PREMIUM BRAND × DAILY STYLE
FENDI フェンディ
1926年、ローマにオープンしたフェンディ1号店。そのアーカイブ写真にインスパイアされたコレクションは、自身の原点を見つめ直すような内容になっている。
「フェンディ アイデンティティ」をテーマにした今季、オーシャンズ世代の目を引くのは「FFロゴ」である。ジャージー風なモックネックの“ニットソー”の襟にもそれが刻まれ、着こなしにアクセントを加える。そして、その上に羽織ったブルゾンの襟には、これまた懐かしい「ペカン」ストライプが。さりげなくも確かなインパクトを残すブランドのアイデンティティ。その強さを感じ取る。
ショッパーにも採用されているイエローはフェンディのブランドカラー。その色の毛糸で編まれたニットが、抜けるような秋空と魅せるコントラストは、まさに「FABULOUS!」な美しさ。トートバッグの前面に施した同じく黄色のグラフィックは、’70年代のアーカイブに残っていたデザインを再解釈した「フェンディ スタンプ」だ。
クリエイティブ・ディレクターのシルヴィア・フェンディが掲げる、メンズ服に欠かせない要素「実用性と機能性」。その観点から選んだネイビーのセットアップ。織柄が出たウール地はソフトな肌触りで、ボックスシルエットで窮屈さもない。もちろん、着回し力だって申し分ない。つまり、先の条件を満たすことは、間違いない。
Tシャツ×デニムに合わせたのは、プリンス・オブ・ウェールズ・チェックのトレンチコート。光沢とハリを持つユニークな質感は、贅沢にもヴァージンウールにポリウレタンコーティングを施して手に入れたものだ。エレガントなのにどこかモードで、カジュアルな存在。うれしい限りである。
上品なサーモンピンクのウールニットには、チーズに馬が乗ったイラストが。たとえ上質な素材だとしても、Tシャツみたいに付き合いたい。そんな感覚を持つオーシャンズ世代に打ってつけな一枚を、チェックパンツにコーディネイト。ともすると滲み出る野暮ったさ。それすら楽しめたら……と、ファッションの次なる地平を見据えてみる。
毎シーズン、ゲストアーティストを迎えてクリエイションを行っているフェンディは今季、スコットランド出身のヘイ・レイリーと手を組んだ。彼の作品とブランドの象徴的グラフィックをコラージュした作品が、Tシャツとバッグに採用されたものである。これを身に纏ったときの高揚感は特別だ。
山本雄生=写真 菊池陽之介=スタイリング AMANO=ヘアメイク