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2017.12.15

ライフ

職場の20代に「飲みに行こう」と誘ったら「いやです」と言われた


職場の20代がわからないVol.3
30代~40代のビジネスパーソンは「個を活かしつつ、組織を強くする」というマネジメント課題に直面している。ときに先輩から梯子を外され、ときに同僚から出し抜かれ、ときに経営陣の方針に戸惑わされる。しかし、最も自分の力不足を感じるのは、「後輩の育成」ではないでしょうか。20代の会社の若造に「もう辞めます」「やる気がでません」「僕らの世代とは違うんで」と言われてしまったときに、あなたならどうしますか。ものわかりのいい上司になりたいのに、なれない。そんなジレンマを解消するために、人材と組織のプロフェッショナルである曽和利光氏から「40代が20代と付き合うときの心得」を教えてもらいます。
「職場の20代がわからない」を最初から読む

「飲み会」は仕事なのか、プライベートなのかが気になる20代

さて、今回のテーマは「公私」です。我々オッサン世代にとって、職場の人やお客様との飲みの席は大切なコミュニケーションの場でした。公的なオフィスではなかなかできないぶっちゃけ話を上司や同僚とすることで、人間関係が円滑になったり、成長するためのヒントをもらったりしたものです。
上司におごってもらえて、しかもいい話が聞ける、自分にとっても良い場だと認識していたので(当然、嫌な上司との嫌な場もありましたが)、喜んで参加し、もちろん残業時間に計上したりなどはしませんでした。しかし、若者にとっては、「それって仕事なんですか。それともプライベートなんですか。それによって参加するか考えたい」というような問いが先立つようです。

「公私」の区分をはっきりしろ、とは、むしろ会社の方が言っていること

しかし、「働き方改革」時代で、これだけ労働時間短縮、業務効率化のプレッシャーをかけられている若者としては当然の問いかけかもしれません。「だらだらと働くな。メリハリをつけて働いて、もっとワークライフバランスを良くしなさい」「労働時間とはこういう時間のことを言うので、その時間は労働時間ではありません」
「会社の仕事を家に持ち帰ってはいけません。会社の仕事は会社で就業時間内にしてください」などなど、これらは全部、会社側から若者に対して日々言い続けていることです。
だから、「上司との飲み会」を「業務なのか否か」と問うのは、ある意味会社の言いつけに忠実な行動とも言えましょう。

「飲み会」が嫌なのではなく、「あなたと飲む」のが嫌なのかもしれない

「飲み会」はこのように、働き方改革の中でやり玉に上がりやすいものですが、実際には、若い人であっても酒席を必ずしも敬遠するという人ばかりではありません。むしろ、オッサン世代のほうが気を使って、「もし、良かったら飲みながらでも話そうか……いや、別に昼間に会議室で話してもいいんだけど……」と恐る恐る誘うのに対して、「いえいえ、もちろん、ぜひぜひ」みたいな場面に出くわします。若者は飲み会自体を拒否などしていません。
一方、嫌がられたり、断られたりしているオッサンもいます。この違いは何か。考えてみれば当然の話ですが、結局、「飲み会だから嫌」というよりも、「あなたと飲むのは嫌」、ということではないでしょうか。そうでなければ、その若者はどんな飲み会でも断るはずです。しかし、そうはなりません。つまり、単にあなたが若者から「飲みニケーション」を断られているのは、参加するに値しない「つまらない場」だと思われているからです。

20代だって飲み会が面白ければ、「公私」なんて関係ない

それを我々オッサン世代は、「若者は飲み会を嫌っている」「飲み会が仕事かどうかなんて聞きやがる」と非難するのですが、それは自分が若者にとって面白い存在ではないことに気づくことから逃れて、自分のか弱い心を守ろうとしているのでしょう。しかし、現実は直視しなくてはいけません。
もし、若者に酒席を断られてしまったら、彼らにとって面白い人間になるように努力するか(私は個人的にそんなこと必要ないと思いますが・・・。オッサンはオッサンであることに誇りを持てば良く、媚びる必要などありません)、あるいは、彼らは自分たちにはお酒の席のような公私の曖昧な時間を使ってはくれないと諦めて、明確な勤務時間中にオフィシャルに話をすれば良いと思います。ただ、その場合は、お酒の力を借りられないので明確なロジックやファクトをもとにした、納得性の高い話をしないと、若者にまたそっぽを向かれてしまうのでしょうが……。
文/曽和利光
株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。
 


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