NEWS Vol.471
2019.11.16
FASHION

サステイナブルの限界に挑むアディダス。「BOOST」の次なる舞台は“宇宙”

環境問題を考えるなら、地球を俯瞰して見る必要がある。それはそうなのだが、かといって、まさか本当に宇宙に行っちゃうなんて……正直ビックリだ。

常にアスリートに寄り添いつつ、地球環境にも多大な関心を寄せてきたアディダスは先日、シューズテクノロジーの「宇宙実験」を実施すると発表。スポーツブランド史上初となる試みで、パートナーには国際宇宙ステーション(ISS)米国国立研究所を指名した。その目的はスポーツパフォーマンスの向上とサステイナビリティの追求だという。

 

加速するアディダスのサステイナブルな歩み

近年のアディダスのサステイナビリティは、アパレル産業界でもひときわ輝いている。

例えば直営店のショッピングバッグは早くから紙製へと変更していたし、本社ではプラスチック製ファイルやペットボトルなどの使用を控えるよう社員に呼びかけているのも有名な話だ。また、一部店舗では使用済みの衣類やシューズ、バッグなどを回収する「コレクターズ・ボックス」を設置するなど、リサイクル体制も整えている。

100%リサイクル可能なシューズ「フューチャークラフト.ループ」。

もちろん、その精神はモノづくりにも反映されていて、廃棄された海洋プラスチックをアップサイクルし、ウェアやシューズに落とし込むのはお手の物。今年4月には、ハイパフォーマンスとサステイナビリティを融合させた、「100%リサイクル可能なシューズ」を発表して話題をさらった。

 

アディダスの飽くなき挑戦はいよいよ宇宙へ

そして今年10月、アディダスはISS米国国立研究所にて、宇宙空間でのサッカーボールの飛行性能実験に成功した。結果、複数年のパートナーシップ契約を締結するに至ったのだ。そして2020年にはなんと、 アディダスが誇るミッドソール「BOOST」を実際に宇宙へ送り込むというのである。

「BOOST」シリーズは、2013年にアディダスがローンチした新クッション素材だ。ミッドソールに敷き詰められた発泡体が着地時の衝撃を吸収し、さらにはその衝撃を効率よく反発力へと転換。これによって、同じ距離でも従来より少ないエネルギーで走ることを可能にした。

耐久性もデザインも折り紙付きで、スポーツシーンに限らず、ファッションシーンでも多くの人に愛される「BOOST」。アディダスは、この製造プロセスを今度は宇宙空間で実施しようというのだ。

ISS米国国立研究所は、「宇宙のユニークな条件は、未知を発見する理想的な環境を提供する」として、宇宙で製造することで「地球上では不可能な洞察を行うことができる」と意欲をみせている。

アディダスはこの取り組みについて、「スポーツパフォーマンスの改善を共同で創造できるだけでなく、アディダスのサステイナビリティへの献身的な取り組みにも適用できるプロセスとデザインを探求できる」と、「BOOST」の進化に前のめりだ。

宇宙から帰還した「BOOST」は、我々のファッションに新たな楽しみを見出してくれるかもしれない。常識という重力から解き放たれ、新たな時代という無重力へ飛び立つ、そんなアディダスが導くまだ見ぬ世界を、楽しみに待ちたい。

 

増田祥護=文

# アディダス# BOOST# サスティナブル# シューズ# スニーカー# ブースト
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