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2019.11.12

ファッション

「’90年代の雰囲気」を懐かしいママ、イキにしたルイ・ヴィトンのリヴォリ

「いいね!」と、パブロフのイヌ的条件反射をしてしまう。それほどグッとくるのが、バッシュタイプの「リヴォリ・ライン スニーカー」。
何といっても目を引くのが、原色と白からなるツートーンだろう。我々のアメカジ原体験をくすぐる配色だ。その点でメンズ アーティスティックディレクター、ヴァージル・アブローのセンスは、’90年代に青春を過ごしたオーシャンズ世代の感性に通じるものがあると思わざるを得ない。もちろんヴァージル以前も「リヴォリ」は存在し、数々の種類があったのだが、この料理法こそ彼の真骨頂だ。
バッシュタイプの「リヴォリ・ライン スニーカー」/ルイ・ヴィトン
メゾンを代表するハイカットスニーカーの最新作。アッパーは、モノグラム・グレイン カーフレザーを使用。ライニングのレザーも相まって上質感が滲み出る。ヒールのストラップもカラーリングが揃えてあり、アクセントとなる。各11万5000円/ルイ・ヴィトン 0120-00-1854
突然だが、出版界における校正作業の用語に「イキママ」なる言葉がある。一度修正した文言を修正せず「そのママ、イキ(生き)」にすること。一度は直そうとしたが、やっぱりやめた、そんなところだ。このスニーカーを見ると勝手ながらそんな言葉を思い出す。
ディレクターの個性を前面に押し出して何かを大幅に変更するのではなく、その佇まいに最もマッチする配色で、「’90年代の雰囲気」を懐かしいママ、イキにした。のではないだろうか、なんてね。
よく見れば、ミッドソールのラバーは黄色味を帯びており、芸も細かい。一方で、ラグジュアリーな雰囲気は、レザーの質感やモノグラムから十分伝わってくるのだから、大人の階段を上った今、ライフスタイルもアップグレードしたなぁと悦にも浸れる。
直感的にいいと思った結果、本当にいいじゃんとジワる、そんなスニーカーではないか。
 
清水健吾=写真 来田拓也=スタイリング 髙村将司=文


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