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2018.01.16

かぞく

趣味にお金を遣うとき、妻を説得する“2つの文脈”づくりとは?

妻を説得する心理テク Vol.4
連れ添う年月を重ねると、何も語らずとも通じ合うツーカーな関係になる一方、妻の興味は子供へ移り、自分の主張が軽くあしらわれることも多くなる。夫婦関係のこと、お金のこと……、面倒そうなことならなおさらである。なんとか打開策はないものか? 「妻へお願いごとをする」、そんな場面を有利に運ぶための心理学テクニックを学んでみよう。
「妻を説得する心理テク」を最初から読む

妻に納得してもらう2つの交渉パターン

「なんでそんなの買ったの? しかもこんなにお金かけて!!」
男ならば趣味の1つや2つはある。そのため妻からこんなセリフを言われてしまった経験もある人も少なくないのでは? 趣味をひとつ上の次元へ進みたい……と、高価なものに手を出したくなってしまったとき、上手に妻を説得する方法はないものか……。臨床心理士の山名裕子先生によると、そんなときに効果的な2つの交渉パターンがあるそうだ。
「まず1つ目として、キャンプやサーフィンなど、お子さんも楽しめる趣味をお持ちの場合は、子育てとして趣味を巻き込んでしまうことですね。ある心理学の実験で、モノより記憶や経験にお金を使ったほうが、心が豊かになるという結果が出ています」。
「ある心理学の実験」とは、コロンビア大学で心理学を研究しているエリザベス博士が、オハイオ州に住む女性600人を対象に行った調査のこと。高級マンションに住んだり、高級車に乗っている人よりも、一般的なマンションに住んで普通に暮らす人のほうが幸せを感じていることが判明したのだ。その人たちのほとんどは、趣味などで家族や友人、恋人と多くの時間を過ごし、人間関係や自分の視野を広げることを日常的に行っていたという。
「このことを奥さんに伝え、『子どもの心を育むのに、趣味を通した共通の経験や時間を過ごすことがいいんだよ。だから僕は子どものために趣味にお金をかけたいんだ』と説得できます」。
「子どものため」と言われてしまえば、妻も財布のひもが緩んでしまうかも。しかし、バイクやプラモデルなど、子どもを巻き込みにくい趣味の場合はどうすればいいのだろうか。
「2つ目の交渉パターンとして、『この趣味のおかげで上司や得意先と会話が弾んで仕事がうまくいく。だから僕にはこの趣味が必要なんだ』という説得の仕方があります。自分だけのためじゃなくて、仕事や家族のためでもあることを粘り強く強調して説明すると、奥さんの態度も軟化するでしょう」。

妻に趣味を理解してもらうには?

山名先生は、そもそもなぜ妻が不機嫌になるのか、その原因を考えてみると説得もしやすいという。
「心理学では、『怒りは2番目の感情』と言われています。奥さんが旦那さんの趣味について怒るとき、必ず1番目に別の感情があるはずなんです。疲労感やホルモンの乱れ、もしくは『もっと家族のためにお金を使いたいのに』という願いが、怒りの感情を引き起こしているかもしれません。怒りに隠された1番目の感情を探って、趣味の必要性と仕事や家族のためにお金を使うことをしっかり説明するといいでしょう」。
趣味に没頭していると、家族のことをほったらかしがち。お金だけじゃなくて、それも妻の不機嫌を招いているのかもしれない。また、「趣味の大切さを妻と共有することも大切です」と山名先生。
「奥さんも趣味を楽しめる時間を作るよう、旦那さんから勧めてあげてください。奥さんも趣味の時間の大切さを理解することで、旦那さんの趣味にも寛容になるはずです」。
ただ、夫婦で同じ趣味を持つことは避けたほうがよさそうだ。
「夫婦で趣味を共有した場合、趣味の世界でお互いに競い合って、諍いが起こるかもしれません。もしくは『それは買う必要ないよね』と、口を出し合うことも。『趣味っていいよね』という『考え方の共有』でとどめておくのがベストでしょう」。
今日から使える! テクニックのおさらい
・趣味を「子育ての一環だ」と巻き込んで説得する
・「趣味のおかげで仕事もうまくいくんだ」と粘り強く説明する
・妻が趣味に怒る理由を考えてみる
・趣味を持つ大切さを妻と共有する
夫だけが趣味にお金を出して楽しんでいる姿を見ると、妻はついつい「ずるい」「私も」という感情が働いてしまう。次からは「ママもどう? 子供みてるよ」なんて言葉を掛けてあげたら、妻もちょっぴり理解してくれるかも。
次回は、オーシャンズ世代のビジネスマンの転機「転職や独立の相談」について探っていきたい。夫の人生の決断を後押ししてもらうため、妻になんと言えば応援してもらえるのか。乞うご期待!
【取材協力】
山名裕子
1986年5月7日、静岡県生まれ。臨床心理士。「やまな mental care office」を東京青山に開設。心の専門家としてストレスケアからビジネス、恋愛などあらゆる悩みへのカウンセリングを行っている。まだカウンセリングに対する偏見の多い日本で、その大切さを伝えるためにメディア出演や講演会活動を行う。日本テレビ「ナカイの窓」では心理分析集団「ココロジスト」を務める。新書に『読むと心がラクになる めんどくさい女子の説明書』(サンマーク出版)がある。
いのうえゆきひろ=取材・文
 


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