偏愛スニーカー三番勝負 Vol.13
2020.10.07
FASHION

『スラムダンク』でスニーカーに取り憑かれた男、ヤスタケの偏愛3足

「偏愛スニーカー三番勝負」とは……

スニーカーを愛するがゆえ、新作が出るたびに否応なく買ってしまう。YouTubeチャンネル「カジサック」のカメラマンを務めるヤスタケさんは、そんな止まらぬ物欲に抗うべく自身にある戒律を課した。

ズバリ、“ナイキしか買わない”ルールである。

その結果が下の写真。戒律を課してもなおコレなのだから、そのタガが外れたときのことを想像するととんでもないことになりそうだ……ただ、ここ最近は、そんな戒律をも無に帰してしまう一足が登場したらしい。

そんなヤスタケさんの“偏愛スニーカー三番勝負”をいざ!

山口安威(やまぐちやすたけ)●1979年3月16日生まれ。トリオ芸人でデビュー後、ヤスタケコレクションの名でピン芸人として活動。以降、ちんぺい、ラフ・コントロールというコンビを経て、2018年に吉本興業を退社。現在はMC業をこなす傍ら、2019年にはキングコングの梶原雄太さんが開設したYouTubeチャンネル「カジサック」の専属カメラマンを務める。スニーカー愛が深く、現在200足ほどを所有する。インスタグラム(@yasutagram0316)、YouTube

①先鋒 ナイキ「エア ジョーダン1 シカゴ」

「オレはバスケットをやる……バスケットマンだからだ」。

数々の名セリフとともに、多くの少年たちを野球でもサッカーでもなく、バスケットボールへと走らせた日本漫画界の金字塔『スラムダンク』。

主人公である桜木花道の破天荒ぶりやバスケへの情熱はさることながら、彼が手にした“バッシュ”に誰もが釘付けになったものだ。

そう、エア ジョーダンである。

桜木がいちばん最初に履いたのは「エア ジョーダン6」だったが、合宿でつま先に穴が開き、あえなくボツに。

そして、2足目に選んだのが「エア ジョーダン1」である。その価格はなんと、100円(理由はコミックで確認すべし)! 桜木とスポーツ店オーナーの掛け合いもまた笑えるのだが、ヤスタケさんもそんな同作にハマった同志である。

「僕も『スラムダンク』世代。それをきっかけに『エア ジョーダン』が憧れの一足になりました。中学、高校とバスケ部で、昔はハイカットばかり履いていましたね」。

なかでも「エア ジョーダン1」は最高傑作、とヤスタケさんは断言する。

「“シカゴ”はもう王道中の王道。配色、デザイン、バックボーンと、どこを切り取っても格好いいスニーカーだと思います」。

「エアジョーダン1 シカゴ」への憧れは募りつつも、なかなか手に入れる機会がなかった。しかし、やっとその瞬間がやってきた。

「蜘蛛の糸をつかむような思いで、周囲にずーっと『欲しい、欲しい』と言い続けていました。そしたら、誕生日に友人が新品を定価で譲ってくれたんです。ついに……と思うと感慨深いものがありましたね」。

やっと念願の品を手に入れたヤスタケさん。ゆえに、こいつを履いて「俺はバスケをやる」とはなかなか言えないかもしれないが、「おう、オレはヤスタケ……あきらめの悪い男……」と思わずほくそ笑みたい一足である。

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②中堅 ナイキ「アダプト BB 2.0」

ヤスタケさんがエア ジョーダンにどっぷり浸かった発端が『スラムダンク』なら、ナイキに惚れたきっかけは、SF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー(BACK TO THE FUTURE)』である。

その名を聞いて、瞬時に学生時代へタイムスリップした大人たちはきっと多いに違いない。

スニーカー好きなら、主人公のマーティ・マクフライの足元が気になった人もいるはずだ。1作目で履いていたのは、当時入手困難とされていたナイキのブルイン。そして、2作目に登場したのが“未来のスニーカー”と言われる「エア マグ(AIR MAG)」だ。

履いた瞬間に足のサイズを計測し、自動でシューレースを調整してくれる画期的なスニーカーなのだが、ヤスタケさんは今でもその衝撃が忘れられないのだとか。

「『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』はいちばん好きな映画です。そこで登場する『エア マグ』にもう虜になりましたね。もちろん今でも実用化のレベルには達していないと思うんですけど、当時の衝撃があまりにも大きすぎて、それっぽいモデルが出たらいち早く手に入れるようにしています」。

そして、直近で購入したのが「エア マグ」へのオマージュで生み出されたこちらの「アダプト BB 2.0」。映画のモデルを彷彿させる自動のシューレース調節機能が付いており、ミッドソールのボタンを押すと電動のシューレースが足をしっかり固定。専用のアプリを使えば、ボタンのカラーも13色の中からカスタマイズできる。

「映画の世界観を見事に落とし込んだ秀作です。いつか『エア マグ』が完全に再現されたら最高ですよね。意地でも手に入れたいです(笑)」。

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③大将 アディダス「スーパーアース」

ナイキ愛についてとうとうと語ってきたヤスタケさん。それは、アイテムとしての魅力もあるが、「ナイキしか買わない」と自身に言い聞かせないと購入に歯止めが利かなくなるからだ。

しかし、自分に課してきたその戒律を破ってでも手に入れたいモデルと、ついに出会ってしまった。

「もう十数年ぶりですよ、ナイキ以外を買うのは(笑)」。

その背中を押した存在、それが、ショーン・ワザーズプーン氏である。彼は、アメリカの人気古着ショップ、ラウンドツーの経営者。ナイキ、アシックス、ゲスなど、名だたるブランドとのコラボに意欲的で、その革新的なデザインから、スニーカー界の風雲児とも言われている。

こちらもそんなアイデンティティが透けて見える。お相手は、アディダスの名モデル、スーパースターだ。

「僕は、ショーン・ワザーズプーンさんの大ファンなんです。彼がインスタで情報をリークしたときからずっと楽しみにしていて、発売後すぐさま購入しました」。

サステイナブルな活動を続けるショーン氏らしく、プラスチック廃棄物の削減を目指して製作されたスーパースターの生誕50周年記念モデル。アッパーと裏地にリサイクルポリエステル、インソールにはコルク、そしてラバーソールは天然ゴムを採用している。

しかも、動物性成分を一切使用していないというこだわりようだ。大胆に配した花柄やトレフォイル(三つ葉)ロゴの刺繍は、彼がスケッチしたものをベースにしている。

まさしく、数年後にはレア作の殿堂入り確定のスペシャルな一足である。

ヤスタケさんは、新作を常にチェックし、毎日何を履くか考えて過ごす。友人たちと交わす会話もほとんどがスニーカーで、インスタのフォローも大半がスニーカー関連。もうスニーカーは生活の、いや人生の一部である。

「話しているとき、探しているとき、履いているとき……スニーカーに関わることをしている時間は、いつも楽しい気持ちでいられます」。そして、「スニーカーを通して、国や性別を超えて仲間ができたり、思わぬ世界や仕事にもつながる。それもまた魅力ですよね」とか。それ、大いに納得!

「偏愛スニーカー三番勝負」とは……
外に出られずとも眺めているだけでアガる、それがスニーカー。スニーカー愛に溺れた生粋のスニーカー好きたちが偏愛する一足を披露する、スニーカー三番勝負。
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菊地 亮=取材・文

# エアジョーダン# スニーカー# 偏愛
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