デニムが労働着からファッションに昇格したのは、第2次世界大戦後のこと。それ以来、世界中のスター、若者たちが、デニムを魅力的にはきこなしてきた。その伝説のデニムスタイルには、今見ても格好良くなるヒントがいっぱいだ!
フレンチ風味のコート×デニムといえば、
ザ・スタイル・カウンシルのポール・ウェラー
渋カジが爆発的に流行する前夜の1987年。フランスの上流階級のお坊ちゃまファッション=BCBG(ベー・セー・ベー・ジェー)が、日本の男性ファッション誌で提唱されたことがあった。
それはパリで流行していたフレンチトラッドで、代表的アイテムはバーバリーやアクアスキュータムのステンカラーコート、ジェイエムウエストンのローファー、ベルナール・ザンスのトラウザー、オールド イングランドのセーターなど。
DCブランドや蛍光色を取り入れたザ・エイティーズなファッションとは正反対の品のいい装いは、日本でスマッシュヒットこそしなかったものの、フランスという国への憧れを若者に植え付けた。この流行を牽引したのはパリの若者たちなのだが、日本でBCBGの象徴として崇められたのは、なぜかネオモッズのイメージが強いイギリス人のポール・ウェラーだった。
’84年に発売されたザ・スタイル・カウンシルのデビューアルバム『カフェ・ブリュ』のジャケットで披露した、コート×デニム×ローファーの洗練された着こなしが、あまりにもBCBGっぽかったからである。
情報が少ない時代ゆえの誤解なのだが、’80年代中頃の彼のスタイルは、このアルバムのジャケット以外でもフレンチな着こなしが多い。だから細かい指摘はさておき、今見ても抜群に洒落ているポールのフレンチ風味のコート×デニムの着こなしを取り入れてみよう!
ズバリなモノ選びで現代版BCBGを実践!ポールがかつて着ていた白に近いアクアスキュータムのステンカラーコートは、通常はラインナップされていない。ただし、今シーズンはかなり近い色みのものが入手可能なので、それを主役にコーディネイト。デニムは’90sフレンチの象徴であるA.P.Cのノンウォッシュものをチョイスして、足元は“ウエストン”のローファーの最新作を。よりフレンチ色が濃厚になる。首元のスカーフもお忘れなく。
完コピしたいならヴィンテージのタッセルアルバム『カフェ・ブリュ』でポールが履いていた靴は、ヴァンプが浅めの黒のキルトローファー。彼はタッセルローファーも愛用していたようだが、キルトタン付きのほうが今っぽいので、完コピを目指すならこちらを。ジョンストン&マーフィーのヴィンテージ。
鈴木泰之=写真 柴山陽平=スタイリング 境 陽子=イラスト