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2021.09.12

ファッション

ディオールから登場したトランプモチーフの服が本気で“遊んでいる”件

メンズファッションに、とかく求められがちな「遊び心」。
読者におかれては、正直、何それ!とツッコミを入れたくなるような「遊び心」をファッション雑誌から数多く提案されてきたのではないかと、自戒を込めて推察する。
けれど、今回の「遊び心」は、本気だ。否、遊びだ。
「ディオール」から登場したトランプモチーフのシャツ&ジャケットは“遊び”で“本気”だった!?
ムッシュ ディオールがトランプに注いだ情熱にオマージュを捧げた「ディオール&ケニー・シャーフ カプセルコレクション」。シルク100%の半袖シャツや、同生地を背面に縫い込んだデニムジャケットといったウェアのほか、実際にトランプとカードケースまで作ってしまうなんて、「遊び心」あるなぁ。シャツ19万2500円、ジャケット29万7000円/ともにディオール(クリスチャン ディオール 0120-02-1947)
何を言っているの?と思うかもしれない。だが文字どおり、「遊び」の王様、トランプがモチーフなのだ。ハイ、出オチを失礼。ただし、それだけならば、ここまで壮大な前フリはしない。
トランプ柄のアートワークを手掛けたのが、西海岸のローブローアートの巨匠、ケニー・シャーフなのだ。一部のフリークはここで拍手となる。
というのも、1980年代からストリートを主戦場に活躍してきた彼は、時代の寵児、ジャン=ミシェル・バスキアやキース・ヘリングなどとも交流があり、キャリアを確立してきた、今やその道の重鎮。アーティスティック ディレクター、キム・ジョーンズに備わるアートへの造詣の深さと人脈の広さによって実現したのだ。
トランプ&ケース 27万5000円/ディオール(クリスチャン ディオール 0120-02-1947)
もちろん、ただのトランプに終わらず、「ディオール オブリーク」や「トワル ドゥ ジュイ」といったメゾン伝統の柄と融合させつつ、持ち味のポップセンスを発揮。
シルクに精緻なプリントでこれを実現することで、トランプゲームが好きだったというムッシュ ディオールへのオマージュを捧げている。これをスラックスなどの大人なパンツと合わせるだけで、装いが楽しく、気分も賑やかになると思うのだ。
というわけで、本気の「遊び心」ここにあり。遊びの遊び服で、この2021年後半戦を遊んでしまおう、と言葉でも遊びながら締めくくりたい。
 
清水健吾=写真 来田拓也=スタイリング 髙村将司=文


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