Running Up-date Vol.86
2021.08.14
LEISURE

「走るときに何を着る?」キーアイテムから逆算するランニング・コーディネイト術

鈴木すず

「Running Up-Date」とは……

大手アパレルメーカーのEC部門を統括する鈴木武史さんは、“鈴木すず”名義でランニング関係のライターとしての顔も持つ、相当なギアマニア。

……と形容すると本人は謙遜するかもしれないが、玄関の壁一面にDIYで作り上げたシューズラックにはランニングシューズだけでも数十足が並ぶ。そんな人はきっと、世の中にそう多くはない。

今回は生粋のモノ好きが選んだランニングギアを拝見してみよう。

ここ最近のランニングウェアシーンはエキサイティングだ

「ランニングでのギア選びも、基本的には普段着と同じ。全体のコーディネイトで考えています」と、鈴木さん。

鈴木すず
エルドレッソのトップスに、ヒアネスのショーツを合わせた。シューズはデサントで、ヘッドバンドはノーブランドのもの。

曰く、街でのファッションと同じで、まずは軸となるアイテムを決め、そこからほかのアイテムを選ぶ。

「最初にお断りしておくと、いつも真っ赤なコーディネイトではありません(笑)。全身黒い日もありますし、色を組み合わせるときもあります。

取り立てて赤が好きというわけでもありませんが、今日は最近ヘビロテしているヒアネスのショーツを軸に、コーディネイトが決まりました」。

鈴木すず
2020年にデビューしたばかりの日本ブランド、ヒアネスの「シュガーケーンショーツ」。ブランドが自社運営のするECサイトでのみ手に入る。

ヒアネスは、ランニング仲間やSNSで話題になっていたというブランドだ。

「どのウェアも素材にこだわりがあるのが特徴です。このショーツは商品名のとおり、サトウキビ由来のポリエステルを使用している、などの蘊蓄がありますが、何よりこの深い赤が琴線に触れました。こういうカラーのランニングウェアって、あまり見たことがなくって。

いざはいてみると思いのほかストレッチが効いていて、しなやかな肌触りで心地良い。ほかの色も含めて何枚か欲しいなと思っています」。

最近はヒアネスのように、インディペンデントなランニングウェア・ブランドが続々と立ち上がっている。鈴木さんが走り始めた10年前に比べ「ファッション的な視点から見ても、はるかに面白いシーンになっています」。

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ソールからつま先まで真っ赤なシューズが欲しい!

赤色つながりで選んだトップスはエルドレッソのもの。鈴木さんの走るモチベーションをアップしてくれるブランドのひとつだ。

「エルドレッソに関しては、もう完全に見た目重視です。ダマスク柄のトップスなんて、他社のランニングウェアではまず見つかりません」。

速乾性のある素材や走りやすいパターン設計といったベースラインはクリアしているものの、機能性の高さで勝負するアイテムではない。

鈴木すず

「秒単位でタイムを削り出すレースなどのシチュエーションは別として、普段走るならこれで十分ですよね。ランニングウェアでこういったデザインの切り口は面白いですし、ファッション好きとしてはテンションが上がります」。

上下赤のコーディネイトゆえ、シューズもカラーリング重視でチョイス。

鈴木すず
デサントの「デルタLD」。トライアスリート向けのレースシューズ開発で培ったノウハウが詰め込まれている。

「水抜けや足馴染みの良さなど、トライアスロン由来ならではのキャラクターを持つシューズです。

ソールまで真っ赤な靴が欲しいな、というところから探して、デサントはまだ履いたことがなかったので選びました」。

ファッションを生業にしているのだから、当然ワードローブとしての服は山のようにある。ランニング関係のギアも同様に、少しずつ数が増えていく。

「ピンときたものであれば何でも、分け隔てなく試してみるのが好きなんですよね。新しいものに対する好奇心にはブレーキを掛けないようにしています」。

鈴木すず
この日はショーツをベースにコーディネイトを決めた。「その日身に着けたいアイテムを決めて、そのデザインに合うように全身のウェアリングを選ぶことも多いです」。
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ロードとトレイルで兼用できる“ゴア”のシェル

こだわり派の鈴木さんだが、割り切りの良さを感じさせてくれる一面もある。

「サングラスはうっかり無くしてしまうことが多いんです。だからグダーなど、グッドプライスのものを選んでいます。高価なサングラスを使えば、その緊張感からなくさないという考え方もあると思いますが、自分にはこっちの方が合っているかな」。

鈴木すず

トレードマークの長髪をまとめるヘッドバンドもノーブランドのものを愛用。

「キャップを被るというのがどうにもしっくりこないんですよね。とはいえ、走るときに髪の毛が気になりますし、汗が目に垂れてくるのも避けたい。

そんなわけでヘッドバンドを使っていますが、これはAmazonで購入した何の変哲もないものです。色味が気に入っていて、色違いで5枚くらい持っていますよ」。

ちなみにヘッドバンドも数十枚は所有しているそうだ。

鈴木すず

「時計に関してはスントのデザインが好きなんですよね。スント9はバッテリーの持ちがよく、今興味がある100km越えのウルトラトレイルレースでも十分使えます」。

と、トレイルランナーらしい視点から選んでいる。

また今の時期、1枚持っていると安心なレインシェルに関しても、トレイルラン経験者ならではのこだわりが。

鈴木すず
ゴア ウェアのランニング用ジャケットは、日本ではまだ珍しい。

「シェイクドライといって、防水透湿メンブレンの上にラミネート加工する表生地をあえて省略した素材を用いています。だから水をダイレクトに弾いてくれますし、もの凄く軽い。

シェイクドライはランニング用のシェルの完成形というか、最高峰なんじゃないでしょうか。多少の雨や、走っている最中に降ってくるかな、という場合でも躊躇せずに玄関を出られます」。

キーになるアイテムを1点選び、そこから逆算するコーディネイトはファッション好きらしい手法。

とことん機能にこだわってチョイスするのは記録を狙うレースのときくらい。その場合も、勝負シューズであるナイキのヴェイパーフライを軸にして色味を合わせていく。

「そうした方がテンションが上がって、ランニングのパフォーマンスも上がるはずだから」。

鈴木すず

RUNNER’S FILE 41
氏名:鈴木武史 
年齢:43歳(1977年生まれ)
仕事:アパレルメーカー EC統括
走る頻度:週5〜6日、週間走行距離70km程度
記録:フルマラソン3時間17分(2019年 勝田全国マラソン)

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「Running Up-Date」
ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。 上に戻る

礒村真介(100miler)=取材・文 小澤達也=写真

# Running Up-Date# トレイルランニング# ランニング# 鈴木すず
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