家庭で男性が家事育児を担うのは、もはや常識とも言えるようになった昨今。しかし、「自分はこんなに家事育児を分担しているのに、奥さんになぜだかいつもイラっとされている」というパパの声がある一方で、ママからは「もう夫に期待するのはやめました」という声。そこで、この連載では、これまで私が多くのママたちから聞いた話を元に、テーマ別に事例を挙げて、ママがどんなときに、なぜパパにイラっとするのかを解説していきます。
「自己評価の高いパパ」と「いつも何かが不満なママ」を最初から読む子供を早く寝かせる必要性をあまり感じていないパパ今回は子どものしつけがテーマ。最近は、昔のような「こわいお父さん」は絶滅危惧種のようになり、子供に優しいパパが増えています。我が家の4歳の娘も、欲しいものややりたいことを、パパにおねだりすればだいたい叶えてくれると理解しているよう。
そんな中で複数のママから聞こえてきたのが、パパが主体的に子供のしつけに関わってくれないという話。例えば、夜、子供を寝かせる時に「ママに叱られないうちに寝なさい」などという言葉にカチンと来るとママたちは言います。
小学校2年生の娘と年中の息子、2人の子供のママである専業主婦の由美子さん(仮名)も、子供のしつけにパパがあまりにも関心がないことが腹立たしいとか。
「うちの夫は、おおらかな性格なのは良いのですが、子供の寝る時間や食事の好き嫌い、勉強などにも全くと言っていいほど口出しせず、とにかく甘いんです。子供を早く寝かせようとしても、その必要性を理解していないようです。だからガミガミと口うるさく言うのはいつも私の役目。パパは『早く寝ないとママに怒られるぞ、また』などと言うだけ。これでは、なぜ早く寝ないといけないのが子供に伝わらなし、私だけが悪者扱いみたいなのも納得できませんね」
最近、欧米諸国の子供と比べて日本の子供は就寝時間が遅いことや、睡眠時間が短いことも問題になっているなどという話を聞いたことがある人も多いと思います。一説によると、子供の成長のためには小学生でも9時間以上の睡眠が必要と言われているそう。
我が家でも、21時の就寝を目指してお風呂に入れたり翌日の準備をさせたりしているところへ帰宅した夫が「でもみんな結構10時くらいに寝かせてるって言ってたよ」などと余計なひと言を言って何度言い合いになったことか……。
もちろん、何時に寝かせるかは、各家庭の方針で決めればいいことなのですが、少なくとも夫婦間で方針を擦り合わせておかないと、子供が混乱しそうです。なぜ9時に寝かせたいのか、そこに疑問を感じたら、一度ママにその理由をきちんと聞いてみてはいかがでしょうか。
子供のおねだり、何でも受け入れるのはやめて!また、子供のご機嫌をとるかのようなパパの態度にイラっとするという話もありました。
メーカー勤務の美香さん(仮名)は4歳の女の子のママ。フルタイムで仕事をしているため、保育園から帰ってくるのはいつも20時頃、必死にごはんを食べさせ、お風呂に入れているところへ、会社員の夫が帰宅するそうです。
「夫は晩酌の時によくスナック菓子を食べているんです。子供はそれを見たら絶対欲しがるじゃないですか。それで、私は『できれば子供にお菓子を食べているところを見られないようにして』とか『寝る前にお菓子は絶対にあげないで』と言っているんですけど『ママには内緒だぞー』などと言ってこっそりあげていることがあって。それは本当にやめて欲しいですね。子供には、ごはんの後のお菓子はダメと言っているのに、パパに言えばもらえると思っちゃってます。子供からおねだりされてついつい、という気持ちはわかるけど、もうちょっとけじめをつけて欲しいですね」
我が家でも、ジュースはあげすぎないでと言っているのに、休日にパパと散歩に出かけると、350mlのペットボトルのジュースを飲みながら帰って来ることがあります。娘もパパに言えばジュースを買ってもらえると思い込んでいて、2人だけの時におねだりしているようです。
ママたちが、子供の生活習慣について過剰なくらいに厳しくなってしまうのは、心配性だからとか過保護だからというわけではありません。
お菓子やジュースをあげすぎて虫歯になったら困るとか、睡眠時間が不足してまた風邪をひいたら困るなど、未来の困った事態を予測して、それを防ごうとついつい厳しくなってしまう、というのも理由の1つとしてあると思います。
それと同時に、子供が風邪などひいて看病となると、やはりママの負担が大きいので、できる限りそれを避けたいというのもあるんじゃないかな……と。
最近では、共働きの家庭も多いため、子供が病気の時には、夫婦で協力して交互に仕事を休むという家庭も増えているとは思いますが、まだまだ女性へのしわ寄せが多いのは事実。ぜひそこを理解して、子供の生活習慣の改善に、パパも協力する姿勢を見せていただけると、ママのイライラも軽減するのではないでしょうか。
文=相馬由子
編集者、ライター。合同会社ディライトフル代表。子育てをテーマにした雑誌、ウェブ、書籍などの企画・編集・執筆を手がける。2017年より某育児・教育系ウェブメディアの編集長を務めている。再来年に娘の小学校入学を控え、学童に入れるのかが目下の悩み。
佐野さくら=イラスト