オーシャンズ デニムキャンプ 2019 Vol.40
2019.10.31
FASHION

世界で最初にヴィンテージデニムの価値を見出した日本人の正体

オーシャンズが11月2日(土)に開催するデニムイベント「OCEANS DENIM CAMP(オーシャンズ デニム キャンプ 2019)」。“年に一度はデニムをはきかえよう”をスローガンに掲げたイベントまで、デニムにまつわるスペシャルコンテンツをお届けします!

今や世界レベルでヴィンテージデニムの価値が広まり、ファッション界全体にも影響を与える時代。その発端は、日本のヴィンテージブームだった。ならばいったい誰が最初にヴィンテージデニムの価値に気づき、広めたのだろうか。古着業界の変遷を「ベルベルジン」のデニムアドバイザー、藤原裕さんに聞いてみた。

第1回:「ヴィンテージデニムの値段の推移と景気の関係」を読む。
第2回:「世界でいちばん高価なヴィンテージデニムの話」を読む。
第3回:「ハンターはデニムを掘り当てに鉱山を目指す」を読む。

藤原 裕(ふじはらゆたか)●1977年、高知県生まれ。原宿の人気古着ショップ「ベルベルジン」のディレクターを務める。豊富なヴィンテージの知識をベースに、ヴィンテージデニムアドバイザーとして、他ブランドとのコラボなども行う。 2015年3月にリーバイスの501XXの歴史と51本のヴィンテージジーンズの写真や資料を収録した書籍『THE 501 XX A COLLECTION OF VINTAGE JEANS』を上梓。

──今や藤原さんはヴィンテージデニムのキーパーソンとして知られていますが、ベルベルジンに入社する以前の古着業界はどんな感じでしたか?

藤原 僕は原宿のとんちゃん通り*1 が大好きなんですよね。そのなかでも世代的にはベルベルジンの先にかつてあった「VOICE」や「ゴリーズ」は印象的でした。惜しまれつつ閉店してしまいましたが、ともに歴史があるショップでしたね。

一方、恵比寿の「デラウェア」はジーンズがガサッてあって、ヴィンテージデニムといえば、という印象がありました。二十歳そこそこの自分は入るだけで緊張感がありましたよ(笑)。そういう意味で言うと「プエブロ」も同じように襟を正して入るような名店でした。

ベルベルジンに来店される方のなかには当時、浅川さん(「プロペラ」のオーナー、浅川栄治氏)からデッドストックを買ったという話も聞きます。僕も本当にたくさん通わせてもらいましたよ。

*1 正式名称は「原宿通り」。この界隈にあった居酒屋“とんちゃん”に由来し、まだお店がまばらだった時代に服飾関係のデザイナーたちが通っていたとか。大小の古着屋がひしめくエリアとして知られている。

──40歳オーバーには懐かしい店名がぞくぞくと! ところで、ヴィンテージデニムブームに火を点けたのは日本の古着屋だと言われていますが、最初にその価値に気づいていち早く売り出したのは誰なんですかね?

藤原 僕が知っているところでは、ショップとして打ち出しが早かったのは「フェイクα」ですね。現在はベルベルジンの姉妹店ですが、80年代当時の社長ご夫妻、特に奥様に先見の目があって「次はデニムが“来る”んじゃない?」と、おふたりでトラックに乗ってアメリカ中のジーンズショップを片っ端から訪ねて。

そのほぼ同時期に「バナナボート」のケンジさん(同店オーナーの平野ケンジ氏)も全米を渡り歩いていたようで、彼らに続いてアメリカへ買い付けに行ったバイヤーの方々に聞くと、いたるといころで両店の名刺がセットで置いてあって、デッドストックの501XXが端から端までごっそりなくなっていたそうです(笑)。*2

*2 名前の挙がったショップのほか、今はなき原宿の「シュプリーム」もヴィンテージデニムを時代ごとに系統立てて紹介していた草分け的存在。今では世界標準となったデッドストックという和製英語を最初に使った人物とも言われる。当時のオーナーは現在もカリフォルニアでヴィンテージディーラーとして活躍しているそう。

──広大なアメリカ大陸で、日本の2つのショップがヴィンテージデニムを巡って争奪戦を繰り広げていたとは!! そこで買い付けたヴィンテージが当時、日本でいくらで売られていたのかも気になりますね。

藤原 その当時を知っているギリギリの世代の方々に聞いたところ、デッドストックの501XXが2万円だったそうです。もちろん当時の貨幣価値からすると、2万円って結構高かったんだと思いますよ。僕も当時の値札が付いたXXと遭遇することがありますが、5ドル99セントとか……。

1ドルが360円の時代からしたら約2000円。さらにディスカウントして買い取ったとすると1000円くらいだったんじゃないでしょうか。それが2万円の売値となると10倍どころか20倍付け! いずれも今では考えられない話ですね。

 

世界的なヴィンテージデニムブームに、日本の古着屋がここまで密接に関わっていたとは驚き。こうした話は11月2日(土)、「OCEANS DENIM CAMP」で藤原さんが直接語ってくれるぞ!

 

志賀シュンスケ=写真 實川治德=取材・文

# デニム# デニム キャンプ# ベルベルジン# 藤原裕
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