【第3週】平山ユースケ着回し31Days! 部長びんびん“着回し” 物語Season4
「部長びんびん“着回し”物語」ついにシーズン4に突入!
依然としてトラブルだらけの日々を送っているが、そのたびにピンチをチャンスに変えて業績アップに貢献してきたユースケ部長。しかし、長い海外赴任から本社に戻ってきた切れ者上司・三宅本部長の前にメンタルは崩壊寸前。そんな窮地の折、魅力的な転職のオファーが舞い込んだ。
よりよい上司と評価制度・待遇を夢見て、会社に残るべきか、新天地に赴くべきか気持ちが揺らぐ……。
今回は、「部長びんびん“着回し”物語 Season4」の第3週をお届け。
着回しアイテムの詳細はコチラ。
「部長びんびん“着回し”物語 Season4」の第1週はコチラ。
「部長びんびん“着回し”物語 Season4」の第2週はコチラ。
Day 16 SAT.
人生の嵐に翻弄されるオレ。
ホウセイ、ありがとよ。オレはちょっとだけ疲れちゃったんだよ

110番でも119番でもない、心のエマージェンシーコールがあるとするなら、ユースケにとってそれは、心置けない同期、ホウセイへの電話だ。土曜日の午後、自宅でふさぎ込んでいたユースケはホウセイのケータイを鳴らした。
「おお、そうか。なら今夜は旨いモンでも食って英気を養おうぜ」。学芸大駅近くにあるホウセイの行きつけの日本料理店で食事をすることになった。お洒落をする元気もなかったが、割烹料理を前にだらしない姿はいただけない。こんなときにニットは便利だ。シャツの上にクルチアーニで買ったグリーンのニットを着て出かけた。
さすがは食通のホウセイが通う店、どの料理も酒もユースケの心に沁みる。ただ、気持ちが緩んだのか、いつもより早く酔いが回り、心の奥底に閉じ込めていた気持ちが溢れ出してきた。「いいさ。嵐が過ぎ去るのを待とう」。ホウセイは優しくユースケを励ましてくれた。
食事が終わり、ふたりは別れた。ユースケの酔いで火照った肌を冬の夜風が撫でる。ふと疑問に思う。『あの店って完全予約制だよな。なんで今日急に予約が取れたんだろ。もしかしたら奥さんと行くはずだったのかも……』。ユースケは親友の顔を思い浮かべ、目頭を熱くした。
着回しアイテム
【9】「サイベーシックス」のシャツ
茶系の配色と立体的なシルエットが大人の雰囲気を演出。ボディはコットンオックス。2万5000円/マスターピースショールーム 03-5414-3531
【11】「ポロ ラルフ ローレン」のパンツ
洗いがかかったチノクロスを使ったワイドシルエットパンツ。グルカショーツ風のウエストデザインも特徴的。2万3000円/ラルフ ローレン 0120-3274-20
お助けアイテム

ブルーグリーンの上品な発色もさることながら、上質ラナウールのなめらかな肌触りも絶品。ハイネックも着こなしのアクセントに。
「五本木 響」
学芸大学駅近くにある季節の素材を活かした日本料理店。豊洲市場で仕入れた季節の食材を使った懐石スタイルの料理と、常時10種類が揃う日本酒が食通の間で評判を呼ぶ。写真は、旬を迎えた「のどぐろの肝醤油焼き」。昼、夜ともに「お任せコース」のみで、カウンターのほかに個室も用意。完全予約制。昼5000円〜、夜1万円〜。03-6303-0738
Day 17 SUN.
無駄遣いでも自分へのご褒美でもない。優れた時計は成功への道標になってくれる

元気を取り戻したユースケは、翌日、銀座のグランドセイコーブティックで時計を眺めていた。ユースケは既に高級時計を何本も持っている。にもかかわらず、なぜまた新しいものが欲しくなるのだろうか? 心理学者のアブラハム・マズローが唱えた5段階の欲求階層説によれば、こうした消費欲求は自分のポテンシャルを最大限に顕在化し、目標を成就・達成させたいという自己実現の欲求であり、5段階のうち最も高い次元の欲求だという。
そんなことを考え、自分に言い聞かせながら、気付いたときには一本の腕時計を手に取っていた。GSブティックでしか買えない「SBGJ235」である。

日本が世界に誇る時計ブランドにして、国産時計の最高峰に位置するグランドセイコーのスタイルを余すところなく具現化。寸分のゆがみもなく燦然と放たれる輝きは、ブレない男の強固な意志を感じさせる。深いブルーカラーのダイヤルは雫石時計工房から望む岩手山の山肌を表現したもので、裏ブタには獅子の紋章とブティック限定を示す英文が刻まれている。ユースケは即買いした。
これほどの高級時計を妻に相談せず購入したのは、結婚してから初めてだ。でも、これでいいのだ。これは単なる浪費ではなく、この時計が相応しい男になりたい、という欲求の表れだから。ユースケは、失われかけていた自信が心の底から湧き起こるのを感じていた。
着回しアイテム
【D】「バレナ ヴェネチア」のスラックス
【C】のジャケットとセットアップ使いもできるパンツ。腰はイージーパンツ風のゴムシャーリング仕様。3万4500円/シップス 渋谷店 03-3496-0481
【3】「シーラップ フォー グラフペーパー」のブルゾン
オーバーシルエットが今っぽいコート。ボディはボンディングコットンで、ステッチには防水テープ加工が。16万円/グラフペーパー 03-6418-9402
【5】「ジョン スメドレー」のニット
英国産メリノウールを使った上質ニットをカットソー感覚でさらっと着るのが大人の嗜み。3万2000円/リーミルズ エージェンシー 03-5784-1238
「グランドセイコーブティック 銀座」
今年オープンした日本初のグランドセイコー専門店。ブランドを象徴するカラーであり、日本の伝統色でもある紺色を基調にした店内には、ブティックでしか展開されない限定モデルをはじめ、フルラインナップが揃う。豊富な知識を持った専門スタッフによるアドバイスもこのショップのウリだ。03-3562-3800
Day 18 MON.
香港への出張かぁ……。ちょっぴり不安だけど社命とあらばエンヤコラ

政府への抗議デモにより、緊張状態が続く香港に出張へ。空港の出発ロビーでの待ち時間、駐在している同僚に現地の状況を確認すると「ユースケさんの滞在する尖沙咀東の周辺は、平日だし意外と安全ですよ」との返事が。『まぁ、大丈夫か。あの自由な空気感が好きだったんだけどなぁ』と心の中で呟きながら、搭乗口へと向かう。
「とにかく目立たないほうが得策だろう」と踏んだユースケは、ブラックは避け、グレーのセットアップのジャケットにリジッドデニム、ローファーというシックないで立ちをチョイス。シワにならないようにと、勝負スーツを収めたガーメントバッグも用意した。
着回しアイテム
【C】「バレナ ヴェネチア」のジャケット
グレーのヘリンボーンウールが使われたジャケットはカーディガン感覚で羽織れる軽い一枚仕立てに。5万8500円/シップス 渋谷店 03-3496-0481
【10】「キャプテン サンシャイン」のデニム
新作のバギーデニムはウエストから裾までズドンと落ちるストレートシルエットが男らしい。2万1000円/キャプテンサンシャイン 03-5793-8588
お助けアイテム

ブランドオリジナルのガーメントバッグ。軽量ポリエステル製で、全6種類あるハンドルと組み合わせて好みにカスタムできる。
Day 19 TUE.
軽くてベタつかないのに肌の奥までしっかり潤う。
これは砂漠肌のオアシスだ!
「男は40歳を過ぎたら、自分の顔に責任を持て」。ユースケは、かつてアメリカ合衆国の第16代大統領、エイブラハム・リンカーンが残したこの名言に共感を覚える。ビジネスパーソンたるもの、清潔感ある第一印象を与えることは、もはや業務の一部なのだ。
なお今回の出張にはクワトロボタニコを持参した。なかでも重宝したのがこのフェイスクリーム。美容液成分がたっぷりと配合されたみずみずしいクリームは、頬にのばせば素早く浸透。肌の奥まで潤いを届けつつ、ハリと弾力をもたらしてくれる。軽くてベタつきのない、つけ心地も重要なポイントだ。

空調の効いた機内やホテルなどでは肌が乾燥しがちだが、このクリームのおかげでユースケは終始しっとり肌をキープ。バイタリティみなぎる表情で大事な商談へと臨むことができた。
着回しアイテム
【A】「ダンヒル」のスーツ
ワードローブの要たるネイビー無地スーツは最高級の一着を。軽くなめらかな上質ウール生地が使われた2Bスーツ。30万円/ダンヒル 03-4335-1755
Day 20 WED.
眠りたいのに通知の嵐。イイ年して何やってんだよ!
緊張が続いた香港出張を無事終え、未明に帰宅したユースケ。体は綿のように疲れている。今日は代休を取って寝ることにした。伸縮性に優れた肉厚コットンのハイネックカットソーを着て、寝冷えしないようパンツはウールパンツで。
しかし、眠りに落ちようとするたびに、LINEの通知音が鳴る。三宅本部長がユースケたち8人の部長と始めたグループトークだ。内容は初めこそビジネスが主だったが、近頃はもっぱら本部長のプライベート投稿。今日はヨーロッパ出張中の食事の内容を繰り返しアップしている。トリュフだのシャブリだのと、実に下らない内容だが無視するわけにはいかないので、ほかの部長たちはしらじらしいリアクションをしている。
寝ぼけているから、通知音をオフにする方法が思い出せない。『コンニャロ!』とユースケは怒りを込めて電源をオフにした。
着回しアイテム
【6】「ナイジェル・ケーボン」のカットソー
4-WAYストレッチが利いた肉厚コットンのハイネック。レイヤードはもちろん、1枚で着てもサマになる。1万5000円/アウターリミッツ 03-5413-6957
お助けアイテム

ラムウールのメルトン素材を使ったイージーパンツは挿し色に◎なベリーピンクが特徴。ネイビーのパイピングもアクセントに。
Day 21 THU.
直感は正しかった。間一髪! グレーな取引先はやはりブラックだった

三宅本部長と進めている商業施設のゼネコンが怪しいとにらんだユースケは、調査を続けていた。次の打ち合わせが近づいているため、今日は徹底的に調べ上げることに。ヘリンボーンウールのセットアップにネイビーのスウェットを着込んで、暖房の効いていない資料室にこもった。
取引先企業には、契約条項に盛り込んだ内容に抵触しない旨の誓約書を交わすが、どうも疑わしいのだ。ネットでの検索だけでなく、企業データベースや行政処分などもくまなくチェックし、第三者機関にも調査を依頼。なかでも確信を得たのが、大学時代の友人でもある新聞記者からの情報提供。
地道で粘り強い調査の結果、過去に重大な法令違反で行政処分を受けていたことが判明した。『危ないところだった……。女ゴコロに比べりゃ、こんな調査はちょろいもんだな』。深夜の資料室でユースケはニヤリとした。
着回しアイテム
【C】「バレナ ヴェネチア」のジャケット
グレーのヘリンボーンウールが使われたジャケットはカーディガン感覚で羽織れる軽い一枚仕立てに。5万8500円/シップス 渋谷店 03-3496-0481
【D】「バレナ ヴェネチア」のスラックス
【C】のジャケットとセットアップ使いもできるパンツ。腰はイージーパンツ風のゴムシャーリング仕様。3万4500円/シップス 渋谷店 03-3496-0481
【7】「エイトン」のスウェット
ヘビーオンスの肉厚生地を使った1枚は、ドロップショルダーとゆとりのある身幅で、今どき感も満点。3万4000円/エイトン 青山 03-6427-6335
Day 22 FRI.
ほら、“ボタニコ”やるよ!乾いた顔してたら、勝利の女神は振り向かないぜ!

明日は部下の山中が、愛息の面接試験に臨む日だ。案の定、朝からソワソワしている山中のために、ユースケは差し入れをすることに。クワトロボタニコの「ボタニカル スキンケア セレクション」である。
「面接では清潔感のある印象を与えるのが肝心。肌の手入れはしていけよ。この間買ったネクタイとこのセットがあれば、間違いなくうまくいくぜ」。さらにユースケはスキンケアに疎い山中のために使い方をレクチャー。メンズビューティコーナーの馴染みのスタッフから教わったスキンケアのキモを山中に伝授した。

「ありがとうございます。明日は絶対期待に応えてみせます!」「まぁ、そんなに硬くなるな。この香りを嗅いでみ」。ベルガモットとローズマリーの精油が配合されたボタニカル ローション&アフターシェーブの香りを嗅いだ山中は、リラックスした笑顔を浮かべた。
着回しアイテム
【B】「ベルヴェスト」のスーツ
白ストライプが配されたチャコールグレーの3Bスーツは同ブランドらしさが光るグラマラスなシルエット。28万6000円/八木通商 03-6809-2183
【5】「ジョン スメドレー」のニット
英国産メリノウールを使った上質ニットをカットソー感覚でさらっと着るのが大人の嗜み。3万2000円/リーミルズ エージェンシー 03-5784-1238
Day 23 SAT.
これが昼顔ってやつか! お前ら、どこから出てきて、どこへ行く?

依然、妻とのすれ違いが続く。土曜日の朝、ユースケが目覚めると、妻は既にどこかに出かけていた。「たまには一緒に昼飯を食おうと思ってたのに……」。仕方なくユースケはひとりで街をブラブラすることに。銀座というロケーションを考えて、Tシャツではなくニットポロをセレクト。チノパンを合わせて、ダウンコートを羽織った。
ぼんやり街を歩いていると、いつの間にか日本橋まで来ていた。そのとき遠目にマンダリン オリエンタル 東京のエントランスから出てくる妻の姿が! しかも、横にはどこか斎〇工を思わせるイケメンが歩いているではないか! 詰め寄ろうと思ったが、ショックのほうが大きく、脚に力が入らない。街に消えていくふたりの背中を見つめるユースケのそばを木枯らしが吹き抜けていった。
着回しアイテム
【1】「ヘルノ」のダウンコート
ラミネートされた高密度ポリエステルが使われた茶のダウンコートはビジネスでも使える上品顔。13万2000円/ヘルノ・ジャパン 03-6427-3424
【8】「フリーマンズ スポーティング クラブ」のポロシャツ
立体的な襟とハイゲージのウールニットが上品な長袖ポロ。2万1000円/フリーマンズ スポーティング クラブ ギンザ シックス 03-6263-9924
【11】「ポロ ラルフ ローレン」のパンツ
洗いがかかったチノクロスを使ったワイドシルエットパンツ。グルカショーツ風のウエストデザインも特徴的。2万3000円/ラルフ ローレン 0120-3274-20
西崎博哉(MOUSTACHE)=写真(人物) 鈴木泰之=写真(静物) 武内雅英=スタイリング yoboon(coccina)=ヘアメイク 押条良太(押条事務所)=文 大関祐詞=編集 KDDIウェブコミュニケーションズ、モクシー東京錦糸町=撮影協力