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2017.12.28

あそぶ

シングルオリジンの茶葉とは何ぞや?日本茶のシブくて深〜い世界


日本茶の茶葉は奥深い。北から南まで多くの産地があり、無数の品種がある。自分用や贈り物やなどでいざお店を覗いて見ても、どれがいいのか? と悩んでしまう人も多いことだろう。
「煎茶にするための日本茶の多くは、実はブレンドなんです。ほとんどが『やぶきた』と呼ばれるスタンダードな味わいの品種を75%入れて、残り25%にさまざまな風味をブレンドすることで“毎年同じ味”が作られていることが多い。日本では『このパッケージはこの味』という具合に、定番が好まれるためなんです。裏を返せば『やぶきた』以外の残りの25%には、いろんな味の違いがあるということ」。

こう教えてくれたのは、三軒茶屋にある東京茶寮の店長・野口三基さん。市販品の多くがブレンドであるのに対し、この東京茶寮では、“シングルオリジン”と呼ばれる単一農園・単一品種にこだわっているのだ。それをコーヒーのようにドリッパーを使うことで、こだわりの一杯を作り出している。
「天候で品質や収穫量が変わり、それによって味や出荷量の安定性も変わる。農家ってそれを一番気にしているんですね。安定的に買ってもらえることが大事。不安定なものは、それだけで価値が下がってしまう」。

もちろん“安定性”もひとつの価値だが、嗜好品として「味の違いを楽しんでみては?」というのが東京茶寮の提案だ。
「コーヒーは、シングルオリジンが当たり前になっています。日本茶も同じ嗜好品ですから、そういう味の差を楽しむ時代になってきています。シングルオリジンは味が変化してしまうので、同じ味になることは難しい。逆を言えば、毎年のコンディションで生まれる差異を楽しめるんですよ」。

では、果たしてどんな品種が合って、それぞれにどんな味わいなのか、野口さんにオススメから変わり種までをチョイスしてもらった。
 
「藤枝かおり」(静岡県産)

まるで人名のようなコチラは、静岡県藤枝市で作られる香り自慢の逸品。「まるでジャスミンティーのような香りなんですよ」と野口さん。インドの紅茶品種の血統が入り、異国感のあるちょっとサプライズを与えてくれるような味わい。今どきを現した、まさにニューウェーブだ。2000円(100g)
 
「おくゆたか」(滋賀県産)

日本の風景に溶け込むような、ほっこりとした味わいが特徴。これぞ日本茶と呼べる古式ゆかしき味わいと香りに、和むこと間違いなし。「滋賀と京都が日本茶の発祥なので、やはり伝統の味わいですよ」。1800円(100g)
 
「駒影」(奈良県産)

宇治茶の発祥として、石碑に刻まれている伝説的品種。柔らかく優しいうまみが特徴だ。その味わいに古人らのお茶に対する感動が頭をよぎる。深い味わいとストーリー性を併せ持ち、ある種オッサン好みの逸品。1800円(100g)
 
「Z1」(京都府産)

「すごい名前ですけど、品種登録される前の茶葉はこのような記号で呼ばれるんです」と野口さん。宇治茶の香りと煎茶の力強さを備えた絶品の茶葉なのだが、すぐに葉が硬くなってしまい、育てる難度は極めて高いのだとか。2800円(100g)
 
「はるもえぎ」(鹿児島県産)

スタンダードでおいしいと評判の「やぶきた」の孫にあたるニューカマー。和栗のような甘みが感じられ、飲みやすい。まろやかで甘いお茶が好きならぜひオススメしたいものだとか。「九州勢は最近すごく力を付けてきている印象です」。1800円(100g)
 

もちろん紹介しているのはごく一部。東京茶寮だけでも、25種類ものシングルオリジンを取りそろえていて、その味わいは毎年微妙に異なるのだとか。そして着目すべきは、産地や銘柄の違いがわかりやすいということ!

「煎茶は味の振れ幅がすごく大きいんです。一方で味わいは実に繊細。例えば、コーヒーの味の違いはあんまりわからないなぁという方でも、お茶は一口飲めば絶対に違いがわかりますよ」。

ここまで言われたのでは、試してみたくなるのが男の性。飲み比べていくうちに好みの味もわかるだろうし、さらに探求した先には出されたお茶の産地までわかるようになるかもしれない。お茶を楽しむための道のりは、随分と探求しがいがありそうだ。
【取材協力】
東京茶寮 三軒茶屋店
www.tokyosaryo.jp
※募集は終了いたしました。たくさんのご応募ありがとうございました。
【募集概要】
日時:2018年1月28日(日)
(1) 10:00受付 10:30-12:00
(2) 13:00受付 13:30-15:00
(3) 16:00受付 16:30-18:00
場所:東京茶寮 三軒茶屋店
東京都世田谷区上馬1丁目34−15
www.tokyosaryo.jp/
※直接会場までお越しください
定員:27名(3部入れ替え制)
参加費:
・雑誌OCEANS定期購読者:無料
・一般読者:3000円
*雑誌OCEANS定期購読者の方は、お連れ様1名まで無料です。
*当日会場にて現金でのお支払いとなります。お釣りの無いようご用意ください。
締め切り:2018年1月14日(日)
*当選者の発表は、メールの発送をもって代えさせていただきます。


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