2019.04.13
FASHION

実は繊細なムートンをクローゼットにしまう前に実践すべき3つのこと

正しいメンテと賢い収納術【冬服編】●4月に雪が降る異常事態を終え、そろそろアウターをクローゼットにしまい込んでも良さそう。でもその前に、ちゃんとメンテした? 次の冬も仲良くするための適切なケアと保管方法についてプロに聞いてきた。

実は繊細なムートン、手入れを怠ると……

レトロ回帰なムードも手伝って、昨冬、見事にトレンドシーンにカムバックしたムートン。ほかには代えられないあのヌクヌクに、次の冬も包まれるためにやっておくべきことがある。

と、その前に。まずはメンテを欠かしたムートンの哀れな末路のお話を少し。語ってくれたのは中目黒の名店、ハレルを営む加瀬さんだ。

加瀬善隆さん●「ハレル」代表。10代で古着にハマり、ヴィンテージショップで働き始める。その後、渋カジ世代にもお馴染みのセレクトショップで買い付けなどに携わったのちに独立。2014年、中目黒の路地裏で「ハレル」を開店する。造詣の深さには業界からの信頼も厚い。

「ムートンはとにかく劣化しやすい素材ですよね。古着で見つけたときも、一見状態が良さそうでも実は生地が死んじゃってて、ボアを少し引っ張っただけでボコっと取れたり。特に袖口や襟。肌に直接触れるところは汗でダメージを受けているんです」。

もし、愛用のムートンジャケットのボアが次の冬、ボコっと取れたら……考えるだけで身の毛もよだつ。そして、加瀬さんはこう続ける。

「僕が昔働いてた古着屋でムートンのブルゾンを売ってたんですけど、長い間ハンガーに掛けて店頭に出してたら、重さで伸びちゃって(笑)。着たらすっかりいかり肩になっちゃってたのもあります。ほかにもステッチ部分が飛んじゃってたりとか、見た目に反して結構繊細ですよ、ムートンって」。


【1】濡れ拭き!? ムートンのケアの第一歩

ここからは実際に、家庭でやっておくべきメンテナンスをクリーニングのプロがレクチャー。教えてくれたのは一流スタイリストたちも御用達のクリーニング店「レジュイール」の榎本裕介さんだ。

「ムートンの手入れは濡れ拭きが良いですね。肌着のような柔らかい布地を水で濡らして、固く絞ってから拭いてあげてください」。

なるほど。水気は厳禁なのかと思ったが、そうでもないらしい。ファーの部分も同様の処理が望ましいとのこと。
「劣化でいちばん多いのは、襟や袖口のボアが汗や水分を吸って、革が切れてしまうこと。だから、その部分は特に念入りに拭いてください」。
あまり力を込めてしまうとボアにダメージを与えてしまうので、撫でる程度でOKとのことだ。


【2】オイルを塗ればいいと思ったら大間違い

全体の汚れや埃を落としたらオイルを塗り込むんでしょ、と思いきや「必要ないですよ」と榎本さんはバッサリ。

「むしろ、これから保管するにあたってオイルなどを入れると、それが栄養分になってカビが発生しやすくなるので注意が必要です。触ってみて革が硬くなってきた部分や、着用時に負荷のかかりやすい部分にだけ、必要に応じて少し塗り込むくらいで十分です。もしレザー用のクリームなどを使う場合はロウ成分が入っていないものを選んでください」。

ロウが入っていると、革が呼吸できなくなる。リラックスしたいときに自宅が息苦しかったらイヤでしょ? 感覚的にはそれと似たようなものらしい。


【3】保管はいかり肩なハンガーに吊るして

ケアはこの程度でOK。次に保管だが、基本的にはハンガーに吊るしておくのがベスト。しかし、先の加瀬さんのような例もあるので、そのチョイスには注意が必要だ。

「肩幅が広めで、二の腕側まで少しハミ出すくらいの肩幅のハンガーを使うと、グッと伸びにくくなるのでオススメです」。

ムートンのケアと保管に必要な道具類。濡れ拭きの布は、着なくなったTシャツなどで代用も可能。ハンガーは、適度な肩幅と厚みを。

濡れ拭きがOKとは言え、やはり湿気はムートンの大敵! 保管の際は風通しの良いところが鉄則だ。さらに、日光に長時間あたり続けると変色してしまうので、日陰というのもマスト。

「基本的にムートンは劣化しやすくて、空気に触れると酸化していくんです。湿気もダメだし、日光も良くないし、蛍光灯もあまり当て続けないほうが良いですね」。

空気も光も水もダメって……宇宙空間に放り出すしかないじゃないですか。

「ハハハ(笑)。それでも、さっきお話ししたような手順で保管すれば、かなり良いコンディションを保てますよ。レジュイールではお客さんから預かった時点で窒素パックという処理をして、空気に極力触れないように管理します。大掛かりな設備が必要なので、家庭ではちょっと難しいですけどね」。

2019年宇宙の旅ができない人はこの方法をしっかり実践するか、潔くレジュイールに持って行こう。

そんな感じで、来年もまたぬくぬくさせてくれよな!


Rejouir(レジュイール)●約35年の歴史を持ち、現在では世界的メゾンからのクリーニング依頼も途絶えない東京・南麻布の高級クリーニング店。熟練した職人がアイテムごとに最適な処理を見極めて、1点1点に膨大な手間をかけてケアしてくれる。

住所:東京都港区南麻布1-5-18 FRビル
電話番号:03-5730-7888
営業:9:00〜18:00
日・月曜、祝日休み

今野 壘=取材・文

# アウター# ムートン# メンテナンス
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