Camp Gear Note Vol.103
2021.08.08
LEISURE

最近よく見る“着る扇風機”はキャンプでも涼しいのか? フィールドで実験してみた

外に出るのを躊躇するほど暑い。短パン、Tシャツ姿になると、これ以上脱ぐことは不可能。そんな日には一体、何を着ろというのか。

空調服
「Camp Gear Note」とは……

そう思いながら街をブラついてみると、工事現場や道路整備の方々が、電動ファン付きウェアを着て作業に励んでいるのが目に入ってきた。

小さなファンだけで、本当に涼しいの? 電池が熱くなったり、重かったりするんじゃないの?

気になるその使い心地をテストしに、フィールドに出かけてみた。

2つの小型扇風機を内蔵した「ウェア+扇風機」

空調服
ともに写真のタンと、ブラックの2色展開。左:「ファンウェア マウンテンパーカー」3万9490円、右:「ファンウェアベスト」3万2230円/ともにアソビト×空調服(ビッグウイング 06-6167-3005)

今回試してみたのは、丈夫なバッグや収納ケースの評価が高いブランド「アソビト(asobito)」と、ファン付きウェアのパイオニア「空調服」が共同開発した「ファンウェア」。従来の空調服をベースに、アウトドア向けに改良を施したシリーズだ。

早速、ウェアを広げてみる。ご覧のとおり、パッと見は一般的なフード付きシェルやベストとなんら変わらない。しかし、後ろから見ると腰部分に2つのファンが付いていることがわかるだろう。

ウェアを裏返して、内側を見てみよう。

空調服
1つの小型バッテリーで2つのファンを稼働させる。

腹部あたりに小型バッテリーを収納するポケットがあり、そこから2つのファンと胸ポケットへとケーブルが伸びている。着るときに引っかからないよう、ケーブルは随所でループに通されていた。

思っていた以上にシンプルな構造だ。

空調服
バッテリー重量は、263g。

電源は付属している専用の充電式バッテリーを使用する。容量は7500mAhで重量263g。そこそこ重さがあるが、実際に着てみると、それほど重さは気にならなかった。

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いざ、スイッチオン!

空調服
小型コントローラーは胸ポケット内にクリップで固定。

スイッチのオンオフ、風力の調整は胸ポケット内のスイッチで行う。

服の上からでも操作できるほどボタンは大きいが、長押しでオンオフをコントロールするので誤作動はなさそうだ。風力は4段階で強弱を調整可能。点灯している青いランプの本数で、バッテリーの残量が視認できる。

ただ羽織っているだけではシェルを着ているのと同じなので、さすがに暑い。早くスイッチを入れよう。

スイッチオン!

空調服
右がスイッチオン状態。空気で膨らんでいるのがわかる。腰部分から取り入れた空気が袖や襟口へと流れていく。

おー。なるほど。

スイッチを入れると、ご覧のようにウェア全体が膨らむ。厚手のダウンでも着ているように見えるのだろう、周囲からの好奇の視線が痛い。

しかし、これは体とウェアの間に大量の空気が流れている証拠。腰から取り入れた空気は上に流れ、襟元と袖にどんどん流れてくるのがわかる。クーラーと違って、空気自体が冷たいわけではない。風を流してかいた汗を気化させることで、体の表面から熱を奪う仕組みだそうだ。

しばらく着ていると、汗が引いてくるのがわかる。この感覚を表現するなら、裾からウチワで空気をパタパタしているときのような感じ。「涼しい」というより、「快適」というほうが正しいだろう。

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気になるフィールドでの使い心地は?

空調服
ウエストの内側を締めて空気を上に流す構造。スキーやスノーボードをする人にとっては、「パウダースカート」と言えば伝わるだろうか。

炎天下のもと、キャンプの設営をする小一時間ほどの間、筆者とカメラマンはジャケットとベストをそれぞれ着用してみた。

その感想は「快適そのもの!」。汗はもちろんかくものの、タオルで拭き取る前に風で蒸発していき、不快感は皆無だった。この仕組みを最大限活かすためには、インナーに吸汗速乾性に優れた機能性アンダーウェアを着るといいだろう。

空調服

下に空気が抜けないようにすることで、ウェア全体に空気を対流させる。

動くときに着るならベストタイプ、あまり動かずにサイトにいるなら全身に空気が流れるジャケットタイプのほうが快適に感じた。

また、森の中のサイトは別として、日向に出ることが多い場所では、ブラックよりもタンカラーのほうが涼しく着ることができた。

空調服
バッテリーはACアダプタで充電する。最大風力で約5時間30分使うことができる。

あえて気になった点をあげるなら、汗でくっつかないようにベストタイプの襟部分が丸首だったらなと思ったことと、バッテリーがUSB充電できたら車やPCからも充電できそう、ということ。

付属以外のモバイルバッテリーが使えるならば、もっと軽量化できるだろうだが、もしかしたら付属以外のものは熱を持ってしまうかもしれない。付属のものは1時間ほど連続で使い続けても、バッテリー自体が熱くなることはなかった。

空調服
ザックを背負ってスイッチオン。左の大きさであれば、背中に空気の流れを感じられた。

ちなみに、登山用にも使えるかザックも背負ってみた。

大型ザック(写真右)を背負うと、ファンとハーネスは干渉しないものの、背中の空間が潰れてしまって前面にしか空気が通らなくなる。しかし、小さくて軽いザック(写真左)なら、空気の動きを妨げずに快適だった。

バッテリー容量の問題を考慮すると、日帰り程度の登山には導入してみても面白そうだ。

電気自動車やガジェット類の普及とともに、モバイルバッテリーは日進月歩で開発が進められている。そして、扇風機だけではないウェア+αなアイテムが、アウトドアでもきっとスタンダードになる。

その日は、もうすぐそこかもしれない。

 

[問い合わせ]
ビッグウイング
06-6167-3005
www.bigwing.co.jp

「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。 上に戻る

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池田圭=文 矢島慎一=写真

# asobito# Camp Gear Note# キャンプ# ファンウェア# 空調服
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