「自己評価の高いパパ」と「いつも何かが不満なママ」 Vol.8
2017.09.29
FAMILY

女性が無意識に気づくタスクの3分の1しか男性は認知していない

家庭で男性が家事育児を担うのは、もはや常識とも言えるようになった昨今。しかし、「自分はこんなに家事育児を分担しているのに、奥さんになぜだかいつもイラっとされている」というパパの声がある一方で、ママからは「もう夫に期待するのはやめました」という声。そこで、この連載では、これまで私が多くのママたちから聞いた話を元に、テーマ別に事例を挙げて、ママがどんなときに、なぜパパにイラっとするのかを解説していきます。

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「自分はこんなに家事育児を分担しているのに、奥さんになぜだかいつもイラっとされている」というパパに向けて、女性がどんなポイントでイラッとしているのかを解説してきたこの連載。番外編として、人工知能の研究者であり、感性アナリストの黒川伊保子さんに、女性のイライラの原因や男性の対応法をお聞きします。

出産後の女性が夫にイライラする、あまりにも衝撃的な理由を教えてもらった前編に引き続き、後編では、そんな妻を相手に男性がどのように家事に関わっていけばいいのかを具体的に指南していただきました。

少しでも役に立ちたい男性は、家事の定番の責務を決めて徹底してやる

黒川さんは著書の中で「変化が多重に連続するタスクの認知度もまた著しく低いのが男性脳である」と説明しています(『女の機嫌の直し方』より)。つまり、色々なことを同時進行で、しかも次に起こることを予測して遂行していかなければならない家事は、男性脳はそもそも向いていないということ。家庭内では、女性が無意識のうちに認知しているタスクの3分の1程度しか、男性は認知していないそうです。そうは言っても、仕事や家事育児で疲れ果てている妻をなんとかしてあげたい、少しでも役に立ちたいと思う場合、夫はどんなふうに家事育児を分担するといいのでしょうか?

「女同士の場合、相手が困っていたり、大変だったりするのを察して、言わずとも手を差し伸べ合うもの。しかし、男性脳と女性脳は感知していることが違い、たいへんと思うことも違うので、男には『女が望むように』察することや手を差し伸べることが難しいのです。

そこで、定番の責務みたいなものを作ってしまうのがいいと思います。男性脳は、定番の責務を徹底していくことについては素晴らしいですから。例えば、お風呂掃除とお風呂のカビ取りはパパの担当とか、家の中すべての蛍光灯や電球はパパが管理して、切れたら取り替え、必ず予備を買っておくとか、料理だったら、土曜日の夕食はパパがカレーを作るなどと曜日とメニューを決めるのもいいと思います。やることをきっちり決めていれば、やりやすいですよね」

確かに、我が家でも食事後の皿洗いは夫の担当にしているので、自分が飲んで夜遅くに帰ってきても、シンクに食器が残っていれば必ず洗ってくれます。もはや我が家の食洗機。

でも、女性の中には、そういった男性脳の特性を理解できておらず、どうして臨機応変にやってくれないの?と怒る女性もいそうですが……。

「夫婦間でこれからも長く良い関係を築いていきたいと思うのであれば、男性脳の特性をきちんと説明したほうがいいです。女子校出身で職場も女ばかりのような環境で過ごしてきた女性の場合、男性脳の特性を理解していない人は多いもの。そこで『その場その場で何をしてほしいかという暗黙のクイズには、僕は正解は出せない。その場その場で変わることに男の脳は対応しきれないので、これはあなたがずーっとやってというのを決めてほしい』といった話をしましょう。自分から『お風呂のカビ取りなら僕にもできそうだけど、どうかな?』などと、できそうなことを提案してもいいと思います」

 

女性が男性に言いがちなセリフ、答え方に正解はある?

また、そのようにして家事分担を工夫しても、女性は男性に時々キレますよね。黒川さんによると、女性が男性にキレ気味に言うセリフにも定番があるそうで、その時に正しい答え方をすることが重要とのこと。よくある3つの例を教えてもらいました。

・「これするの、大変なんだからね」
例えば「毎日朝ごはん作るの、どんなに大変だと思っているの?」と言われた場合、「別に、コンビニでいいよ」というのは不正解。「大変なのはわかってる。君も働いているのに、早起きしてくれて。いつも感謝しているよ」が正解。

・「あの時、なんであんなこと言ったの?」「なんでやってくれなかったの?」
男性が言いがちな「言ってくれればいいのに」は不正解。「気づいてあげられなくて、ごめん」が正解。女性は自分の気持ちを察してくれること、気づいてくれることで、大切にされているかどうかを感じる生き物なので。

・「だから言ったじゃない」
女性脳は身の回りの変化を早めに気づき、リスクヘッジしていく段取りの天才。その中で気づいたことを「これはこうしたほうがいい」「早めにやったほうがいい」などと夫にアドバイスするが、夫にとっては唐突なことに思えてしまう場合も。そして、妻のアドバイスを聞き入れず、予想通りのトラブルに見舞われた場合に出るセリフ。その時には「本当だね。キミの言った通りだね」と素直に白旗を上げよう。

(黒川伊保子・著『理不尽な女 鈍感な男』より)

確かに、これらは私も身に覚えのあるセリフばかり。私も先日「毎日ご飯作るのが、どれほど大変だと思っているの!?」と言った時に、「大変だったらお惣菜買ってきても、ぜんぜんいいよ俺は」などと夫に言われ、絶望的な気持ちになったことがあります。

黒川さんによると、女性が男性に対してキレ気味に言うセリフには、18のパターンしかないそうです。しかも、これらの答え方、妻に対してのみならず、職場の女性にも応用できます。女性の部下が多い男性は、身につけて損は無さそうですよ。

男女の脳の特性を理解すると、自分の言動も夫の言動も、腑に落ちることばかり。しかも、我ながら「女ってなんて面倒くさいんだ」と思ってしまい、ちょっと反省しました(笑)。でも、女性とうまくやっていくためのコツは、一度理解してしまえば意外と簡単かもしれません。妻や女性部下の心をとらえることで、日々の生活が快適になることも多いと思うので、ぜひ試してみてください。

【PROFILE】
黒川伊保子さん
株式会社感性リサーチ代表取締役。人工知能研究者/脳科学コメンテイター/感性アナリスト。エッセイスト。奈良女子大学理学部物理学科卒業後、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリにて、14年にわたり人工知能(AI)の研究開発に従事。その後、AI分析の手法を用いて、世界初の語感分析法である『サブリミナル・インプレッション導出法』を開発し、マーケティングの世界に新境地を開拓した、感性分析の第一人者である。また、脳の違いから起こる男女のすれ違いを書いた数々の著作は人気を博し、雑誌やテレビのコメンテイターとしても活躍中。著書に『女の機嫌の直し方』(集英社インターナショナル新書)、『理不尽な女 鈍感な男』(幻冬社)、『家族脳』(新潮文庫)など。

文/相馬由子
編集者、ライター。合同会社ディライトフル代表。子育てをテーマにした雑誌、ウェブ、書籍などの企画・編集・執筆を手がける。2017年より某育児・教育系ウェブメディアの編集長を務めている。再来年に娘の小学校入学を控え、学童に入れるのかが目下の悩み。

佐野さくら=イラスト

 

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