OCEANS

SHARE

2019.11.25

ファッション

ニューヨーカーの感性を味方に。マイケル・コース メンズの実用的で洗練されたデザイン

女性の間ではもはやお馴染みのマイケル・コース。NYブランドらしく、実用的で洗練されたデザインは、メンズの服も同様に、都市生活者に寄り添うものだ。
ホリデーシーズンを目前に控えた今、その最新作を、パートナーとも楽しむ提案とともにお届けする。

女性の間で評判の高いバッグ、「シグネチャー」コレクションを男性も

今季の新作「モノグラム」コレクションからのバッグ。/マイケル・コース メンズ
今季の新作「シグネチャー」コレクションからの逸品。[女性]バッグ3万7000円、ニット2万6000円/ともにマイケル・コース [男性]バッグ6万9000円、ジャケット6万6000円、パーカ2万4000円、パンツ1万6000円/すべてマイケル・コース メンズ(すべてマイケル・コース カスタマーサービス 03-5772-4611)
「昔はね、ファッションの最先端なんてのは銀幕世界にしかなかったんだよ」。そう話すのは私の行きつけ、表参道にある老舗喫茶店の常連さん。70代半ばの彼は10年来の茶飲み仲間。素敵なことに彼は「モテたい精神」を忘れないまま生きていて、性別・年齢問わず人にモテたいという欲望は、その実とても効果的で、彼のフレキシブルな人柄と会話術に私はすっかり魅了されています。
そんな人たらしな常連さんがたまに語るファッション昔話。先日も、ハンフリー・ボガートが被るフェルトのフェドーラ帽に憧れ、自分の足で歩いて探すしかなかった苦労、手に入れたときの喜びを語ってくれました。雑誌の少ない時代の話。続けて彼は言いました。「何でもネットで検索できて買える時代、あなたたち世代はいったい何に憧れるの?」と。
軽量なスマートウォッチ「エムケイゴー」をカラー違いでコーディネイト。/マイケル・コース アクセス
軽量なスマートウォッチ「エムケイゴー」をカラー違いでコーディネイト。さりげなく利かせたブルーもポイントだ。腕時計4万2000円/マイケル・コース アクセス(マイケル・コース カスタマーサービス 03-5772-4611)
若かりし頃の彼と違って、私の憧れの対象はスクリーンではなくストリートに存在します。1998年の春、ニューヨークの通勤時間で混み合う地下鉄でぶつかった女性。ブルーのタイトスカートに揃いのジャケット。高めのシニヨンで髪をまとめ、まるで映画のスクリーンから飛び出したヒロインみたくドーナツを口にくわえた彼女。肩と肩がぶつかった瞬間、口元のドーナツは彼女の足元へ、ハイヒールではなく真っ白のスニーカーにコツンとぶつかりました。
2001年の夏、いろいろな勘違いと偶然が重なり、マンハッタンの34丁目から5丁目までをタクシーで乗り合わせることになったある有名企業の社長。暇つぶしと気晴らしを兼ね、タクシーの助手席に座っては街を流すのが趣味だと話す彼は、誂えのスリーピーススーツで武装していたものの、その足元はシリコンバレーのプログラマーが履きつぶしたかのようなダッドスニーカーでした。
レディスモデル「モンロー・トレーナー」とメンズモデル「マイルズ」というレトロランニング系のデザインを採用したスニーカー。/マイケル マイケル・コース
レディスモデル「モンロー・トレーナー」とメンズモデル「マイルズ」というレトロランニング系のデザインを採用したスニーカー。[男性]スニーカー2万6000円/マイケル・コース メンズ、[女性]スニーカー2万1000円/マイケル・コース(ともにマイケル・コース カスタマーサービス 03-5772-4611)
スニーカーについて詳しくはこちら
 
昨年秋、表参道で見かけた20代前半の男子グループにも心が躍りました。5人横並びになって歩く後ろ姿がまさに’90年代で、追い越してみると皆一様に風間トオル風のセンター分け横流しヘア、しかも揃ってスーツ姿。もちろん、足元は期待を裏切らぬダッドスニーカーでした。
ニューヨークから始まった20年間にわたる「スーツ+スニーカー」の魔法にかかり、今春、ついにセミオーダーのスーツを手に入れました。しかもメンズのスーツ売り場で。目指したのはTV番組『マイアミ・バイス』のドン・ジョンソン、ニューヨークの社交界に咲く白い花、ニュージャーナリズムの旗手こと故トム・ウルフ。パンツ丈は当然スニーカーに合わせて。
18歳からの4年半を過ごしたニューヨーク。忙しないながらも優雅な身のこなしのニューヨーカーたちは、私にとって永遠のお洒落のお手本です。そんな彼らのアクティブな精神とエレガントな佇まいが共存するスタイルには、誠実さと知性を感じさせるブルーがフィットするということを、マイケル・コースというニューヨーカーは熟知していて、私は「ブルー+スニーカー」という新たな魔法に魅了されているのです。
(文=クリス・ウェブ佳子)
2/3

次の記事を読み込んでいます。