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2020.01.05

ファッション

ストリートをアップデートしたルイ・ヴィトンのバッシュ、フリース、迷彩柄

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今改めて振り返ると、1990年代の日本、特に東京のストリート・ファッションの勢いは本当にスゴかった。数々の裏原系ブランドや東コレ勢はもちろん、世界のモードを瞬時に輸入するセレクトショップ、世界に先駆けて流行したヴィンテージカルチャーなど、多彩なファッションがひしめき合っていた。そんな時代に青春時代を謳歌したオーシャンズ世代は、ファッションの黄金期を経験した幸せな世代だと断言する。
デザインを手掛けるヴァージル・アブローも、1980年生まれの39歳。僕らと同じく’90年代に多感な時期を過ごしてきた世代だ。当時の日本は、SNSがなかった時代にもかかわらず、アメリカの最新情報や流行がほぼリアルタイムで入ってきていた。だから、ヴァージルがルイ・ヴィトンや自身のブランド「オフ-ホワイト」でフックアップする“ネタ元”は、僕らが体験してきたものが意外と多かったりするのも頷ける。
例を挙げよう。「LVトレイナー・ライン スニーカー」のハイカットとローカットは、ヴァージルのルイ・ヴィトンを象徴するスニーカーだ。
「LVトレイナー・ライン スニーカー」のハイカットとローカット/ルイ・ヴィトン
[上]「LVトレイナー・ライン スニーカー」のハイカットは、パッド入りの足首回りと「ADVANCED TECH SYSTEM」の文字が入ったベルクロストラップが特徴。サイドに描かれた「408」とは、メゾンの創業日である8月4日に由来する。16万4000円、[下]ローカットは、“モノグラム”とスエードをブラウン系で統一したトーンがラグジュアリーな1足。ともにさまざまな素材、カラーを用意しているので、自分だけのお気に入りを見つけてほしい。11万8000円/ともにルイ・ヴィトン 0120-00-1854
デザインソースを想起させるのは、’80年代後半〜’90年代前半のバスケットシューズ。ペールグレーのハイカットは、まさに僕らがNBAのスターに夢中になった頃のバッシュのアップデート版といった雰囲気で、“モノグラム”を用いたローカットは往年のヒップホップスターが愛用していたブート物のような風情もある。
デザートカモ柄のパーカは、カモフラージュの中に“モノグラム”が隠れていて、こっそりラグジュアリー感を楽しめる逸品。モノグラム・モチーフのフリースジャケットは、当時大流行したあのフリースを連想させる。
デザートカモ柄のパーカは、カモフラージュの中に“モノグラム”が隠れていて、こっそりラグジュアリー感を楽しめる逸品。/ルイ・ヴィトン
さりげなく“モノグラム”が入ったデザートカモ柄のパーカは、身頃と袖が一体となったパターンで、アウトドアウェア並みに動きやすい。フードと裾の金属製のコードロッカーは、台形と円錐形と別々の形で、デコボコした形状になっている。そしてフロントのジッパーにはチェーンの引き手が。これぞ大人に相応しいデザートカモである。34万3000円/ルイ・ヴィトン 0120-00-1854
モノグラム・モチーフのフリースジャケットは、当時大流行したあのフリースを連想させる。/ルイ・ヴィトン
“モノグラム”が惜しみなく施されたフリースは、アウトドアウェアに身を包んだ’90年代のヒップホップスターを連想させる逸品。毛脚は長めで、肌触りも文句なしの心地良さだ。その当時に流行したボアフリースを、ヴァージルがアップデートさせるとこうなる。16万4000円/ルイ・ヴィトン 0120-00-1854
ミリタリーとアウトドアは’90年代の東京ストリートに欠かせない要素で、きっとヴァージルも同じようにそこを通ってきたのだろう。あの頃と同じようでまったく違うのは、クラフツマンシップに裏打ちされた、確かな作りとグジュアリーな素材使い。そして何よりヴァージルのフィルターを通してちゃんと今の気分に更新されているところである。
“アップデートされた青春”を楽しめるのは、大人にのみ許された特権なのだ。
 
清水健吾=写真 菊池陽之介=スタイリング 増田海治郎=文 大関祐詞=編集


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