オーシャンズをはじめモデルとしても多方面で活躍する俳優・水上剣星さん。彼は筋金入りのキャンパーでもある。
いったいどんな道具を使っているのか?とびきり楽しい車「
OCEANS MOTORHOME」とともに、1泊2日のキャンプに同行してみた。
3人分をわずか45分という卓越した設営能力
長野県のとあるキャンプ場。テントサイトに到着すると、水上剣星さんは音楽を流し始めた。
音量はごく控えめ。穏やかだがグルーヴもある、ニューソウル的サウンドである。うん、キャンプのスタートにはぴったりだ。
「最近は音探しの基準が“キャンプに合うかどうか”になっちゃってます。昔はゴリゴリのヒップホップ少年だったんですけど」。
次々と道具を運び出す。テント、チェア、テーブル、ランタンスタンド、クーラーボックス、焚き火台。
今回乗ってきた車「OCEANS MOTORHOME」の屋根からタープを引き出し、道具類はいったんその下にキープだ。そして蚊取り線香に火をつける。あれ剣星さん、そんなに虫、いないっすよ?
「めちゃくちゃ刺されやすいんですよ……。1年前にブヨに刺されたところがまだ痒いし。たとえ虫がいなくても一応焚きます(笑)。じゃあ、作っていきますか」。
4人用のデカいテントをひとりで広げていく。淀みなくフレームを組み、トンネル形状のテントを立ち上げる。場所が定まれば一気にペグを打ち固定。コット(簡易ベッド)を使うのでインナーテントなしだが、何しろ手際がいい。ものの10分だ。
背の高い鉄のスタンドを打ち込み、年代物のランタンを吊り下げる。その光がまんべんなく行きわたるであろう位置にチェアとテーブルを設置。
調味料、食器、ガスバーナーや炭なども使いやすいようセッティングしていく。テント内にコットや寝袋を運び込む。3人分の設営をひとりでこなして45分。速い!
「いつもは2家族くらいの人数で行くので、準備も結構時間がかかります。食事担当なので仕込みも大変なのですが、今日は3人分だから楽ですね。だいたいできました。乾杯しましょうか」。
バックドアを開けばそこにはちんまりとイエティの栓抜きが付いている。この車「OCEANS MOTORHOME」の遊び心である。
もちろん途中のスーパーで、ちゃんと瓶ビールを買い込んできてある。プシュ、カチャ。抜けた王冠は強力な磁石に引っ付いて地面に落ちることはない。バカな(いい意味で)遊び心なのである。
「キャンプにハマったきっかけは6年前。知り合いと一緒に、ふもとっぱら(富士山西麓にあるキャンプ場)で開かれた『朝霧JAM』に行ったんです。テント泊で。
そこで見たキャンプ道具に衝撃を受けたんですよ。なんでテントがこんなにお洒落なんだ。このコットっていう快適そうなベッドは何なんだ、って」。
剣星さんは小学生の頃、家族でよくキャンプに行っていたという。1990年代当時の道具は今と全然違った。テーブルとチェアはオールインワンの折り畳み式で、テーブル中央にパラソルを挿すようなタイプ。ブルーのプラスチック製の“ピクニックテーブル感”満載のやつだ。
「道具はこんなに進化しているのか!と。そこからはもう沼で。フェスを楽しみに行ったはずが、キャンプに夢中になってしまいました」。
キャンプ道具は主にインターネットで探している。だが購入はオンラインではなく、実店舗がほとんどだとか。
「やっぱり目で見て、手で触らないとダメですね。実物を見ると結構違うなあ、って思うことはよくありますから」。
後編に続く
「OCEANS MOTORHOME」メルセデス・ベンツのスプリンターをベースに、カスタムショップ「エス&カンパニー」の協力を得て製作した究極の遊びグルマ。
後部座席は取り払い、ベッドに可変するベンチを両側に設置。使う人が好きなように手を加えることができるというコンセプトだ。サイドバーにはサーフボードを積むためのフックが取り付けられている。
川西章紀=写真 加瀬友重=編集・文