そもそも「さぁサステイナブルな服を着るぞ!」なんて気負ったら、まず気持ちが長続きしないし、それじゃ結局サステイナブルじゃない。だからこそ、決して無理をせず、あくまで自分らしく、が基本姿勢。つまり手に取るべき服は、いつもどおりを大前提としよう。大好きなファッションを楽しむことが結果的に誰かの、何かのためになっているとすれば、そんな贅沢なことはないのだからね。
カシミヤだ、メリノウールだと、目の肥えたウルサ型はニットの品質表示チェックに余念がない。でも、その四角いタグだけでは素材の全貌を知ることができないもの。
ちょっと想像してみてほしい。その原毛が、羊やヤギなどの動物のものであることを。牧畜による草原の砂漠化や悪化する生産者の労働環境など、社会問題に向き合いながら、サステイナブルなものづくりに取り組むブランドがあることを。
そのニットは僕らを体のみならず心まで温めてくれる。たとえそれが化繊のニットでも。大事なのは自分にフィットするか。素材のエピソードも、シルエットもね。
コットンニットに秘めた海や自然に対する敬意
サーフレジェンドのケリー・スレーターが、実力派デザイナーのジョン・ムーアとともに立ち上げたアウターノウン。創設時からサステイナビリティをコンセプトに掲げているブランドだ。
こちらは農薬汚染されず、育てる過程で使う水量を通常より90%抑えたオーガニックコットンの糸だけを使って編み立てたミドルゲージニット。色褪せたような風合いはジーデラーベという新しい技術によるもので加工時の排水量を従来よりも98%カット。海を、自然を愛するケリーだからこそ、水資源への敬意を示すのは必然なのだ。
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