個性派長距離ランナーの“止まらずに走り続ける”ためのギア選び
アルゼンチンのソウルフードであるチョリパンの専門店ミ・チョリパンのオーナー中尾真也さん。前編でお伝えした通り、比較的よく知られているサハラ砂漠のマラソンとはまた違う、南米チリのアタカマ砂漠マラソンを完走し、アドベンチャラスな長距離ランにハマった個性派ランナーだ。
止まらずに走り続けるためのシューズ選び
シューズのセレクトは「長距離を走るためのクッション性」を重視している。スピード重視ではなく、大切なのは止まらず走り続けられるかどうか。

ロード用はホカ オネオネ「ボンダイ」のワイドタイプ。アタカマ砂漠でのステージレースもホカ オネオネで走り抜いたが、トウボックスが狭く、小指が当たって靴ズレができてしまったそう。
「ワイドを選ぶようになってからはそのダメージが解消されましたね。トレイルはアルトラやトポ アスレチックスのシューズをよく履いています。いずれもトウボックスが広いので、自分には合っています。やっぱり選ぶのはクッション性の高い長距離用のモデルです」。
そう、中尾さんはトレイルランやウルトラマラソンなど、42.195kmよりも長い距離のレースへと積極果敢に挑戦している。
「距離の長いレースほど、止まらなければ最終的にいいところまで行けるんですよね。速いスピードでなくていいから、進み続けることが大事。このことは飲食店にも通じるように感じていて、長距離ランナーのメンタリティが飲食店経営に向いている、というところはあるかもしれません」。
エルドレッソの世界観にハマる

ウェアのお気に入りブランドはエルドレッソだ。
「デザイナーの阿久澤さんが作る世界観が好きなんです。もともと原色など明るめのウェアが好きで、フットサルのトレーニングウェアなどで走っていました。
機能性に関しては、今はもうほとんどのブランドが当たり前というか、ランニングにおいて求められる基準点は超えていて、そこに大きな差はないと感じています。だったらテンションが上がる派手なウェアを選びたい。本気でやっているのに、本気っぽく見えないようなウェアを着ているのって、なんかカッコいいじゃないですか。
派手なのに実は速くて強い! というのを目指したいですね。仲間うちでやっている『チキンハート ランニングチーム』のモットーも、強く格好良く、なんです」。

メッシュキャップもエルドレッソのものをチョイスしている。
「髪が長いので、以前は仕事中と同様のヘアバンドをして走っていたのですが、あるとき、髪を結んだらキャップの後ろから出せるなと気がついて。だからボタン留めではなく、後ろ側がバックル留めのストラップタイプが使いやすいですね」。
小物選びも、強く格好良くをモットーに
小物類は黒で統一させている。ソックスはドライマックスで、「100miles100times(100マイル走を100回完走)」を掲げるトレイルランナー、井原知一選手のシグネチャーモデル。サングランスはトレラン界隈で人気のアンサー4で、イヤフォンはオープンイヤーで使える骨伝導タイプのアフターショックスだ。そして、トレイルランナーや長距離ランナーなら必需品と言えるのがGPS機能を備えたスポーツウォッチはスント。
「最近スントの『スント5』を手に入れました。今どれくらいのスピードが出ていて、どの位置にいるかを知れるのがいい。先日走った100kmマラソンでも重宝しました。スマートフォンでも計測できますが、毎回スマートフォンを取り出すよりも当然ながら便利ですよね」。
ちなみにその100kmマラソンでは、ひとつの勲章とされるサブ10(10時間切り)を見事に達成している。
ランナーとして一段上のレベルを目指すため、リカバリーも意識するようになった。魚肉由来のBCAAが素早く吸収できる「サカナのちからA for アスリート」を摂るようになってからは疲れにくくなったという。
「レース前やレース中はもちろん、普段のランニング前や、仕事で疲れたときにも飲むようにしています。かまぼこで有名な鈴廣が作っているんですよ」。
チョリパンという日本ではまだ珍しい料理を、信念をもって広めている中尾さん。飲食店を開業するにあたりチョリパンを選んだそのセンスは、ランナーとしてのギア選びにも存分に発揮されている。
中尾さんが主宰するランニングチームの活動が気になったら、ギア談義でもしにお店を訪れてみてほしい。きっと刺激的な発見があるはずだ。もちろん、チョリパンも絶品だから。
「Running Up-Date」
ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。 上に戻る
RUNNER’S FILE 10 氏名:中尾真也 年齢:38歳(1981年生まれ) 仕事:チョリパン専門店「ミ・チョリパン」オーナー 走る頻度:ほぼ毎晩、1~1.5時間ほど 記録:砂漠マラソン完走 |
礒村真介(100miler)=取材・文 小澤達也=写真