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世界に1つだけの”器”作り。オリジナリティはこう吹き込む

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愛で、創り、使う。セラミックアーツ入門 Vol.3
ストイックでお堅いイメージのある、陶芸。自作の食器に興味はあっても、地味なイメージは拭えない。なにより食卓に完成品を並べることをイメージするとオシャレ度にやや難あり。……と思っていたけれど、最先端の陶芸、もとい「セラミックアーツ」は驚くほどカッコいい。本連載ではアーティスト・中野拓氏に教えを乞い、進化した陶芸の魅力に迫る。さあ、愛で、創り、使う楽しみを味わい尽くそう。

「セラミックアーツ入門」を最初から読む

伝統に縛られない自由な創作ができる「セラミックアーツ」。自分の想いやルーツを作品に反映するのが楽しみのひとつだ。「世界に一つだけ」という響きに、男はいつの時代も抗えない。

ならば、さっそく創作へと挑戦したいところだが……ちょっと待った。闇雲にスタートを切るのはNGだという。

「創作に取り掛かる前に、あらかじめ完成像を固めておきましょう。作る途中で『やっぱりこの色がいいな』と思っても、変更不可能なことは多々あります。じっくりとカウンセリングして、完成までのロードマップを決めなければいけません」。

そう語るのは、中野 拓さん。表参道の陶芸工房「彩泥窯」オーナーであり、宇宙をテーマとした作品を手がけるセラミックアーティストだ。

「そのためにはまず、陶芸制作の基本的な流れを理解すること。また、どうしたらオリジナルの作品に仕上がるのか、その方法も押さえておきましょう。完成像をより具体的にイメージできるようになります」。

今回は、陶芸の基本的な製造工程を紹介。さらには「土で成型する」「焼き上げる」といった各工程において、オリジナリティを吹き込むためのワザも教えてもらう。


土を練り、成型し、“想い”を模様に落とし込む

最初に取り組むのは、材料となる粘土選び。陶芸用の粘土には、色や土質などさまざまな種類がある。なかでも白くて扱いやすい土質の「白土」、赤くて鉄分の豊富な「赤土」、黒色のシックな仕上がりになる「黒土」は代表的だ。

「どの粘土を選ぶかで、発色や質感も変わってきます。作り途中でやり直せないのはそのため。作品の色は自分の故郷や、贈り物なら相手との思い出の地などをヒントに決めると良いでしょう」。

中野さんの故郷・淡路島をモチーフにした作品。地域特有のオレンジ色の砂浜と、エメラルドグリーンに見える海から着想を得た

粘土を選んだら、次にそれを練る。全体を均一に柔らかくすることで、粘土を扱いやすく、また歪みづらくするのだ。内包された空気をしっかり抜かないと、乾燥・焼成のときに割れやすくなる。

そして、目指す形へと粘土を成型していく。作り方は多岐にわたり、陶芸の代名詞とも呼ぶべき「ろくろ作り」、テーブルに座って好きな形に粘土をこねる「手びねり」、ドロドロに溶かした粘土を石膏型へと流し込む「鋳込み」などがある。

ろくろを回すのは憧れるが、初心者は手びねりから挑戦するのがお手軽だとか。茶碗、ぐい呑み、ビールタンブラー、ランプシェード……思い思いの形に粘土をこねる。焼き上げるときに縮むので、やや大きめに作るのがコツ。

「オリジナリティを表現するなら、想いを模様にしてみましょう。故郷から拾ってきた落ち葉で型を取ったり、幼少期に集めた石で絵柄を描いたり。出身地の土から泥を作って、子供の手形をつけるのも素敵ですね。感謝のメッセージや座右の銘など、大切な言葉を筆書きするのもオススメです」。

「一杯入魂」。彩泥窯の生徒の見本としてスタッフが作ったラーメン鉢


陶器は“二度”焼く。釉薬を調合すればカラーバリエーションも際限なし

さあ、形ができたらお待ちかねの焼き上げだ。まずはよく乾燥させることで、焼成時のひび割れに備える。焼き上げは700度ほどの「素焼き」と1240度ほどの「本焼き」を順番に行う。

素焼きを済ませたタイミングで、釉薬(ゆうやく=うわぐすり)をかけよう。釉薬とは、陶器の表面に塗る薬品のことで、焼き上げると溶けてガラス質になり、液体の浸透を防いでくれる。色合いを与える効果もあるため、好みのカラーをセレクトするのはもちろん、何種類かの釉薬を調合して絶妙なニュアンスも追求できる。

「釉薬は灰や長石、鉄などを粉末化したもの。自分の故郷にある木の表面などを採取し、釉薬に混ぜるのも趣がありますよ」。

土と釉薬の組み合わせにより、無数の色を表現できる

あとは締めくくりの「本焼き」だけ。窯に詰め、高火力で焼き上げたら完成だ!

陶器は硬く焼き締まり、釉薬も溶けて全体を覆うためガラス質の艶を帯びる。丹精込めて作った作品が、ついに命を宿すのだ。

ちなみに、絵付けをする場合は、釉薬をかける前にする「下絵付け」と本焼き後にする「上絵付け」がある。和絵の具やクレヨン状の顔料に加え、濃紺に染付できる呉須(ごす)、酸化鉄によって赤く発色する弁柄(べんがら)など、色塗りのバリエーションも豊富だ。

さて、次回はいよいよ陶芸デビュー。全体像が見えたことで、モチベーションも沸々と高まってきた。自分の想いを込めた作品がどんな姿になるのか、今から楽しみでならない。


取材・文=佐藤宇紘
撮影=澤田聖司

【取材協力】
彩泥窯 表参道工房
住所:東京都渋谷区神宮前4-6-2-1F
電話番号:03-6447-1105


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