みんなの“欲しいモノ”を徹底特集! 「2020年、これ始めます」カタログ Vol.72
2020.02.18
FASHION

ハレルの加瀬さんと古着屋 深緑のケンタさんに聞く、異世代古着トーク

時代が変われば、古着の価値もまた変わる。僕らの若かりし頃は特にヴィンテージがもてはやされたが今の若い子たちはどうなのよ?

ということで、40代と20代による異世代古着トークを実施してみると彼らの「新しい服」は僕らの「懐かしい服」だと判明! 今、古着を再点検することに、大きな価値がありそうだ。

40代の古着好き 加瀬善隆さん Age 42
「昔はナシだった物でも今見ると面白い!」
千葉県出身。古着やミリタリーなど、古今東西の名品を扱う人気店、ハレルを主宰。現在は久々アウトドアに傾倒中。

20代の古着好き ケンタさん Age 27
「知識よりもまずは新鮮味が重要です!」
神奈川県出身。某アパレルブランドのVMDを経て、古着屋 深緑で働き始める。趣味のマンガはもっぱらスマホで読む派。

 

イケてる古着、昔と今ではこんなに違う!?

ケンタさん(以下ケンタ) はじめまして。古着屋 深緑のケンタです。

加瀬善隆さん(以下加瀬) はじめまして。ハレルの加瀬です。ケンタくんは、古着屋勤めは長いんですか?

ケンタ いや、実はここ2年くらいで、しっかり古着を着始めたのも最近です。その前はリック オウエンスとかのモード服やドメスティックブランドを着ていて。加瀬さんはずっと古着畑なんですよね?

加瀬 そうですね。18歳で上京して、最初に入ったのがヌードトランプというお店です。そのあと渋谷のE-Z、少し間が空いてからUSというお店に11年間在籍しました。アメカジとスケート、みたいないわゆる王道の古着屋さんで。

ケンタ 僕、E-Zはたまに行ってました! E-Zにはエアウォークが置いてあったから(笑)。結構変化球みたいな古着、多かったですよね?

加瀬 当時買い付けをしていたヤツが王道より少しヒネったモノが好きだったんですよね。王道も楽しいけど、やっぱりそればっかりだと飽きてきちゃうから。

ケンタ 逆に僕は今、詳しいお客さんにそれを教わってます。これはUSA製で、これはカナダ製だとか。でも実際に服を見ると全然気にならなくて(笑)。だから、日本のタグが付いてても別に気にしません。

加瀬 やっぱり楽しいのが大事ですよね。僕もいまだにアメリカ製は好きだけど、できるだけ感覚的にものを選ぶようにはしていて。自分の店でも、自分の好きな軍モノは押さえたうえで、ヨーロッパモノから現行品まで取り揃えています。

スケーターがプリントされた、マイナーブランドのパンツのフラッシャー。ダサいと感じても、それを楽しめるかどうかが分かれ目!?
スケーターがプリントされた、マイナーブランドのパンツのフラッシャー。ダサいと感じても、それを楽しめるかどうかが分かれ目!?

ケンタ 僕個人は最近(リーバイスの)ビッグEを知ったくらいなんですけど、王道のヴィンテージ屋さんにあるものより、加瀬さんが今日着られている軍モノのほうが気になります。それ、どこのですか?

加瀬 これはロシア軍。寒冷地用のレベル7のジャケットです。軍モノでもロシア軍やブルガリア軍とか、同じ古着好きでもそう選ばない、なるべく変わったものを選びます(笑)。

ケンタ へぇ〜! 僕、深緑でマックレガーのドリズラージャケットを買ったんですよ。新品にはない、古着特有の色みや形とかが面白くて。でもそれが男の大定番とは知らなくて。今はようやくわかってきたけど、それでも僕は蛍光ピンクなんかと合わせたりして自由に着るのが楽しいんです。

加瀬 面白いですね。昔だったら先輩たちに、「マックレガーにはダブルエックスだろ!」と絶対に言われただろうなぁ。コレにはアレを合わせるべき、と考え方や価値観が凝り固まってる。もう、化石ですよ(笑)。

ケンタ 何だか職人気質な下町の和菓子屋さんみたい。伝統にこだわりすぎて若者が楽しめる余白や遊びがないから人気が出ない、みたいな。

加瀬 まさに(笑)。原理主義や歴史崇拝のようなものが息苦しくて、年を重ねるごとに古着と距離ができて着なくなった人は少なくないはず。

ケンタ 昔は古着をしっかり着なきゃいけない雰囲気があったのかもしれませんね。今、お洒落な若い人たちが古着を着るのは、今の服にはない面白いデザインが多くて、着方も自由だからだと思うんです。ひと昔前の新品も僕らには立派な古着です。最近はK-POPの影響なんかもあってファッション全体がヤングですよね。色使いも派手だったり。

加瀬 それで言うと、店内を見ていて気になったのがグレイトフル・デッドのTシャツ。タイダイ柄のものです。懐かしいなぁって。僕はそこまで熱心に音楽を聴いてないからバンドTは着ないんですけど。

これぞグレイトフル・デッドという感じのタイダイ染めのバンドT。ロングスリーブはかなり珍しいが、現代ではもはやそこは重要ではなさそう。
これぞグレイトフル・デッドという感じのタイダイ染めのバンドT。ロングスリーブはかなり珍しいが、現代ではもはやそこは重要ではなさそう。

ケンタ 今はグレイトフル・デッド自体、知らない人も多いと思いますよ。かく言う僕も知ってはいるけどちゃんと聴いたことはなくて。でも、このタイダイ柄Tシャツ自体には若い子も興味を持ってくれるんです。

加瀬 へぇ〜。単純にデザインとして面白い、ってことなんですかね?

ケンタ はい。たぶん何も考えず、ただの“絵”として見ていますね。それが服として格好いいか悪いかだけ。

加瀬 僕らの先輩にはグレイトフル・デッドは崇拝に近く入れ込んでる人が多かったから、時代は変わりましたね(笑)。あ、このコーデュロイパンツフラッシャー付きだ。

オールドスケーター然とした、太畝コーデュロイのパンツは上でも触れたフラッシャー付き。/古着屋 深緑
オールドスケーター然とした、太畝コーデュロイのパンツは上でも触れたフラッシャー付き。7900円/古着屋 深緑 03-5913-7573

ケンタ はい。昔はそれで値上がりしたんですよね? でも、今はタグとかフラッシャーが格好良くて選ぶっていう人は減りました。と思ってたら、逆にタグを付けたまま着る人もいたり。「あ、付けっ放し(笑)」と思ったりするんですけど、それがファッションになったりもして。

加瀬 タグを付けたまま着る流れはニューエラのステッカーから?

ケンタ あ、Bボーイのですか?

加瀬 そうそう。昔はヒップホップのカルチャーって古着にはほとんどなかった気がするんです。だけどヒップホップ好きの人たちが当時ラルフ ローレンとかダブル・アール・エルとかを着ているのを見て、それまで古いものだけが正義と思っていたけど「あ、現行品もアリなんだ!」って気付けました。このコーデュロイパンツも、そういう時代のダサ格好良さがあっていい。当時だったらヤンキーが着る服に見えてそうだけど(笑)。

ケンタ 今なら、若い女のコが髪をブリーチして、そういう服を取り入れたりもしてますよね。ダッドシューズとかと同じような感覚で。

加瀬 なるほど。このナイキなんてまさにそうですよね。

近年発売されたナイキの「イニシエーター」だが、今改めて見ると、とても気分なデザインだ。/古着屋 深緑
近年発売されたナイキの「イニシエーター」だが、今改めて見ると、とても気分なデザインだ。7800円/古着屋 深緑 03-5913-7573

ケンタ はい。これは全然古くないんですけど、最近はこういう新しいハイテク系を探す人が増えていて。

加瀬 この形、昔の「ズームフライト」を思い出すなぁ。もう何年か「’90sリバイバル」とか言われてるけど、いまだにその流れもありそうですね。ACGも、登場したときこそ注目されたけど、そのあとはアウトドア好きな人しか着ていなかった時期があった気がします。

再評価が進むナイキ ACGの初期モデルで裏地はフリース製。/古着屋 深緑
再評価が進むナイキ ACGの初期モデルで裏地はフリース製。1万2000円/古着屋 深緑 03-5913-7573

ケンタ そうなんですね。当時のACG、今はまたすごい人気ですよ。若い子は、「クオリティの高い服」として認識していて。ディテールやデザインが凝ってるし、パッと見でわかる感じもウケてるんだと思います。

加瀬 へぇ〜。実はこの対談中に深緑さんでピックアップした古着(※)を改めて見ていて、僕らの世代は今若い子が「新しい!」と面白がってるものに、結構見覚えがあるというか、「懐かしい!」と感じるものが多いことに驚きました。

ケンタ そういう意味では、僕らが探している古着をリアルタイムで目にしてきた加瀬さんたちは、今古着屋さんに行くとすごく楽しめるんじゃないのかな?って思いますよ。

加瀬 確かに。ACGなんて、かつて僕は兄貴が着ているのを冷ややかな目で見てましたが、今じゃそれが気になってますもん(笑)。色眼鏡を外して古着を見直すことで、その魅力を再発見できそうですね。

※深緑でピックアップした古着はまた改めて紹介します!

対談場所はこのショップ
古着屋 深緑

対談場所はこのショップ! 古着屋 深緑

深緑は若いアーティストやミュージシャンにもファンの多い古着屋激戦区である高円寺の名店。加瀬さん同様、大人が行ってもかなり楽しめる商品数と情報量が人気の理由。

住所:東京都杉並区高円寺南 4-24-4 2F
電話番号:03-5913-7573
営業:13:00〜22:00頃
Instagram@fukamidori__

 

岩田貴樹=写真 今野 壘=編集・文

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