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スニーカーブームを牽引した雑誌「Boon」の元編集者が選ぶ特別な10足

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スニーカー愛に溢れる男が語る「トクベツすぎる10足」とは?
OC世代に捧げるスニーカー偏愛物語 vol.2

編集者 岸 伸和 さん 学在学中に雑誌「Boon」でライター活動を開始し、1990年代のスニーカーブームを牽引した同誌のスニーカー特集や別冊を担当。編集者
岸 伸和 さん Age 46

大学在学中に雑誌「Boon」でライター活動を開始し、1990年代のスニーカーブームを牽引した同誌のスニーカー特集や別冊を担当。以降、スニーカー専門誌のほか、アパレルブランドのカタログ&ウェブ制作、書籍なども手掛ける。




若かりし1990年代、我々が体験した空前絶後のスニーカーブーム。その情報源として絶大な影響力があった雑誌「Boon」で、現場の最前線に立って活躍した岸さん。

「あの頃はレアものを履いていることがエライという時代。ただ僕ら編集側は、そうした風潮やプレミア化を煽るつもりはなく、各モデルを分類&体系化するなどプロダクト寄りの紹介に注力していました。ファッションアイテムではありますが、最も惹かれたのは各社のテクノロジーで、そこへの興味は現在も尽きません。

今でもスニーカー関係の仕事は多いけど、最近は昔と比較にならないほど次々に新作が投入され、世間に知られることなく見過ごされているモデルも山ほど。人気モデルや定番品には安心感はあるけれど、それだけでは味気ないし、周囲と違うモノを身に着けたい気持ちってお洒落の基本だと思うんです。そういう感覚はずっと持ち続けてきたし、これからも忘れたくないですね」。


01 ニューバランスの「M770」

ニューバランスの「M770」

DCブームの頃には、おそらく同世代には懐かしい「I♥NY」のスニーカーを愛用。その後、ご多分に漏れずアメカジに染まり、ワークブーツやリングブーツを履いていたという。そんな高校時代に「地元、神奈川県・藤沢の老舗スポーツ店で、デッドストックのM770がディスプレイされているのを発見。非売品だったのですが、頼み込んで半ば強引に売ってもらいました。

当時既に稀少なモデルになっていたので、僕のレアもの志向はその頃から。それ以前も自分なりにお洒落を意識して選んでいたものの、いわゆるファッション的な感覚で買ったスニーカーはコレが最初ですね」。


02 ナイキの「ナイキ エア トレーナー 3」

ナイキの「ナイキ エア トレーナー 3」

「高校時代に初めて見たエア トレーナー ハイ、いわゆるエア トレーナー 1は衝撃的でした。デザインやカラーリング、当時としては画期的だったクロストレーニングというコンセプトまで含め、すべてに惚れましたね。以来、永遠のマイ・ベスト・スニーカーですが、甲乙をつけがたいのが1988年式のエア トレーナー SC、その後のエア トレーナー3です。

ティンカー・ハットフィールド(※1)がデザインをした初代同様、最高に格好いい! ずっと欲しくて’94年頃にオリジナルを手に入れました。ただモッタイなくて下ろせずにいたら、いつの間にかソールが加水分解でボロボロになり、結局は履かずじまい。コレは2014年発売の復刻版で、購入当日に下ろし、今でも愛用中です」。

「ナイキ エア トレーナー SC」1988年のオリジナルも履かずに保管!
「ナイキ エア トレーナー SC」1988年のオリジナルも履かずに保管!


03 ナイキの「ナイキ エア マックス 95」

ナイキの「ナイキ エア マックス 95」

社会現象にまで発展したナイキ エア マックス 95。何を隠そう岸さんは、その名付け親(※2)だ。「発売時の商品名は“エア マックス”。さらに歴代のモデル名も一様に、ただ“エア マックス”でした。そこで誌面で紹介する際、便宜的に初代をエア マックス 1、次を2としたんです。しかし、しだいにエア マックスの系譜が複雑になり、ナンバリングでの体系化が難しくなった。そこでリリース年をつけたんです」。

「Boon」独自の通称は、雑誌の凄まじい影響力によって瞬く間に浸透。以降、96、97……と呼ばれ、ついにはナイキの正式名称に。「スニーカーライター、編集者としての運命を決めた特別なモデルです。コレは当時の一足で、オリジナルカラーは全色持っています」。


04 ニューバランスの「M1300JP」

ニューバランスの「M1300JP」

「高校生の頃に買ったM770が原点で、ずっとニューバランスは大好き。なかでも神髄であり、ブランド側も大切にしているメイド・イン・USAのモデルは、やっぱり惹かれます」。傑作と名高いM1300は、その象徴だとか。オリジナルは1985年、当時としても類を見ない4万円近い高価格で発売。’95年以降は5年サイクルで復刻版が登場し、軒並み即完売に。

「コレは2回目の復刻となった2000年に購入。加水分解でソールが壊れてしまったので、担当した雑誌の企画で張り替えました。リペアをNGとするスニーカーマニアもいますが、修理して履き続けると愛着も深まり、僕としてはOKです」。


05 ナイキの「ナイキ エア マキシム 1+ トレーナー ND」

ナイキの「ナイキ エア マキシム 1+ トレーナー ND」

ということで岸さんはリペア肯定派。さらにはセルフカスタムまで施してしまう。こちらは、ナイキ エア マックス 1+ナイキ エア トレーナー 1のハイブリッドとして2009年に発売されたモデル。

「甲にベルクロのストラップが付いていたのですが、どうも気に食わず、最初から外すつもりで買いました。剥がしたステッチ跡も、縫い直して針穴を埋めています。コレ以外にも色を染めたり、スウッシュを付け替えたり、いろいろあります。スニーカー好きの価値観ではご法度だと思うけど、僕は平気。ときどき失敗もしますが(涙)」。その脱構築的なカスタマイズ術は、ヴァージル・アブローのザ・テンも顔負け!?


06 ナイキの「ナイキ ルナ テラ アークトス」

ナイキの 「ナイキ ルナ テラ アークトス」

「ACGカテゴリーから2013年に発売された一足で、シリーズ史上最も先進的かつデザイン性の優れたモデルだと思います。まず、ハイテク感のあるルックスが格好良い。そして着脱可能なソックシューズが内蔵されていて、洗濯ができるうえに、それ単品でテントシューズとしても履ける2-WAYのギミックにもそそられる。

ACGは1990年代初頭のコレクションから好きで、その名のとおり“オール コンディション ギア”というコンセプト自体に惹かれますね。雨天や冬の街履き、キャンプ、スキー&スノボに行くときなど、まさしく全天候対応で活躍しています」。


07 ヴァンズ ヴォルト×ダブルタップスの「スケート ハイ LX」

ヴァンズ ヴォルト×ダブルタップスの「スケート ハイ LX」

「僕はスケーターではなく、そのカルチャーにも明るくないので、ヴァンズを履くことに遠慮があった。だけどスニーカーもひとつのカルチャー。そう思ったら、自由に選んでいいんだと割り切れた」。

加えて、昔から黒のソールに苦手意識を持っていたが「コレは2015年の別注モデルで、徹君(※3)にすすめられて買いました。で、いざ履いたら、スゴくコーディネイトしやすくて、いいじゃん!って。食わず嫌いを克服させてくれた恩人、いや、恩靴です」。ちなみにハイカットでも脱ぎ履きをスムーズにできるよう、密かにゴムのシューレースへと交換している。


08 アンダーアーマーの「ファットタイヤ ミッド」

アンダーアーマーの「ファットタイヤ ミッド」

ミルスペックのギアなど軍モノ好きでもある岸さん。「ココも米軍のサプライヤーなので、たまにアメリカの公式サイトをチェックします。こちらは2016年の日本未発売モデルで、本国から通販。デザインやフォルム、控えめなロゴ、カラー、そしてミシュラン製のファットタイヤソールにもグッときました。

アパレルは日本でも人気ですが、この手のシューズはあまり知られていないから誰ともカブらないし、それでいて周囲からは好反応だったり。スニーカーを生業とする者なら、こうした世間が見過ごしているところから新たな鉱脈を発掘するのも仕事だと思っています」。


09 ナイキの「ナイキ パンテオス」

ナイキの「ナイキ パンテオス」

「アンダーアーマーと同じく、スニーカーマニアがスルーしがちなアイテム」という2017年リリースのこちらは、純粋に見た目に惹かれて購入。「ネームバリューもないエントリー的なモデルですが、’90sテイストとミッドソールの造形美、プレミア感のまったくない佇まいが、かえって好ましいですね。

ただでさえ定価も安いうえ、スポーツ量販店でセールになっていて半額以下で手に入れました! 気に入っているので、もう1足リピートしようかと思っています。ライフワークのスニーカーパトロールを通し、こうした掘り出し物を見つけ出すのも楽しみのひとつです」。


10 ナイキの「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4% フライニット」

ナイキの「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4% フライニット」

昨年9月のベルリンマラソンで、エリウド・キプチョゲ選手が世界記録を更新して優勝。翌月のシカゴマラソンでは、大迫傑選手が日本新記録を樹立。先の箱根駅伝でも多くの選手が着用するなど、目下、長距離ランナーがこぞって履いている話題作。

「ナイキの展示会で試着し、あまりのクッショニングの良さに感動しました。ただ人気も凄まじく、転売ヤー(※4)が買い漁り、日本では即完売に。本国の公式サイトで購入できたので、届くのを待っています。僕はジョギングをしないので豚に真珠と揶揄されそうですが、この履き心地に酔いしれたい!」。

偏愛トークにまつわるお節介な注釈

※1 ティンカー・ハットフィールド
ナイキ エア マックスやエア ジョーダンなど数々の名作をデザインしてきたナイキのレジェンド。現在は副社長を務める。

※2 名付け親
ナイキ ダンクが反転カラーを纏い、1999年に限定発売された話題作“裏ダンク”も「Boon」命名。

※3 徹君
ダブルタップスのディレクターであり、ディセンダンド、FPARも手掛ける西山徹さんの愛称。生粋のスケーター。

※4 転売ヤー
プレミア価格での“転売”を目的に、人気商品を購入する“バイヤー”を指す造語。市場価格が跳ね上がる原因にも。


志賀俊祐=写真 いくら直幸=文

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