街角パパラッチ「夏の着こなし」実例スタイルブック Vol.34
2018.08.03
FASHION

「ウサギ×海賊」ロゴに込められた、サイコバニーの二面性

ウサギとスカルを組み合わせたロゴで知られるサイコバニー。ポップでキャッチーなこのキャラクターを作り出したデザイナーは、実はドレスクロージングの世界でキャリアを積んできた人物なのであった。

サイコバニーとは?
2005年、NYにてロバート・ゴドレー氏とロバート・ゴールドマン氏により共同で創設。ウサギの耳がついたスカル&ボーンのオリジナルロゴを刺繍したネクタイが話題に。デビュー直後からバーニーズ ニューヨークなどで販売され、一躍人気ブランドとなる。その後、ポロシャツをはじめとしてトータルコレクションを提案するアパレルブランドに成長する。この秋にはスポーツラインが日本に上陸。本国アメリカと日本、メキシコ、パナマ、コロンビアなどで展開。

「初めての展示会で、このネクタイは鼻で笑われたよ」

創設者/デザイナー ロバート・ゴドレー氏 1971年、イギリス・ケント州ウィスタブル生まれ、ロンドン育ち。18歳で名門ネクタイブランド、デヴィッド・エヴァンスに就職。プリント技術を習得したのち、ヨーロッパを中心に海外でのセールスを担当する。その後、ターンブル&アッサー、ドレイクスを経て、2004年にラルフ ローレンのネクタイ部門デザインディレクターとしてNYへ。’05年にサイコバニーを設立。釣り、ウインドサーフィン、スキー、アーチェリーなど、アウトドアとスポーツをこよなく愛する。

ウサギの耳がついたスカル&ボーンのロゴが目を引く、サイコバニーのネクタイやポロシャツ。なぜこんな遊び心溢れるロゴを作ったのか。シンプルな疑問を、創業デザイナーのロバート・ゴドレー氏にぶつけてみた。

「モチーフは海賊とウサギ。正反対の要素を組み合わせました。海賊は冒険者の象徴で、リスクを恐れずチャレンジしたいという僕自身の強い思い。一方のウサギはとても用心深くて臆病な動物です。そんな“二面性”を表しているんです」。

二面性はブランドのクリエイティビティの骨子であるが、ゴドレー氏自身にも当てはまる言葉だと思う。スポーツマンらしいワイルドな見た目と、ロンドンのクラシック畑を渡り歩いてきた経歴という二面性。

「初めて働いたのはイギリスのネクタイメーカー、デヴィッド・エヴァンス。生まれ故郷のケント州に工場があり、そこでプリント技術やデザインを習得しました。セールスを担当した20代前半は、イタリアやフランスなどヨーロッパを中心に、1年の3分の1は海外へ。このときメンズファッションに対する審美眼が養われたんだと思います。その後に働いたターンブル&アッサーやドレイクスでは、デザインや配色のセンスを学びました」。

2004年、ラルフ ローレンでネクタイのデザインディレクターという職を得たゴドレー氏はNYに渡る。だが、自分のヴィジョンを実現するには会社の規模が大きすぎると感じた。日々自身のブランド設立への思いを強めていった彼は、ビジネスパートナーのロバート・ゴールドマン氏(※1)との出会いを機に、サイコバニーを立ち上げる。最初に作った製品はもちろんネクタイだ。

「ネクタイは、男が身に着けることのできる宝石のようなもの。その人のセンスや価値観が表れるから面白いんです。そしてトラディショナルなアイテムだからこそ、ウサギのロゴが活きてくる。これも二面性といえます」。

展示会でウサギのロゴのネクタイを初披露。しかし目にした人たちの多くに鼻で笑われたのだとか。

「誰もが何これ? という反応でした。でも、僕らにとっては大成功。奇妙なロゴの上質なシルクタイは“無視できない存在”と思われたわけですから。結果、このロゴのおかげでブランドは13年も続いています。念願のアパレルもローンチすることができましたし」。

ロゴに象徴される二面性は、当然アパレルコレクションにも息づいている。

「僕たちは“トラディション・ウィズ・エッジ”と謳っています。例えば、タータンチェックなどの伝統柄にショッキングピンクを挿し色として使う、というようなミクスチャー感覚。エッジなデザインの着想は、旅の経験や趣味の釣り、ウインドサーフィン、スキーなどから得ています。そのとき目にした光景の色、形、線。そこから発想を広げていくんです。机の上からは、エッジなものはなかなか生まれません」。

この秋日本では、本国で3シーズン目を迎えるスポーツラインが初登場するという。今後もさらなる事業規模の拡大を目指していくのだろうか。

「単にアイテムや店舗の数を増やしていこう、とは思っていません。でも“バニーラバー”は世界中に増やしていきたい。僕らと一緒にこの二面性を楽しんでほしいんです」。

 

※1 ロバート・ゴールドマン
ゴドレー氏が冗談半分に「第二の妻です(笑)」と言う共同創設者。ゴールドマン氏はアメリカで3代続くネクタイメーカーの御曹司。NYでも指折りの、名門社交クラブが出会いの場だった。

髙村将司=文 加瀬友重=編集

# サイコバニー# ブランド知り
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