってきた日常のありがたみも高まる。

「ですね。だからみなさん、ぜひ旅に出てみましょう!」。


【Profile】
大石学
1975年、大阪市生まれ。甲子園を目指し主将を務めた岡山・作陽高校を経て、20歳の時モデルとして本格的に仕事を始める。雑誌のみならず、「LANVIN」「John Varvatos」などのコレクション、テレビCMなどでも活躍。趣味はバイク、トレッキング、マラソンなど。旅先でも度々荒野を爆走する。
・大石学 オフィシャルインスタグラム(@gaku10

取材・文=武田篤典 撮影=稲田 平


特集「男はどうして旅に出るのか?」過去記事一覧
第1回
200人のオトコたちに聞いた。 今年のGWに旅立つ人気スポットは?
第2回
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